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「へえ、古泉のバイト先の常連ねえ。ふーん」

 天水はにやにやしながら水上と古泉を交互に見た。まだなにか言いたげな表情だが、

「まあいいや。それで、水上君はフィルムが乾いたらどーするの? 見学していく?」

「見学って、今日は何をするんだ?」

「なんというか、ミーティング?」

 古泉に同意を求めるような眼差しを向けた。古泉は小さく頷いた。

「ミーティングに部外者がいてもな」

 もともと見学をするつもりはない。

「見学したからって無理に入部を勧めたりはしないから。私は」

 含みのある言い方で、天水は古泉を見た。その様子を見ていた水上が、

「古泉は無理に勧めるのか?」

 と聞いた。そういうことをする印象はないが、バイト先での彼女しか知らないので、意外に押しが強いということもあるかもしれないと思った。

「しない」

 古泉は首をゆっくりと横に振って短くこたえた。

「えー、私をあんなに情熱的に勧誘したのはー?」

「記憶が都合よく改ざんされている」

「覚えてるよ。私と古泉、二人っきりの海辺で、あれ、山だっけ」

「これはひどい」

「冗談だって。ちゃんと、覚えてるよ」

 古泉の肩に手を置いた天水の顔には、やわらかな笑みがひろがっていた。

「……うん」

 そう言った古泉はどことなく恥ずかしそうで、嬉しそうだった。

 水上は蚊帳の外である。口を挟むのは躊躇われたので待っていたが、一刻も早くこの部屋から抜け出したいと思った。いたたまれないので、手元の雑誌に目を向けると、古泉に話しかけられた。

「水上、写真見る?」

 彼は安堵のため息がもれそうになったが、こらえた。

「写真って、なんの?」

「活動が見たいって言ってたから。部員が撮った写真」

「ああ、それなら見たい」

 古泉が立ち上がって、水上の背後にある棚から厚いファイルを取りだすと、糸にぶら下がったフィルムが揺れた。彼女はファイルを机に置いて、水上の横の椅子に座った。

 ファイルの表紙には今年の年度が印刷されたシールが貼ってある。開くとアルバムだとわかった。

 アルバムには四月から月ごとに写真がまとめられていて、サイズも被写体も様々だった。

「平日の部活は基本的には火曜日だけで、休日は日帰りで出掛けたりするんだ。毎週ってわけじゃないけどね」

 写真を見ながら天水が説明をした。水上が知っている場所もあり、この町の写真がたくさん入っていた。普段通る場所でも、人が撮った写真で見ると新鮮だと感じた。知っている町角が知らない風景にさえ思えた。

「今週はどこかに行くのか?」

 黙って写真を見ているのもなんだったので、水上は尋ねた。

「うん。近くの山にのぼるよ」

 と、天水が言った。

「水上も、来る?」

 どういうわけか、古泉がそう言った。天水は意外そうに古泉を見た。

「行っていいのか?」

「どっちにしろ、よく知らないままで判断してほしくない。それが私の希望」

 そう言われると断るわけにはいかないが、入部するのもいいかもしれないとも思った。

「土日のどっちに行くんだ?」

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