揺れる(444文字)
夏の暑い日。
歩き疲れたサラリーマンに起きた、切ないお話し。
暑い日が続いたので、涼もうとビルの一階に入っている喫茶店に入った。
「ご注文は?」
「アイスコーヒーを」
外回りをしていてこの暑さは身に堪える。
なんせ、お世辞にも痩せているとは言い難いこの体。夏に向けてダイエットでもしようかと思ったがその気もおきない。
窓には涼しげに下げられたブラインドがゆらゆらと揺れていた。反対側にある白い壁にブラインドの影が映ってやはり、ゆらゆらと揺れている。どこか懐かしいような、ホッとできるような感覚になる。不思議なものだな。
疲れた体を癒してくれるような、この揺れたような感覚はどこか海の静かな波を思わせるように思えた。私もそんなところでゆっくりとしてみたいものだなぁ。
「あれ? 何だか……眠く……」
バタン――
癒しに包まれながら眠りについたのならよかったけど……。
「ちょ、お、お客様!?」
この炎天下、歩きすぎた上に脱水症状で倒れるとは何とも情けない。
でもこれで休暇が取れるかも……そんなことを考えていた。
読んでいただいて、ありがとうございます。
この作品も前回同様、文字縛りをしています。444文字で構成しています。今度は最低文字数の200字でやってみようかと思います。




