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54 王女様からのお誘い

今回から更新ペースが遅くなります。

その代わり、文章の量を多くします。

その瞬間…



「…」



ブァッ…



リアの周りには…あまりにもドス黒い空気が広がった…。


まるで…周囲の者全員を絞め殺しそうな…そんな殺気が伝わってきたようで…。

その迫力に…誰も口を開くことができなかった…。


「「…!」」


俺もネアも…リアを見たまま動くことさえ許されない…。


この王女様…本気で怒って…!



フッ…



「ふむ…失礼した…。お前の目が真剣だったものでの…。少し本気になってしまったわ…」


うっ…あっ…危なかった…。

さっきまでの重苦しい気配が緩んだようだ…。

あのままだったら…窒息するとこだったかも…。


「お前の本当の姿を見たくてのぉ…。少し女をいじったわけじゃが…なるほど…。お前にとってこの女は大切なもののようじゃな…」


えっ…!

この王女様…俺を試したのか…。

気がつかなかった…。


「グリン…大丈夫?」


「うっ…うん…。結構怖かったけど…」


「あまり無茶しないでね…私が言うのも変だけど…。…あと…怒ってくれてありがとう…」


複雑そうな…それでいて優しい表情を浮かべるネア…。

たぶん…俺のことを心配してくれたんだろう…。


そんな俺たちの様子を見て…リアはやれやれといったように語りかけてきた…。


「さて…そろそろ本題に入ろうかの…」


「えっ…本題…ですか?」


「当たり前じゃろう…。なんの意味もなくお前たちだけをここに残すわけなかろう…。妾がこうして話をするのは…お前たちに用があってのことじゃ…」


「用ですか…」


そう言えば…このリアって女の子…。

俺たちが三人組のチンピラを追い払ったことを知っていたよな…。


いや…それだけじゃない…。

ここに来るタイミングも…。


もしかして…俺たちのことを…。


「とりあえず…お前たちも座るがよい…。順を追って説明してやろう…」



※※※※※※※※※※※※※※※



「…実はの…妾には特別な力があるのじゃ…」


「特別な力…」


俺みたいな力を持つ人がこの世界にいたのか…。

初めてだ…。


「『千里眼』…とでも言おうかの…。この国一体の出来事がすべて妾にはわかるのじゃ…」


「えっ…!そんな力が…!スゴい…!」


あまりにも驚いたのだろう…。

ネアは信じられない…といった様子で衝撃を受けている…。


『千里眼』…。


なるほど…。

確かにそんな能力があったらいろんなことがわかるよな…。


多くの人間の様子を常に見ることができる力…。

秘密もなにも隠し通すことができない…。

国を治める立場の人間からすれば便利なものだ…。


「妾はいつもこの力を使っての…。悪巧みをたくらむやからを見つけておるのじゃ…」


「…そうなんだ…それじゃグリンと私がここにいることも…」


「そうじゃの…。もっとも…この町に来たのは偶然じゃがな…」


「偶然…?」


ネアはよくわからない…という感じに首をかしげている…。

確かに…そこは気になるかも…。


「気晴らしに散歩に来てみれば…この店で騒動があったのに気がついての…。少し興味を持ったのじゃ…。事の経緯も力を使って知っておるしの…」


そうなんだ…。

ホントに便利だな…『千里眼』…。


「さて…本題はここからじゃ…。実はの…妾が女王として即位してから…身の危険を感じるようになっての…。より強い者が欲しくなったのじゃ…」


ふーん…。

女王様も大変なんだなぁ…。


でも…能力とか…黒服の男とか…問題ないような気がする…。


そんなことを考えていると…ネアも気になったのか、リアに失礼のないように質問しだした…。


「それって…ボディーガード…ですよね?でも…あなたには多くの人が…」


「ふむ…まぁそうではあるが…。一番の不安要素は別にある」


「別?」


「例えば…呪いの類じゃ…。あれはどう対処しても難しくての…。一度かかると面倒でな…。できれば呪いの扱いに秀でた者がほしいのじゃ」


なるほど…そういうことか…。

確かに、直接殴られる…刺されるなんてことがあればボディーガードの人が守ってくれそうだけど…。

呪いについては未知の領域。


どんな呪いか…いつかけられたか…そんなことに色々頭を使わないといけない…。


でも…それってつまり…


「そこで…お主…グリンとやらに相談なんじゃが…」


「はい…」


「妾のもとで働いてみんか?」


…だよね…。

つまり呪いの対処のために俺をご指名したい…というわけだ…。


魔法使いであること(実際は嘘だけど…)を知っているリアからしてみれば、俺の存在は非常に貴重だ…。

側に置きたい気持ちもわかるような…。


でも…


「すみません…お断りします…」


俺は丁重に…頭を下げることにした…。

リアは少し意外…というような表情をしている…。


「ふむ…なぜじゃ?」


「俺じゃ…たぶん王女様に迷惑かけちゃいます…。それに…俺にはネアがいるんで…」


ホントは王女様に首を跳ねられそうな気がするのも理由のひとつだけど…これは言えないよね…。


でも俺の言葉…特にネアのことは本気…。

今ここで…離れるわけにはいかない…。


たとえ…俺の生活が保証されることになっても…。

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