村の伝承~シニガミ~
なにとぞ読んでください。
初心者ですが…
彼女は揺れていた…
静かにゆれていた…
「君はどうして一人ぼっちなの?」
一人の名もない少年は尋ねた。
「君はどうして一人ぼっちなの?」
同じ言葉が彼女から発せられた。
「僕は…嫌われ者だから、友達がいないの。」
すると彼女から言葉が返ってきた。
「どうして嫌われ者なの?」
名もない少年は答えた。
「僕は普通の人間じゃない…。」
そこで名もない少年の夢は途切れた。
目をこすりながら名もない少年は辺りを見回す。
いつもと変わらない殺風景が広がっている。
手錠につながれた幼い手が真っ赤にはれている。
傷だらけの体が悲鳴を上げている
いたるところから出血している。
痛々しい…
「君はどうしてここにいるの?」
すると夢に出てきた彼女が現れて、一人の名もない少年に問う。
「僕は…化け物だから…。」
すると彼女は再び問う
「どうして化け物なの?」
名もない少年は黙り込んだ。
・・・
・・・
そして答えた。
「…分からない。」
彼女はその答えを不思議そうに思ったようで再び問う。
「なのにどうして化け物って分かるの?」
少年は答えた
「大人たちが僕に言うんだ。『化け物』『妖怪』『魔物』って…」
そして彼女は問う
「生きてて楽しい?」
そして名もない少年は答えた
「『楽しい』という言葉が分からないよ。」
彼女は微笑みながら名もない少年の首を絞め始めた。
「今から、一緒に楽しみましょう。
新たな名と肉体を手に入れて。」
名もない少年は薄れ行く意識の中で彼女に問う。
「…幸せになれるの…かな…?」
彼女は答えた、微笑みながら。
「もちろん。」
少年は答えに満足し瞼を閉じた。
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昔々、名もない少女がとある村に住んでいた。
彼女には両親がおらず忌み子としていじめられやがて飢えに苦しみながら死んでいった。
その翌日から、名もない少女をいじめ続けてきた村人が続々死んでいった。
残った村人は言った。
「我々は『死神』生み出してしまった。」
彼女の魂は無念と憎しみによって覚醒し死神となった。
やがてその村は全滅し跡形なく消え去った…
そして、何十年か経った時また別の土地から移民が住み移ったそうだ。
死神となった名もない少女の墓は取り壊され一軒の家になった。
そこにはこの村の村長と家族そして
…『一人の名もない少年』が閉じ込められていたそうだ。
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