開幕!闇バトル
「ったく……面倒な事になったもんだ」
俺はとある地下闘技場の待合室で試合の……いや、殺しあいの始まりを待っていた。
この闇バトルははっきり言ってシンプルすぎる内容だ。どちらかが死ぬまで戦い、生き残った者が勝者。まったくもって単純である。
「人殺し……か」
あの魔術教団の時の事を思い出す。あの時は相手が相手なだけに、あまり罪悪感は湧かなかったが……。
まあこの闇バトルに出てる奴らは基本人間のクズみたいな奴らしいし、罪悪感はあまり湧かないかもな。
「そろそろ時間だな……」
俺はステージへと向かった。
「さあ!始まりました!」
あれ?あの司会、どこかで見たような……。なんで闇バトルまで仕切っちゃってんの?
「今回は…期待のニューフェイスがいるぜえ!」
相変わらず…テンションが高いなおい。
「それは……表舞台では名高い冒険者……レントだあああ!」
名高いって……まあ教団ぶっ潰したしな。
というか……やっぱり恥ずかしいな。この装備。
中二臭すぎる。嫌いじゃないけど……。しかし仮面もあって中二らしさが増したが、表情は見えなくなったおかげで幾分か恥ずかしさは低減したな。
「対するのは……最強のジェノサイダー……ゴードンだあああ!」
そう司会が言って出てきたのは、醜悪な外見の禿げ頭野郎だ。
「貴様が今回の相手かあ?うーん?」
凄いウザい喋り方だ。ジェノサイダーなんてあだ名が付いてるんならかなりの数の相手を殺してきたはず……。
「なんだ…ガキじゃねえか、まあ貴様が十三人目だ……貴様を殺せば、また記録が更新される」
へえ、こいつ…今の所トップなのか……いきなりこんな奴が相手かよ。
しかし……この闇バトル、一つ問題がある。
それはこのバトルフィールド内では魔法が使えないということだ。というか魔法の使用は禁止にされている。だからあらかじめオーラを掛けておくこともできない。本当に……面倒くさい。
「そういやさっきから喋んねえなあ?びびったか?ああん?」
禿げ男がそう言った瞬間、俺は剣を抜き、奴の首を斬る。
奴の首が飛び、地面に落ちる。
「へ?あ?レント選手……」
「ルール上は問題ないだろ?それとも……文句があるのか?」
この闇バトル……魔法が使えない以外完全にルール無用の戦いだ。お互いがステージに上がった瞬間、バトルは始まっている…即ち攻撃をしてもいいというわけだ。
「…レントの勝利に拍手をおおおお!」
「ウォオオオオオオ!」
まあデビューで一気に目立っておけば早くトップに立てるだろ。というか今倒したのがこれまでのトップなんだろうが。
しかしこの剣もいいな。確か商品名ではガイアブレイカ―…だっけ?いつも使ってるバスターエッジと比べて…というか大剣の中でもかなりの重さを誇る両刃の剣だ……まあやっぱり片手で持ててしまうが。ブロウクンセイバーに比べたら軽すぎる。
この世界に来て、また人を殺したわけだが、前回よりも落ち着いている。まあ相手もクズだし、そう言う奴相手だと罪悪感ってのは不思議と湧かないもんだ。
こうして闇バトルのデビュー戦は無事に終わったのだった。




