44 恐怖から抜け出して…
一瞬の混乱の後…
「くそっ!」
ギュッ…パッ…
観念したのか…ネアの手首をやっと放した…。
ホントはこちらの要求をすんなり受け入れるか心配だったけど…なんとかうまくいったかな…。
「…くっ…!ちくしょう!お前ら!出るぞ!」
「兄やん!待ってくだせぇ!」
「ひぃぃぃ…!いてぇぇぇ!!待ってくれよぉぉ!!」
チンピラ達は俺たちに目もくれず…一目散に逃げていったようだ…。
さすがに相手がよくわからない魔法使いだと分が悪いと考えたのかな…。
こっちはヒヤヒヤしてたんだけど…。
ネアは…
「うっ…ぐすっ…」
さっきの出来事がよほど心にきたようだ…泣いちゃってる…。
捕まれた部分も少し赤くなってるし…怖いのも無理ない…。
下手したらもっと恐ろしいことになっていたのだから…。
「ネア…大丈夫?」
俺は心臓をドキドキさせながら…近づいていくと…
「…グリンッ!…こっ…怖かったよぉ…!」
ギュッ…ヒシッ…
涙を流しながら抱きついてきた…。
初めて大泣きするネアを見たもんだから…ちょっと動揺しちゃった…。
こういうときって…
「ごめん…ネア…怖い目に遭わせて…ごめん…」
ナデナデナデ…
とりあえずは…謝りながら頭を撫でたほうがいいのかな…。
ちょっとぎこちないけど…。




