スライムスレイヤー
武器屋のおっさんにあの武器を依頼してから1週間が過ぎた。
「おい、武器屋から連絡来てるぞ」
「そうか」
ギルド長に言われ、早速武器屋へと向かった。
「よお、待ってたぜ」
「おう、武器は……?」
「もちろん、出来てるぜ」
そう言って武器屋のおっさんは頼んだ品を差し出してきた。
形としては今まで使ってたバスターエッジとほぼ同じ、唯一の違いは持ち手部分にトリガーが付いていることだろう。
「そう言やグラン共和国の奴らも面白い事を考えるってあんたを評価してたぜ」
「だと思った」
この武器はトリガーを引くことによって、刀身に高熱を帯びさせるものだ。これによって物体を溶断することができるようになる。ちなみにマナストーンをエネルギー源にしている為、実質無限に使用できる。
「一応弱点を上げるとすれば、素の切れ味は悪いし、刀身自体脆いからな」
「だろうな」
刀身はあくまで熱を発生させる所だからな。普通の剣として使うのは無理だと思った方がいい。
「よし…じゃあ俺はそろそろ」
「おう、また何かあったら何でも言ってくれ」
「助かる」
こうして武器屋を後にした。
「さて…依頼は…今は無いか」
依頼があれば一石二鳥だったがまあいい。あくまで目的はこの剣を使った実験だ。
「アリス、ソーマ、お前らも来るか?」
「新しい武器の試し斬りですか?」
「ああ、狙うはスライムだ」
「え?でもスライムは剣だと…」
この世界のスライムは結構…いやかなり強い。物理攻撃は一切効かず、取り込まれたら瞬時に消化される…厄介なモンスターだ。
だが、弱点がある。それは熱にものすごく弱いということだ。
「この剣はスライム対策の為に作ったんだ」
「熱でスライムを蒸発させるんだな?」
蒼馬はわかってるな。まあこれはSF感溢れる武器だし、ファンタジーじゃ珍しいものだろ。
「な、なるほど」
「で、一緒に行くか?」
「そうですね」
「いいぜ」
二人を連れて、洞窟へと向かった。
ちなみに、スライムは基本、気温が低く、湿度が高い洞窟を住みかにしている。大きいスライムは例外だが外だと日光が当たって少しずつ体が蒸発していくらしい。
「早速居たな」
俺は背後(?)からスライムに近付き新しい武器で斬りかかる。
「喰らえ!」
スライムが気付いた時には遅く、高熱を帯びた俺の剣が体を蒸発させていく。
「よし、予想通りだ」
「すごいです…!」
アリスが目を輝かせながら言う。可愛い。
「フハハハハハハ!我にひれ伏すがいい!」
蒼馬は魔法を撃ってスライムを殲滅している。魔法は便利だな。
「そういやスライムに風魔法を当てるとどうなる?」
「分裂しますね」
「…多分そうだと思った」
風の刃は実体が無いからスライムを斬ることができるが完全に消滅させないと増えるんだろうな。
「ちなみに水、氷、土魔法もスライムには効果が薄いです」
だろうな。逆に火や雷は効果が高いんだろうな。
「光と闇はどうなんだ?」
「自然由来のものではない属性はよく効きます」
「なるほど」
俺たちはどんどんスライムを倒してく。ちなみにアリスは風魔法が得意なんだが、他の属性も弱いの限定だが使えるようで、火属性魔法を使っていた。
「そう言や錬人、この剣、なんて名前なんだ?」
「まだ未定だ…だが良いのを思いついたぞ」
「なんです?」
「スライムスレイヤーだ」
「ぶっ」
「こらそこ吹くんじゃない」
というかこれ以外何がある?まあスライムを倒すことに特化してるだけであまり良い剣とは言えないが。
多分、グラ―モスには効果が薄い。岩って熱で斬れるか?
……やめとこう。無理して壊れたら嫌だし。
「とりあえずこの剣はスライムスレイヤーで決定!異論は認めん!」
こうして名剣(笑)のスライムスレイヤーが生まれたのだった。




