53 王女様への口答え
エステル王国…。
建国されてそれなりの年数を数えた国…。
それでも、最近までは国力も軍事力も乏しく、他の国からの扱いが酷かったらしい…。
特に…国を治めるべき立場の王族は厳しい目で見られていたとのことで…。
失敗続きの政策を続け、それが国を窮地に陥れてきたとか…。
多くの国民も不満と不安を胸に…いつ暴動が起きるかわからない状態に戦々恐々としていた…
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…というのがネアから事前に教えられた内容だったかな…。
もっとも…聞いた話は現女王より前の話だから、今はどうかいまいちわかんないけど…。
目の前にいるのが今の女王だから…おそらくこの国のトップ…。
見た感じ…なんか堂々としてるけど…。
「…リア様…こちらパーブル茶でございます…どうぞ…」
「…遅いのぉ…。もう少し早く用意してくれんと…」
「…!しっ…失礼いたしました!」
お茶を用意した黒服男も焦ってる…。
なんか…どんどんと雰囲気が怪しくなってきた…。
「さて…妾も自己紹介したことだからのぉ…。お前の名前も聞かんとな…」
「えっ…あっ…はい!俺は…グリン…です!」
「…それは知っておる…。さっき女の口から聞いたわ…。妾が聞いておるのは女の方じゃ…」
「うっ…」
ダメだ…なんかこの人の前だと…調子がおかしくなりそうだ…。
話を降られたネアは…終始落ち着いた様子で答えていく…。
「はい…私は…リクォリア大森林の守護を務める…ネアと言います…」
リクォリア大森林…。
あそこの森…そんな名前だったのか…。
初めて聞いた…。
「ふむ…リクォリア大森林か…。妾も知っておるぞ…。忌々しいエルフの一族が…訳のわからんしきたりで居着いておるところじゃな…」
「「…!」」
こいつ…!
ネアを…ネアの大切にしてる森を…!
ネアも…すごく傷ついてる…。
これは…許せない!
「ちょっと待ってください!そんな言い方しないでください…!」
気がついたら…俺は王女様…リアに口答えしていた…。




