43 焦るチンピラ達
そう思っていたら…
「おっ…おごぉぉぉぉ!!?…あっ…ひっ…!!?」
突然…小男のやつが腹を抱えながらしゃがみこんだ…。
顔の表情は苦悶の色を浮かべ…汗を流してる…。
いったい…どうしたんだ?
「おい!ロブ!どうした!早くやれ!」
リーダーの男も突然の出来事に焦っている…。
小男に指示を出すものの…状況は変わらない…。
俺はというと…さっきまでの痛みがだいぶマシになったこともあって、なんとか立ち上がることができた…。
こういうのを…形勢逆転…って言っていいのかな…。
うずくまった男は目をきつく閉じながら…なお苦痛を訴えている…。
「兄やん!!いてぇ!!いてぇよぉ!!腹が…腹がいてぇ!!」
「くそっ…どうなってやがる!!わけわかんねぇ…!てめぇ!何しやがった!!?」
リーダーの男は俺に向かって怒鳴っているけど…正直俺には何が何やら…。
別になにもしてないような…。
「えっ…と…その…俺はなにも…」
「ふざけんじゃねぇ!!てめぇしか考えらんねぇだろが!!…まさか…呪いでもかけやがったのか!!?てめぇ…どっかの魔法使いか!?」
うーん…だんだん変な方向に話が進んでいるような…。
…いや…待てよ…。
もしかして…これも不思議な力の影響なのか…?
俺が困っているときに発動するみたいだし…。
だとすると…これは使えるかも…!
「…そっ…そうだ!俺は遠い国からきた魔法使い…!さっき…この男に腹痛の呪いをかけた!…その…早く女の子の手を離さないともっとひどくなるぞ!」
うーん…我ながら変な言い方…。
だいたい腹痛の呪いとか…そんなの知らないし…。
でも…チンピラ達は俺の言葉に相当驚いたようだ…。
「くそっ!なんだよ!!なんでそんなやつが…!!」
「兄やん!ヤバいですぜ!早く出たほうが…」
「いてぇぇぇ!!ひっ…ひっ…!!腹が…裂けるぅぅ!!」
…なんか…いろんな意味でスゴいことになっちゃった…。




