デート
「では明日、広場で……遅刻は厳禁ですよ?」
「おう、分かってるよ」
俺はアリスと……デートの約束を交わした。
とはいうもの、帰ってきた途端クリムと何があったか詰め寄られ……色々ぶちまけてしまった。
その埋め合わせというかなんといか……とにかく明日、アリスとデートをする事になった。
とはいっても町に買い物に出掛けるといういつも通りの事をするだけだが。
翌日、勿論時間よりかなり早めに来て、アリスを待った。
「すみません、待ちましたか?」
かなり早めに来たはずなのにすぐ来やがった!
「全然、じゃ、行こうか」
「はい」
本当に、一分も待ってないんじゃないか?
そして、アリスと二人きりで町を見て回るだけだが……。
「いつもとやってる事変わらんな」
「……そうですね」
やっぱアリスも思ってたか……どうしたものか……恥ずかしいが。
「手でも繋ぐか?」
「へ?あ……」
俺はアリスの手を掴み、引き寄せる。
「レ…レントさん!?」
「嫌か?」
「いえ……でも恥ずかしいです……」
アリスは頬を赤く染め、モジモジしながら言う。そのリアクション凄い可愛いんだが。
当然、町の人達は俺たちに注目しているが、驚かれてるというよりは微笑ましく見守っているような気がする。というかニヤニヤしてる。
「あれ?だんだん慣れてきたような……」
「……マジですかい」
どうやらアリスは俺と手を繋ぐ事にすっかり慣れて、恥ずかしがらないようになった。
俺は自分からやっといてなんだがまだ恥ずかしいぞ。
そして俺たちは手を繋ぎながら、町を回った。
勿論その道中で俺は賢者の石の製作を加工屋に依頼した。
「ふふっ…楽しいですね?」
「そうか?なら良いんだが……」
俺は正直に言ってデートの内容に関してあまり楽しいとは思えない……なんかいつもと変わらなさすぎ
て。まあ……アリスが喜んでいるなら俺も嬉しいけどさ。
しかしこのままだとダレてしまうな……よし。
「アリス、町の外に行かないか?」
「え?」
「このまま町を回るよりはさ、自然との触れ合いを……」
……そういや外に出たってモンスターは倒すだろうし……あまりやる事変わらないな……まあ決めたもんはしょうがないか。
「…わかりました、準備をしてからまた」
「ああ」
さて、どこに連れていくかだな……森の中にある湖辺りが丁度いいか……?
そして準備を終えた俺たちは、湖へと向かっていった。
「うわぁ……モンスターが何かリア充爆発しろと言って襲いかかって来る感じがする」
「どういう意味です?」
「いや、こっちの話だ」
俺たちはなんかいつもより凶暴な気がするモンスターを倒しながら、目的地に向かっていく。
しかし何でまた凶暴化してるんだ?発情期か?それでカップル見て嫉妬してるのか。迷惑すぎる。
俺たちが湖に辿り着いたのは、夕方になってからだった。
まあ、夕方になったおかげで良い景色を拝められるんだよな。
「わあ……綺麗ですね」
「こいつは嬉しい誤算だ……」
丁度夕暮れ時になっており、湖が綺麗なオレンジ色の光を放っていた。
実に良いシチュエーションだな。
「レントさん……」
「アリス……」
俺たちは抱き締め合い、キスをする。そりゃ、こんなシチュエーションですることと言ったらこれしか無いだろう?……バカップルじゃないよ?
「さて…日も暮れるし、帰るか」
「はいっ!」
そう言ってアリスは笑顔を俺に見せる。うん、可愛い。
最終的にかなり良いデートにする事が出来た。
やっぱ、異世界に来て良かったな……と実感できる一日だった。
次回からアカツキ国編ですが、内容が殆ど決って無いので、更新は遅くなると思います。




