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大人げない

「さあ!いよいよ始まりましたああ!」


 決闘の時と同じ司会がこの大会の司会も担当してるようだ。相変わらずテンション高いなおい。

 

「小僧…覚悟はできてんだろうなあ?」


 こいつはしつこいな。けど今日で終わりだ。


「無視か、へっ…そういや止めをさす寸前まで追い詰めれば勝ちらしいがそのまま殺してしまっても問題ないらしいぜ?」

「そうか、気をつけるんだな」

「こっちのセリフだ!」


 ま、殺しはせんさ。そう…恐怖心を植え付けないとなぁククク……。


「錬人…」

「レントさん…」


 あ…なんか二人が最近冷たい。


 さて、いよいよ試合開始だが…ルールはバトルロワイヤル。各ギルドの代表者一名ずつが同時に戦うわけだ。魔法は使用禁止、降参させるか、さっきのあの男が言ったように追い詰めるか、もしくは戦闘不能にするか殺してしまえば勝ちだそうだ。

 まあ俺の世界の決闘でもどちらかが死ぬまでやってたそうだし、死人が出てもこの世界じゃ日常茶飯事なんだろうが、結構厳しいな。


「さあ戦士たちよ!勝利の栄光目指して頑張るのだ!」


 そして試合開始を告げる鐘が鳴った。


「オラアー!」

「喰らえい!」


 どっかの冒険者共が争ってくれてるおかげでこの男と一対一の勝負になってくれている。


「へへへ…覚悟しろ!」


 奴の武器は斧。荒くれ者にはお似合いだな。


「甘い」


 俺は奴の攻撃を盾で受け止める。もちろん余裕で。


「この程度だろうと思ってた」

「なんだと!てめえふざけるのも…」

「うるさい」


 俺は奴の頭を思い切り盾で殴りつける。


「あがっ…!」


 白目剥いて気絶してるな…しまった、恐怖心を植え付けるのを忘れてしまった。


「まあ、仕方ない」


 俺は他の奴らに向かって走り出した。


「ぐはっ!」

「ぶべっ!」


 二人の冒険者がブッ飛ばされる。どうやらあの槍使いがやったらしい。


「最後は貴様だ…」


 そういやこいつどこかで見たような…ああ、一番大きいギルドに居た奴だ。

 ということは結構強い…のか?


「とああ!」


 奴が槍を降ってくる。俺はそれを盾で受け止める。


「っ……?」


 予想以上に重い。見た目は普通の槍のはずなんだが。


「なかなかやる!まさかグランウェイト鉱石でできた槍を受け止めるとは」


 グランウェイト鉱石?聞いたこと無いな。


「流石に重いと感じたがな」


 まあ、それでもまだ余裕だ。俺は剣を振り下ろしす…が避けられたようだ。


「お前こそなかなかやるじゃないか!」


 流石、二人相手に勝った奴だ……だが!


「!」


 俺は奴の槍の柄を掴み、引き寄せた。


「っ…離せ!」

「やだね、これで終わりだ」


 そのまま腹に蹴りを加える。奴は大きく後方に吹っ飛んでいった。

 うん、そういやこいつらよりパワーは約五倍あるんだった。少し大人げないな。


「き…決ったあああああああ!!勝者は…レントだあああ!!」


 相変わらずテンション高い。


「よしっ、これで賞金もゲットだ」

「うっ…」


 ん?どうやら不良冒険者の目が覚めたようだ。


「よう、もう俺に付きまとうんじゃねえぞ?」


 俺はそいつに言ってやるが周りを見たとたんに……。


「す…すげえ……」

「はい?」

「ほんとすげえっす!兄貴!」


 え?今こいつなんて言った?


「なんでもおれに言って下せえ!」


 …もしかしてあの槍使いって相当な強さを持つ奴だったのか?

 

 どうやらまた一つ、俺は有名になってしまったようだ。

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