42 死の寸前
殴られた勢いをそのままに…俺は床に倒れてしまった…。
こんな惨めに這いつくばるのは…小学生の喧嘩以来だ…。
「うぐっ…!!」
そんな姿に満足したのか…小男は見下ろしながら次の攻撃を整えている…。
「さぁーて!次はどこ狙おっかねぇ…!!顔に熱いキックでもお見舞いしてやろうかぁ!!?」
くそっ…!マズイ…!
このまま横たわっていると…顔面に蹴りを入れられる…!!
早く立ち上がらないと…。
次を受けたら…気絶するか…最悪危険な目に遭う!!
それでも…俺の体はすぐには動かない…。
全身に広がる痛みは立ち上がることを拒否した…。
「ヒッヒッ!!もう目が見えねぇように…眼球にぶちこんでやらぁ!!」
コツコツコツコツ…
リズムを刻むかのように…狙いを整えるかのように…靴を鳴らす小男…。
見た感じ爪先が鋭く、綺麗に磨かれている…。
あんなもん…ぶちこまれたら終わりだ!
起きろ!
起きないと…死ぬかもしれないんだぞ!
しかし…無情にもその時はきた…。
「そんじゃ…叩き込むぜぇ!ヒヤッハァー!!」
ブンッ…!
俺の目の前に迫ってくる蹴り…。
なぜか…すべてがスローモーションで見える…。
これが…死ぬ寸前の光景なんだろうか…。
「やめてぇぇぇぇっ!!」
ネアの声が響くも…俺はどうすることもできなかった…。
異世界に来て…楽しかったこともあったのに…。
こんなとこで終わるなんて…。
ホントにツイてないなぁ…。




