勉強会・道具編
「うーむ」
俺は今、道具屋の前でとあるアイテムを見ていた。
それは回復薬である。
「使ったことないんだよなあ」
いままで大怪我をしたことないし。初ラプター戦で怪我したけどその時は町で回復魔法を掛けてもらってたような気がする。
それに、使い方がよくわかって無い。飲むのか、傷口に塗るのか。
商品名がポーションだったら飲み薬確定なんだがな…まあ後でアリスに聞けばいいか。
回復薬にもいくつか種類があるようだし、何種類か買っていくか。
「回復薬下さい」
「かしこまりました」
回復薬を買った俺はギルドへ向かう。
「アリス、居るか?」
「はい、何でしょう?」
「回復薬について知りたい」
「わかりました」
俺は回復薬について説明を受ける。
「まず使い方だ」
「はい、回復薬は飲むことや傷口に直接掛けることによって効果を発揮します」
どっちでもいいのかよ。
「飲んだ場合ですが、体全体の怪我の回復を早める効果と、疲労回復の効果があります、掛けた場合、その部分に怪我の回復を早める効果が出ます」
「…飲んだ方が便利そうなんだが」
「そうかもしれないですが、掛けた方が傷の治りは早いですし、飲む場合はちょっと……」
「…味が酷いとか?」
「…はい、でも安い方の回復薬は気にならない程度です」
つまり高価な回復薬ほどくそマズイというわけだな。
まとめると回復薬は傷の治りを早める薬みたいだ。まあファンタジーらしく一気に回復なんて普通は無理だろうよ…回復魔法はあったな。
「ただいまだぜ」
そこに蒼馬が帰ってきた。つかどこに行っていた。
「マナクリスタルの使い方を教えてくれ」
ああ、そういうこと…俺もマナクリスタルはよく知らんな。使わないし。
「マナクリスタルはこう手で握ると砕けるはずです」
「ああ」
「そう言えば魔法がどうやって発動するか知っていますか?」
「俺は知らん、ソーマは?」
「空気中にあるマナと自身の体の中にある魔力を結合させて発動するんだろ?」
「なんで知ってんだよ」
「魔法が使えるとなんとなくわかってくる」
なるはどな…ん?てことはつまり……。
「マナって無くなれば魔法は使えないよな」
「ああ」
「誰かが魔法を使い続ければもう一人の方は魔法は……」
「使えなくなるな」
……MPが敵味方共有って…聞いたこと無いな。
「でもマナは空気中に無限に溜まり続けますからね、完全に無くなったら、溜まるまで少し時間はかかりますが」
「その溜まる時間を無くすのがこのマナクリスタルというわけだ」
「その通りです」
このアイテムを見て、やっぱここは異世界なんだなと実感させられる。
回復薬なんて結構便利なものだぞ。元の世界にこんなのがあったら、医療がものすごい進化を遂げそうな気がする。
「おーい、依頼だ」
お、居たのかギルド長。
「道具屋からで、回復薬を作るのに必要な薬草が足らんそうだ」
しかも偶然にも回復薬関係である。
「わかった、今から準備して行く」
さて、この依頼で試してみるか。
「おー錬人、張り切ってんな」
「ちょっと実験をな」
俺は薬草が生えているというポイントまで全力疾走した。
ここまでしないと疲れることはできないからな。何かこの世界だからか体も軽くて疲れにくいんだなこれが。
「はあ、はあ」
流石に疲れた。まあ元の世界じゃ運動神経なんて無いに等しかったからな。
俺は回復薬、もちろん効果の薄い方を飲む。
うん、少しだけ苦い…っと少し体が楽になったな。一応自分でわかるくらいまで疲れが取れるようだ。
一番効果の高いのは…やめておこう、吐いたらもったいないし。
「とりあえずさっさと回収して帰るか」
俺はあいつらが来るまでに薬草を回収し終えた。
「もう終わってんのかよ」
「流石です」
蒼馬が愚痴ってるが知らんな。アリスは相変わらず可愛い。
そんなこんなで今日も一日が無事終了した。




