47 突然のスカウト
バッチを受け取った直後…
トントン…
「…兄さん兄さん…ちょっといいですかな?」
「えっ…?はい…」
突然肩を軽く叩かれて振り向いたら…今度は髭を生やした気品溢れる老人が話しかけてきた…。
着ている服…ピカピカの靴…。
どこかの上流階級の人だろうか…。
さっきまでテーブルの下で避難していたような…。
「実はですな…儂…運搬業を経営しておるものでして…。先程の戦い…いやはや…見事なものでしたぞ…」
「はっ…はぁ…どうも」
戦いって…俺はなにもしてないけど…。
「魔法使いだと聞きましたが…それは本当ですかな?」
「えっ!…えっと…はい…」
うーん…。
ホントは魔法使いでもなんでもないけど…。
つい嘘ついちゃった…。
「どうですかな?その力を使って…儂のところで働いてみんかね?報酬は弾むぞ?」
「えっ!?ちっ…ちょっとそれは…」
「最近はのぉ…雇う魔法使いは中途半端なものが多くての…。もう少し…腕のたつ者が欲しかったとこなんじゃよ…」
ど…どうしよう…話が少し大きくなってきたような…。
そりゃ…仕事は欲しいけど…魔法使いでもない身ではちょっと…。
断ろうかな…。
なんて思っていたら…
「ちょっと!あんた!勝手にスカウトしないでくれるかしら!!この男は私がもらうつもりなのよ!」
少し太めのおばちゃんが話に割り込んできた…。
高価そうなネックレスに指輪に…。
この人もどこかのお金持ちとかかな…。
「なんじゃと?儂が先じゃ!お主は関係ないじゃろう!」
「ふん!そうやって誤魔化そうったってダメよ!後とか先とか意味ないわ!とにかくこの話…私も混ざるわよ!」
老紳士とおばちゃん…。
まさか…チンピラ達を追い払っただけでこうなるなんて…。
スゴいことになっちやった…。




