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史上最強のドラゴン・前編

「緊急の依頼だ」


 ギルド長が言う。てか、もっと緊迫した感じで言わないと緊急事態に感じないんだが。


「どんな依頼です?」

「この依頼は他ギルドと合同、冒険者総出でグランドラゴンの討伐だ」


 えーと確かグランドラゴンは図鑑で見たな。史上最強のドラゴンって言われてるんだっけか?

 それかなりヤバくない?


「そう言えばもうそんな時期なんですね」


 あれ?なんかアリスも余裕そうだな。もしかしてあんま強くないのか?

 史上最強のドラゴン(笑)なのか?


「グランドラゴンってなんだ?」


 蒼馬は相変わらずのバカだ。

 まあ、確かにグランドラゴンは見た目からして強そうなイメージは…しないわけではないが…。

 それに町の冒険者総出だろ?余裕なのかもしれないな。


「とりあえずは冒険者たちに広場に集まるようにと連絡が来ている」

「わかった」


 俺たちは広場へと向かった。



「で、あるからして…」


 どっかの校長かっ!とつっ込みを入れたいのはやまやまだが、面倒なことになりそうなので黙っておいた。


「最後に、無理はしなくてもいい、ここにはグランドラゴンを何体も倒している英雄たちが居るのだから」


 そう言って皆がその英雄たちに目を向ける。

 そこには数人の冒険者たちがいた…そのうち一人はものすごく知っている人物だ。

 武闘大会で俺が蹴り飛ばした槍使いじゃないか。その程度の奴らで勝てるんなら確かに余裕だな。


「では、出陣!」


 俺たちはグランドラゴンが居る広い岩場へと向かった。



「なあ錬人、あれって……」


 わかっている。俺も図鑑で見たときは目を疑った。

 グランドラゴンの容姿のことだ。


「どっからどう見ても……」

「ワニだよな」

「そうだよな」


 そう、グランドラゴンははっきり言えばワニだ。強そうに見えるんだろうけど他のモンスターからすれば……なあ……。

 グランドラゴンが近付いてくる。

 ……前言撤回、大きさは知ってはいたけど実際に見たこと無かったからな。

 ワニはワニでも……山のように巨大なワニだ。


「グゥアァアアオ!!」


 うわっ…雄たけびを上げただけで周りが揺れたんだが。


「まずは魔法部隊で攻める!」


 全軍の指揮を担当している男が言う。

 

「俺に考えがあるんだが」


 俺はその男に打診してみる。


「むっ、何だ?」

「俺はオーラが使える、ここの冒険者全員に掛けられるかも知れないんじゃないか?」

「ほう…だがこの数全員に掛ける魔力はあるのか?」


 それはちゃんと考えてある。


「誰か俺にアクアオーラを掛けてもらえば何とかな」


 アクアオーラ、魔力上昇の効果がある魔法だ。


「アクアオーラ」

「お?」


 すぐに掛けてくれたな。

 掛けたのは英雄って言われた人達の一人のようだった。

 

「感謝する」


 とりあえず礼は言っておこう…えーと、青いロリ魔法使い。


「よし」


 俺は神経を集中させる。

 効果範囲はここに居る冒険者たち全て。

 ここがマナストーンでできた岩場のおかげでマナに不足は無い。

 魔力は…ギリギリ足りるな。


「すぅーはぁー」


 深呼吸をしてから俺は…。


「オーラ!」


 魔法を唱える。


「まずは魔法を」

「わかっている」


 オーラによって魔力が倍近く上がった魔法部隊の攻撃が行われる。


「サンダ―フォール!」

「アイスランサー」

「ウィンドストーム!」

「エレメントバースト!」


 お、アリスも張り切っているな…蒼馬のあれでかなりのダメージが入りそうだ。

 というか相変わらずオリジナルの魔法だな、なんだよエレメントバーストって。


「今だ!全軍突撃ぃぃ!」


 号令に従い皆が一気に駆け出す。スピード、パワー等、戦闘能力がオーラによって倍近い補正が掛っているからな。余裕なんじゃないか?


「はっはー!兄貴のために頑張るぜえい!」


 子分が騒がしいな。

 と、そのとき。


「ガアアアアアアア!」


 グランドラゴンがブレスを吐いた。


「なっ………!」


 避けたからよかったが…ブレスを吐いた跡が地獄絵図のようになっていた。

 しかも、第二射に入ろうとしている。余裕じゃないね、うん。


「ガアアアアアアアアア!」


 グランドラゴンの前に、あのロリ魔法使いが出てくる。

 何する気だ?と思っていると。


「アイスランサー」


 ブレスに合わせて魔法を唱える。

 地面から氷の槍が出現し、壁のようになった。

 ブレスは氷の槍を溶かしたが威力は確実に減っていたようで。


「アクアウェーブ」


 最後に津波を起こす魔法でブレスを相殺した。


「す、すごいな」


 グランドラゴンの討伐経験があるとは言え、あのブレスを真正面から相殺とか人間業じゃない。


「俺も頑張るか」


 俺はグランドラゴンの足を斬りつける。意外とあっさり斬れた。

 まあ、補正が掛っているのと俺のパワーが強すぎるからなんだろうけど。

 見ると他の奴らは大してダメージを与えられているわけじゃない。

 強いて言えば……。


「はっは―!」

「でやああ!」

「ハッ!」


 あの英雄たちと…子分がしっかりダメージを与えている。

 ていうかほんとにあいつは何もんだよ!?本当に強いじゃないか。

 他のやつらもほんの少しはダメージを与えているんだろう。徐々にグランドラゴンの動きが鈍っていく。


「あと少しだ!」


 こっちの被害はほぼ無し。このままいけば問題無く終わりそうだ。

 っと思っていたそのときだった。


「!」


 丁度、グランドラゴンのすぐ横にある崖の上から何かが飛び降りてきた。

 それはグランドラゴンに覆いかぶさり、取り込まれてしまった。


「あれは……」

「スライム……!」


 そう、超巨大なスライムが、グランドラゴンを捕食してしまったのだ。

 

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