表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
出会いはカードゲームで  作者: 徳田武威
9/29

第五章 松葉財閥の麗  2

「びっくりしたぞ。的場。朝起きたら目の前に顔が有るからキスされるかと思った」

「いや、ごめん」

 電車を乗り継ぎホームであるゲームセンターに辿り着いた。そこで今朝の事を紗月に弄られる。少し目を瞑ったつもりだったが、俺も爆睡してしまったらしく。結局二人で向かい合って寄り添う様にして眠ってしまった。

 リサには言わない様にしよう。多分不機嫌になるから。

「じゃあまあ、チーム戦で行くか、味方の一人はランダムになっちまうけど、俺達は昨日決めた連携で行くぞ」

「分かった。俺がマナ生成で紗月がサポート、最後に紗月のマナを俺に送る」

「そうだ。俺が完璧にお前を守ってやるからお前は焦らずにあのコンボを決める」

 俺と紗月は昨日練ったカードをセットする。

 今回のデッキは紗月が考えた最強のコンボデッキ。序盤はとにかくマナの生成を優先

し、最後に一気にマナを使い、俺の使い魔の七英雄を限界まで強化しまくる。しかし、これだけだったら、今まで他のプレイヤーが似たようなデッキを作ってきている。。

『新デッキはマナの移動を頻繁に行う』

 昨夜、紗月はそう提案した。

『マナの移動? それって、ウイローウイスプを使うって事?』

『そうだ』

『でも、ウイローウイスプって雑魚カードじゃん。特性はマナ移動で、そのマナも三マナ固定でしか移動出来ないし』

 ウイローウイスプ。攻撃と防御力も弱い。フワフワした魂の様な使い魔。しかし、トライブ・ウォーでは排出される頻度が多く、所謂ハズレカードと言われている。

『確かに糞ほど弱い。特性も0・5を使って、3マナ移動って微妙なカードだ。俺もソロプレイの時は使おうと思っていなかった。しかし、俺達がチームならこのウイローウイスプは無限の可能性を持つカードとして生まれ変わる』

 紗月は俺の炬燵の上に置いたウイローウイスプを指差す。

『いいか? どんなに頑張っても現状トライブ・ウォーに置いて生み出せる上限のマナっていうのは決まってるんだよ。例えばマナ大量生産デッキでも幾らまで作れるっていうのがな。マナの生成に乱数は無い』

『まあ、そうだな』

 トライブ・ウォーにはダメージに置いては乱数が存在する。一撃一撃も微妙に与えるダメージが違うのだ。しかし、マナ生成は速度が決まっている。それを紗月は言っている。

『上位のプレイヤーになればそれを計算し、相手の残量マナをおおよそ当てる事が出来る。これを上級テクニックのマナの見切りと言う』

 計算の苦手な俺が存在は知っているものの、まだ出来ないテクニックの一つだった。

『これが出来れば相手のブラフにかかる事無く、優位に特性が使える。ちなみに神代はこの見切りも全国一位だ。相手のマナ残量を間違える事は無い』

『ますますマズイな……』

『だがウイローウイスプを使えば、相手に察知される事無くマナの移送が出来る。神代もここまでは読めねえよ』

『強いな……何でそんなカードがレアじゃないんだ?』

 俺が聞くと紗月は笑う。

『トライブ・ウォーは戦績によってポイントが貰えるんだ。だから負けチームに入ってもランキングは上がる。しかし、ウイローウイスプを使用して味方にマナを渡しても、それがポイントになるわけじゃねえ。好んで虎の子のマナを赤の他人に渡す奴はいねえって事だよ』

『なるほど』

『だがこれを使えば俺の考える最強コンボが実現する。マナを大量に使うからはっきり言って実用性が無いし、一個でも崩されれば負け確定だが、決まれば神代だって何も出来ない』

 俺が昨日の事を反芻していると、戦いが開始された。俺は段取り通り、マナを生成する使い魔を召喚する。

「いいぞ、的場。今回のパートナーはかなり上手い。荒らしはこいつに任せよう」

「分かった。もうワグナスを召喚してもいいかな?」

 紗月のディフェンスは完璧だった。HPの管理が絶妙で、相手に攻め入る隙を与えない。

「今、ウイローウイスプでマナを送る。そうしたら、妖精工房でマナを使用しろ」

 妖精工房。5マナを使用するが、15カウント後に8マナを生成する。

「マナを余らせるなよ。使い切らなけば最後に繋がらない」

 今回の戦い。ワグナスを生き残らせれば良いという物では無い。ワグナスはコストを使用した強使い魔だ。前線で戦線を支えつつ、撤退をしないというかなり高度な事を要求される。

「良し、最後の勅命を使うぞ」

 俺はこのコンボの締め。使い魔、最後の皇帝の必殺技を使用する。マナを12全部使用する大技。対象の使い魔の力を飛躍的に上昇させるが、その代わりに9カウント後には能力を使用された使い魔は死亡する。だが残りカウントは8。タイミングも紗月の計算通りだ。

『オオウ!』

 マグナスの剣が一撃で敵の大型使い魔であるリバイアサンを葬った。最上位使い魔を一撃なら、大抵の相手は一撃で倒せるだろう。

『WIN』

 戦いは俺達が勝利した。最初から完全に決まるとは思ってなかったが、やはり紗月の存在が大きいのだろう。敵の心理を読む手際は敵に回れば恐ろしいが、味方になった時はこれ以上無いほど頼もしい。

「結構やるじゃねえか。まあデッキを設計した俺のおかげだな」

 満面の笑みで紗月が俺の肩を叩く。

「ああ、そうだな。紗月は凄いよ」

「ふ、ふん! と、当然だからな! 嬉しくないからな!」

 紗月は恥ずかしそうに俯いた。そんな姿に俺も自然と笑みが溢れる。

「おい! 次行くぞ! 次! 色んな相手と戦って様々なパターンを覚えないと神代に対応出来ない!」

「そうだな。紗月、俺のさっきの奥義の使用タイミングだったけど大丈夫だったかな?」

 二人で検討しながら、新しいデッキの練習は続いた――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ