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一躍有名

「…朝か」


 俺はベットから出る。ちなみに今回も市役所で寝泊まりした。というか宿屋一泊500Gとかどんだけだよ!死体からと昨日の報酬で1000Gあるけど泊まるだけでその半分はさすがにきつい。


「どーも」

「ああ…」


 ギルド長は相変わらず無愛想だ。というかこの人、俺の世界にいた模型店の店長そっくりなんだけど。

 俺は依頼が無いか確かめる。


「何もねぇ」


 クソッ、このギルドだからなのか!?どうやって稼げば……そうか!ただ外に出てファントスの肉でも獲って売るだけでもまあまあな金額にはなるだろう。


「どうした?」

「ちょっと外に狩りに行ってきますよ」

「ああ、気をつけていって来い」


 依頼があればもっと効率が良いのにな……仕方がない。


「でりゃあ!」

「ヴォ―――!」


 俺は一心にファントスを狩り続けていた。そして気付けば肉が大量に集まっていた。


「これだけあれば1000Gぐらいにはなるか……?」


 どちらにせよこれ以上は持てないし一旦帰ることにした。


「グァーーー!」

「!」


 帰る途中、俺は見たこと無いモンスターに襲われた。それも十匹はいるであろう群れに。

 恐竜で言えばラプトルみたいなものかそんな感じだ。2mくらいの高さだが全体的に細長い。


「クッ…こんな時に……!」


 しかも十匹のうち一匹はボスなんだろうか。さらにでかい。


「グァオ!」


 一匹が突然ジャンプして襲いかかってきた。俺はタイミングを合わせ盾を上に突き上げる。


「ギャウア――!」


 襲いかかってきた一匹は俺の盾に殴り飛ばされ気絶した。その隙を逃さず止めを刺す。


「グァ―――!」


 今度は二匹同時に来た。俺は一匹を正面から剣で刺し、もう一匹を盾で受け止める。


「これで……!」


 盾を使い攻撃を受け流した後に横から剣で切り裂く。その直後、さらに一匹が上から襲いかかる。


「チッ…だが!」


 俺は右にステップをし、丁度俺の左側に着地したところを剣で貫く。ちなみに俺は左利きだったので素早くできた。


 こうして俺は襲い来るモンスターに対して何とか返り討ちにすることができた。


「後はお前だけだ…!」


 俺はボスであろう個体に狙いをつける。相手も俺を睨み続けている。


「行くぞ……!」


 俺は奴に向かって走る。奴は一瞬背中を向けた。


「っ!」


 俺は知っている。ゲームでもよくある。あの手のモンスターは、あの動作の後尻尾で攻撃してくる筈だ。


ガツン!


 俺はとっさに盾で受け止める。結構重い……。今までの奴らの比ではない。


「クソッ!」


 俺は剣を振ったが避けられてしまう。しかもその隙を狙ってツメで攻撃してきた。


「グッ…!」


 俺はこの世界に来て初めて本格的な痛みを感じた。見ると右腕から出血している。


「グォ―――!」


 奴は勝ったかのような顔をし、止めを刺そうとする。余裕だと思ったのかゆっくり噛みつこうとしている。


「……バカが!」


 確かに痛いが致命傷ではない。俺は油断しきっていた敵に対し首元を剣で斬る。奴の首は飛び絶命した。


「…ったく、余計な時間食ってしまったか」


 俺は一応奴らの皮やボス個体の首も回収して町へ戻った。


 結論から言うと俺は町でも有名人になっていた。帰ってきて俺が狩ってきた獲物を見せると町の住人が一斉に俺に喝采を浴びせたのだ。


「ウォー!マジかおめぇ!」

「あ…ありえん…」


 最初は「はあ?」と思ったが後で調べて分かった。俺の倒したモンスターはラプターと言う亜竜種のモンスターらしく、冒険者になって二日目の素人が敵うはずがないというモンスターらしい。出会ったら確実に死を覚悟しないとダメだろう相手に対し返り討ちにした俺は確かにすごいんだろう。


「まあ…こんなのも悪くないか」


 ちなみにラプターの皮やボス、ギルラプターの首はかなり高値で売れた。これで俺の所持金は合計8000Gまで増えた。この金でまずは飯でも食うか。


 俺はこの世界で初めての肉料理を食べた。どうやらファントスの肉は食用として利用されるらしい。結構、クセが強くて好みが分かれるそうだ。多分、昔実家で食った熊の肉みたいなのだろうか?だったらかなり好きな味だぞ。


 結論から言おう。ファントスの肉は美味い!この獣臭さというかそんな感じの味、好き嫌いが分かれるかもしれないが俺はこういうのが好きだな。


「ファントスのステーキおかわりだー!」


 俺はこの日、ファントスの肉に2000G使ってしまった。

ちなにに今まではパンや水などの最低限の食事を市役所から貰っていました。

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