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1.羽鳥加奈 趣味は人の恋愛話をありがちテンプレートにあてはめることです



「……で、偶然サークルが一緒でゼミも一緒になったときなんかこの人良いなって思って」

 チャラチャッチャチャチャ―

 出たよ。ありがちテンプレート。

 花菜の脳内でRPGの音楽が流れる。

 サークル同じ。ゼミ同じ。

 偶然じゃねぇな。どっちかがわざとそうしてるだろ。


 ファーストフード店の隣のテーブル席で話している女子大生の話の内容を勝手に聞き耳立てていた花菜はニヤリと笑った。

 はたから見たら変な人である。

 勝手に聞いたと言ったが、話し声がデカい上に隣の席だから聞こえてくるのだ。花菜自身知らない人の話を進んで聞くような悪趣味な真似はしない。聞くならこっそりだ。



 大学生のありがちテンプレート[付き合うきっかけはゼミかサークル]

 ゼミが一緒だったから、サークルが一緒だったから何となく話すうちに好きになっていた。

 あるいは最初からその人に好意を寄せていてその人がいるゼミやサークルに何気ない様子で入り、アプローチをしていく。

 さらにありがちは飲み会でさり気なく近づき親密になってから告白だよね。

 ここで気を付けたいのは、向こうも自分のこと好きに違いないと勘違いして暴走すると痛い目に遭うっていうことだ。酔っていた行動とはいえ、翌日以降に広まり気まずい思いをすることになる。


 よくある。よくある。



 「花菜、どうしたの?変な顔して」

 一人で笑いながら頷いていたら飲み物を買いに行っていた沙織がジュースののったトレイをテーブルに置き、向かい側に座る。

 「いや、世の中テンプレートが溢れてるなって」

 「は?」

 怪訝な顔をされた。

 沙織はテンプレートを意識していないのか。つまんないの。


 自己紹介が遅れました。

 私、羽鳥花菜。南女子高校2年です。

 割と地味目でクラスでも埋没している私ですが、ちょっと変わった趣味がありまして。

 それは人のありがちテンプレート話を聞くことです。


 テンプレートと言うのはドラマや漫画で良くあるパターンのことをこの場合言います。


 と言ってもテンプレート自体にはあまり興味がなく、興味があるのはテンプレートをテンプレートだと思わず(知らずの方がしっくりくるかな)あたかも自分だけのエピソードとして話している様子が好きなのです!

 そのエピソードを自分の中のありがちテンプレートに当てはめてニヤニヤするのがもう最高に楽しい。特に恋愛話はツボ!

 あなたの話、テンプレートになってますよって何度口から出そうになったことか。


 「花菜、また変な笑いになってるよ」

 目の前に沙織がいるのも忘れてテンプレートについて考えていた花菜はそれはもう気持ち悪い笑みを浮かべていた。

 友人でなかったらドン引きするレベルである。

 「ごめんごめん」

 口では謝罪を述べたけれど、お腹の中はさっきの大学生のテンプレ話でにやにやしっ放しだった。

 これで二日は過ごせるな。あとでテンプレノートに書いておこう。


 花菜はまたもや変な笑いになっていることに気づかず、沙織は苦笑した。

初めましてな方もそうでない方も読んでいただきありがとうございます。

王道物を書いてみたくて挑戦しました。


気に入っていただけたら幸いです。





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