二人のピエロ
とあるサーカスで出会った、二人のピエロのお話し。
あるサーカスに二人のピエロがいた。赤いピエロと青いピエロ。
彼らは別々のサーカス団からやってきた。一人はジャグリングが得意で、一人は玉乗りが得意だった。二人はいつも一緒にいるようになった。でも、メイクをしたまま話していたのでお互いの事を知ることはなかった。そんなある日。
「明日でこのサーカスを辞めるんだね」
「うん。もっと修行しようと思って海外に渡るつもりなんだ」
「そっかぁ。それは残念」
赤いピエロが青いピエロを送り出した。
サーカスの公演後、すぐに旅だったので彼らが顔を合わせることはなかった。
それから、十年の月日が流れ――
赤いピエロは、自分のサーカス団をつくり、各地を回っていた。
青いピエロはまだピエロとして各地を回っていた。
そして。
二人はまた出逢った。
そこは、二人の故郷だった。小さな村で牧草地帯が広がっている。
ずっと、昔。まだ彼らが赤ん坊の頃に一度だけ見た流れのサーカス。そこで見た光景を夢見て彼らは道化師になった。
「やぁ、また逢ったね」
「うん。久しぶり」
彼らは故郷で出会い、そして知った。自分たちが生き別れた双子だと。
二人は、一緒に世界を巡る。あの日の感動に近づくために。
いつも『Short Piece』読んでいただきまして、ありがとうございます。
たまには……こんな作品もいいですね。ちょっとしんみりな感じです。
最近思うのですが、もうちょっと派手に……自分の思うがままにバーッと書くのもいいかもと思っております。