第三章 トラップマスター紗月 1
「はぁ~参ったな……」
俺はバイト先のコンビニで溜息を吐いた。深夜のバイトなので人は余り居ない。
「どうしたんですか? 的場さん?」
すると俺と一緒に働いているフリーターの女の子、田野さんが品出しをしながら尋ねて来る。
「あ~ごめんね。最近新しい趣味を始めたんだけど仲間が集まらなくて」
今、自分でも言った通り、俺は今、トライブ・ウォーでチームになってくれる人をネットで探していたが目ぼしい者が見つからないでいた。それはそうだろう。初心者なら大会に出たく無いだろうし、上級者はチームを形成しているのが殆どだった。仕方無いので永井を誘ったが永井はあっさりと断った。自分にはあんなにカードを動かすのがしんどいとの事だった。
「へ~大変っすね。それで趣味って何ですか?」
「ゲーセンのカードゲーム」
特に隠す理由も無かったから俺は正直告げた。するとふむふむと田野さんは頷く。
「意外っすね。的場さん。ゲーセンとか行くんですね」
「うん。まあ」
「でもそれならゲーセンで探せばいいんじゃないですか? 同じゲームやってるんですから」
「……確かにそうだね」
俺はゲーセンに居る時はひたすらプレイに熱中してたので周囲の連中に話しかけるなんて考えもしなかった。
「そうそう。的場さん。話し変わりますけど、今度うちの友達が合コンしたいって言ってるんですけど的場さんどうっすか?」
「う~ん。俺は今回はいいや」
魅力的な提案だったが、今はトライブウォーをやりたい。結構ハマっているから。
「そっすか~じゃあ、また今度誘います」
田野さんは余りテンションの変わらない女の子だ。一緒に働いていて楽と言えよう。
ちょっと惜しい事をしたかな……と思いながら俺はバイトの時間を潰した――。




