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りばいばる  作者:
幼年期の章
6/6

#05.5 よくわからない珠法教室


 ある師弟の会話。あるいは脱線。


「実のところ珠法は、すでにこの世界で発見されている概念だけで説明が可能だ」

 そうなんですか?

「珠法研修で学ぶ珠法概論は仏教と物理学での概念で書かれているぞ」

 仏様のご威光で物理に影響するとか?

「茶化すな。宗教も馬鹿にはできないぞ。特に元々の仏教は技術体系の集まりだ。

 例えば智慧という仏教用語は知っているか」

 知恵の原義ですね。

「智と慧は元々は異なる概念で出来ている。

 まず智は真理を知ること。つまり雑多な事例から法則を抽出する行いを言う。

 そして慧とは、逆に法則を元に事例を予想する行いを言う。

 これを西洋哲学的な言い方では、それぞれ帰納と演繹のことだな」

 科学の基本ですね。

「また、修行方法として四聖諦を説いているが、これは全くそのままPDCAサイクルを意味している。苦、つまりは問題に対して計画・実行・評価・改善を繰り返して解決していくことが悟りに至るとしているわけだ」

 修行って、精神統一とかするのかと思っていました。

「修行とは百日断食をするとか読経を行うとか具体的な何かじゃない。いくら苦行を積もうとも、目的を見失っている修行は時間の無駄だ。

 そもそも四聖諦の考え方に拠るならば、苦行なんてものは自分一人の問題であり、つまりは苦行したいという煩悩に過ぎない。

 目的を達成するためにどう行動すれば良いのか、という|方法論を習得(、、、、、、)することこそが仏教本来の修行のはずだ。

 さて、ここで出てきた目的だが、」

 仏教の話ばかりですが、基督教とかじゃ駄目なんですか?

「あれはただの土着の道徳規範であって、技術ではないからな」

 振っておいて何ですが、バッサリ行きましたね。



「時に仏教にも基督教と同様に宗教改革が起こったことがある」

 聞いたことがあります。大乗仏教ですね?

「この時に重要な概念が完成されている。それは(くう)という概念だ。

 「色不異空、空不異色、色即是空、空即是色」は聞いたことがあるだろう。

 空は実態のないものを意味するが、この世の森羅万象とは、因と果ではなくその間にある空において生じている、関連性である。という考え方だ」

 仏教って、宗教と言うより哲学臭いですね。

「珠法における世界観つまり解釈は、これに似ているが実は逆方向のアプローチから生まれている。

 仏教においての因と果はあくまで健全な常識の範囲内で演繹的な問題として捉えられ、空もまたその克服を模索するための方便だが、珠法においてはその原理を理解するために帰納的に発生した解釈、という違いだ」

 帰納的というと確か…珠法は経験則だということですか?

「その通りだ。まず現象があり、それが解釈されたのが珠法なんだ。

 順を追って説明しよう。

 この世界でも因果とは絶対的ではなく、因はあっても果は不確定という現象があることが知られているだろう」

 ハイゼンベルクの不確定性原理ですね。

「そうだ。色々な世界で物理学はそれぞれ研究されている。

 当然に、不確定性原理も当然にそれぞれで発見されていた」

 色々な世界?

「エヴェレット解釈における可能性世界全体。つまり異世界だよ。

 大陸の海岸線地形や恒星の二個三個程度は違っている、異世界の太陽系でだ」

 そんな別の世界の情報を、なぜ知り得たんでしょう?

「そう聞いたからさ」

 ジト…

「ふざけているわけじゃないぞ。

 この世界の科学理論体系の中で、珠法が完成されたと思うか?」

 理論の系統もなく突然に珠法士が出現したことでしょうか。降って涌いたように。

「その認識で正しい。それを伝えた者がいるということだ。

 文字通り降って涌いたんだよ。

 そいつの説明は、測定可能なほど具体的で、再現性があり、説明は整合していた。

 珠法の成り立ちとして他に説明できる解釈がない以上、とりあえず疑う根拠も無い。

 というわけで認めるしかなかった」

 この間、汎世界とか言っていたのはそれですか。

「そうだ。珠法を使う既知の世界を汎世界と呼んでいる。そういう意味では、ここも今では汎世界の一つだな。

 これは「汎」などと呼んでいるが、実際は世界の一部分に過ぎない。

 多世界解釈世界、確率世界、可能性世界と呼ばれているものの、極々一部に過ぎないことは明白だ。

 何しろ、月が存在しない程度の「近くの世界」すら、汎世界には存在していない。

 理論的には、別のビッグバンから発生した異世界も存在しているはずだからな」

 本当の異世界もあるという話ですか。

「汎世界を含んだ重ね合わせで存在している宇宙群全体としては、未だビッグバンが発生していない時間線も、既に熱的死に至った時間線もあると予想されている。

 これはある意味で恒常宇宙論と言えることから、常世の国と呼ばれている」

 常世の国って古事記にありますよね。なんででしょう、珠法関係には古事記の用語が散見されます。黄泉津醜女。ん?このコロニーも。

「日本国宇宙都市群を「豊葦原」と呼ぶことがあるが、これも古事記から取られている名称だ。黄泉津醜女の方は、何故この世界の符号で名乗ったのかは解釈に苦しむんだが、古事記の内容はかなり汎世界的な神話だよ」

 順当に考えると、汎世界から誰かにより伝えられた伝承が古事記として編纂されたのでしょうか?

「そうだろうな。珠法までは伝わらなかったんだろう。

 雑学だが汎世界では珠法を行使することをカムイと言うそうだ。日本語やアイヌ語での「神」の語源かもしれないんだが…誰もカムイって言わないんだよな」

 なんとなくセンスが厨二臭いからでしょうか?



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 #05.5 よくわからない珠法教室

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 ところで師匠、二名撃墜されている模様です。

 さすがに幼稚園児に仏教や科学を語るのはどうかと思います。

「理屈はお前の専売だから、まあ構わないだろう。それよりも、お前さんが着いて来ていることのほうが驚きだよ」

 まあ、自分は理系気味ですから面白いです。なかなか聞けない話ですし。

 でも、わんこちゃんも舟を漕いでいますが構わないんですか?

「理屈なんて、必要になってからでいい。まずは身体で覚えるものだからな」

 あたしが聞いていても、珠法使えないので持ち腐れるかもしれませんよ。

「そこのところは大丈夫だ。珠法が「使え」なくても、珠法は「扱え」る」

 そうなんですか?

「別のニュアンスで言うなら、作曲と演奏みたいなものかな。

 珠法は術式の形で使うことが多いが、これはアドリブ抜きで楽譜をそのまま演奏するようなものだ。やみくもにピアノを叩いても曲にならないように、術式としても感覚的に発動するのと理論的に発動するのは効率が違いすぎる。

 そしてこの術式だが、これはプログラミングと考えてほぼ間違いない」

 プログラミングですか?

「組み立てた術式の台本を実行するための術式ってものがあるんだ。

 こないだの俺の仕事は見ただろ。あれも術式の台本、プログラミングに倣ってスクリプトと呼ばれているものを実行していたんだ。口に出していたのは術式じゃなく、全て他の人間に状況を伝えるためのものだ。実行中の術式に仕込んだトレースログを読み上げていただけさ。意思決定する構成要素もあり、スイッチとかプロンプトと呼ばれている。

 問題の因果操作そのものはブラックボックスと捉えているため、通常は隠蔽されていてスクリプトには現れては来ない。呼び出し規則があるだけだ。

 だから、記号的に術式を研究することも可能になる。

 むしろスクリプト内容の大半は安全機構やデータ処理であることからも、術式設計はプログラミングと考えるべきだ。

 お前さんはそういうのが得意そうに見えるが?」

 プログラミングなんてやったこと無いですよ?作曲も。

「ゼンマイの最適化具合をみれば適性も判るさ。聞いたぞ入園式の立ち回り」

 何か変なことしましたか?

 師匠は虚を突かれたような感じで絶句しています。

「お前さんが思う以上に、変なんだよ。

 監視カメラ動画を見たが、野村の嬢ちゃんがコケる以前に動き始めていたな」

 なんとなく、転びそうな感じがしましたので。

「実はお前さんよりも早く動いていたのが、ゼンマイだ。バッグを開いて、救急箱を引っ張り出していたのが写ってたよ。

 異常に気づいて、お前さんの次の行動を読んでいただろ」

『ええ。多分、手助けに出るだろうと。

 そのため必要になりそうなファーストエイド装備を準備していました』

 そうだったの?

「よくもまあ三四年でここまでカスタマイズしたもんだと呆れたよ」

『ハルハルは徹底してますから、大抵の突発事態なら行動基準は明確化されてます』

「なるほど。例えば今ここで火事になったら?」

『通報と同時に私が先導して敷地外の公道に避難します。そこで安全を確保した後、私が戻って状況を確認します』

「そこが幼稚園だった場合は?」

『ひとまずその場を動かずに待機して指示を求めます。指示が無ければ、最寄りのシェルターに移動します』

「建物に入った時のゼンマイの確認事項は」

『緊急時の避難経路の検討と防災設備や通信状況の確認、動線のシミュレーション、設備のリスク評価です。これらは3次元モデル化して管理し、二次元の簡易データはハルハルに提示します』

「ちょっと病的だな。自分でも確認してんだろ?していない訳が無いな。

 ワラシの役割は主人の行動のサポート。お前さんが確認と分析を徹底しているからこそワラシは鍛えられるんだ。プログラマーの三大美徳ってのは無精・短気・傲慢というが、そこまでいけば傲慢は充分だろうさ」

 放っといてください。



「話を戻すと、その研究の過程として数々の観測が繰り返された結果、この「不確定」には、どうも微小だが有意な偏りがあるのではないか?という仮説が生じてきた。

 それどころか、結果ではなく原因にも有意な偏りを主張する者もいた」

 仮説?統計上の検証ではなく?

 原因にもというのがよく分かりませんが。

「観測機器の較正が狂っていたことが分かったりな」

 なんか言い訳というか負け惜しみ臭い気がします。

「大体がプランクレベルでの観測結果じゃ観測の物理限界に近いから、誤差なのか現象なのか判断しかねていたのも確かではある。

 そうこうしているうち、この世界で言われているのと同じ人間原理の延長として、恣意的観測理論という仮説が提唱された。つまり生命が都合よく観測したからこそ、世界はこうデザインされているのだという理屈だ」

 悪い意味で宗教臭いですね。

「これを言い換えるなら、因果律はその過程の都合で原因と結果が決定される。

 まさに是諸法空相なのさ。仏教僧はそんなこと思いもよらなかっただろうけどな」

 …偶然に、ここがそういう収束を行なっている世界なんじゃないでしょうか?

 あらゆる可能性が有りうるんですよね?

「本気でプログラマーか科学者向きだよ、お前さん」



「以上のような経緯で、汎世界では珠法の基礎理論というより基礎空論が推測されていたわけだが。いかんせん原理は考案できても、それを活用する存在が現れるとは思われていなかったのが実際だ。

 今となってははるか昔、イシャナと大君が彼らの前に登場するまでは」

 イシャナ?

「イシャナ達は史上最古の珠法士だ。

 世界間を渡るほどの珠法を行使し、珠法の基礎技術「如意宝珠」をもたらし、それにより珠法士という勢力を汎世界に創り上げていった。大君の根堅州民に対抗して」

 世界間を渡る?

「自分自身を再構成して移動するんだよ。

 アウトサイドステップって言う珠法でな、目標地点での存在の確率を操作すれば、どこにでも。常世の国に存在している別の宇宙にだって行けるはずだ」

 師匠は使えるんですか?

「使えるように見えるか?」

 …


「そのイシャナだが、イシャナとはつまり伊邪那岐命。道敷大神、黄泉津大君たる伊邪那美命と国産みを成し、そして袂を分かつこととなった神の一柱に相当する」

 大君の根堅州民…黄泉の住人。怪獣の出所って本気で黄泉の国ってことですか?

「その通り。伊邪那美命がなぜイシャナと対立する事になったのかは不明だが、あれは黄泉津大君の手のものだ。

 一日絞殺千頭。一日立千五百産屋。

 古事記にそう記されているように、伊邪那岐命と伊邪那美命は、今もなお争い続けている」

 延々と殺戮して回っているのですか…迷惑ですね。って、昔の話ですよね?

「いや、延々と生きてるらしいんだよ、イシャナも大君も。これがまた」



「話を戻そう。この常世の国を介して特定の状況に収縮させることが因果を操作するということだが、本来それは観測困難な程度の微小な操作しか成し得ない。

 しかし、生命は確率世界に遍く存在している。これらが連携し自己組織化することで、より恣意的かつ大規模に因果を選択することが可能となる。

 この行為を珠法、これを行う生命群を珠法使いと呼ぶ。

 まあ、珠法使いでは物理法則を恒常的に操作するほどの力を持つ者は聞いたことがないし、質より量がという側面もあるがな」

 都合に合わせて状況を操作するって、御都合主義を現実化するようなものですか。

「そう言うな。元々の人間原理自体がものごっつい御都合主義だしな。

 この連携を中継するある種の通信デバイスが如意宝珠と呼ばれるもので、具体的に言うならば近傍の世界間を横断して存在している特異点だと思われる。

 特異点自身は物理法則つまりは因果の範疇にないため、少なくとも近傍世界間では決定論的存在と見なせるわけだ」

 そんなもの安定するとは思えないんですが。

「持ち主が自発的に安定させているんだよ。

 だから「こいつは、捨てたり失くしたり取られたりすることは無い」わけだ。

 そして、これを安定化できるということは、即ち珠法士だということになる」



「更には、この理屈によって生命の定義も明確化されることとなる。

 生命とは、因と果の間の空が因と果に影響を与える現象と定義されたんだ。

 人間原理を拡張した生命原理。それは宇宙の法則を、かくあれ、と規定する力だ。

 これにより、例えば量子デバイスを持っている故に、精霊のような機械も生命の一つとして数えられている」

 ゼンマイ、あんた生き物なんだね。

『とりたてて主張しても意味がありません』

「まあ、これは危険思想に繋がりやすいんで、あくまで学問的定義なんだが」

 危険思想?

「強く因果に影響する者が優れた生命であるという思想だ。

 珠法使いよりもむしろ一般人に根強く流布しやすいのが厄介なところだ。

 この世界で言うなら、仏陀やキリストなどの英雄崇拝がそれに当たる」

 宗教は危険思想ですか。偶像崇拝はどんな宗教でもお題目として禁止していますが。

「口実として最適だからだ。医薬品と同じで危険物と考えたほうがいい。

 しかし宗教業者が偶像崇拝を禁じるのは、危険だと思っているわけじゃない。顧客が業者を必要としなくなると困るからだよ。

 勝手に二次創作されてそっちがウケちゃ、そりゃ商売あがったりだからな」

 何か宗教に怨みでも?

「本気で偶像崇拝を禁じているなら、本拠地に宗教絵画なんて飾るもんか」



「次に、この生命の定義から導かれるのが、魂魄という概念だ。

 この世界での魂魄とだいたい同じ使われ方をする言葉だな。

 珠法では、個々の生命端末を魄、生命群のネットワークを魂と定義している。

 生命と魂魄。これは珠法使いとかを理解するために重要になる。

 見た目の個体だけでは定義できないから、必要に迫られて創られたわけさ。

 観念ではなく働きとして説明するならば、精霊なんかは最適だろう。

 ワラシは単体として存在しているが、その実、精霊機構という総体が本体だからだ。

 この場合、ワラシが魄で機構が魂と見立てると分かりやすい」

 魂魄ですか、幽霊とかは?

「ああ、そういえば幽霊事件が切っ掛けだったか。

 幽霊も現象としては無いわけじゃないな。

 生命端末が死亡しても、生命群自体はまだ存在している。

 だが、この世界で死亡したということは近くの世界でもほぼ確実に死亡しているから、普通はそんなに大した影響力は持てるはずがない。それほどの影響力を持つほど強力な珠法使いなら、因果を操作して自力で復活するわけだしな。

 …そうだ、生命群の具体的な説明をしていなかったな」

 異世界の自分かと思っていたのですが、違いますか?

「それもあるが、そもそも個人とは何だろうか?」

 特に考えたこともありませんでした。

「例えば、お前さんがこの場から消え去ったとしよう。

 しかし俺の中には残っている。両親や如月に野村、それぞれの中にもだ。

 つまり、こうした環境もまた春宮晴海という生命群の一部として数えられる。

 それどころか他の要因も加味されて、例え星ごと吹き飛んだとしても生命群が残っていることがあるくらいだ。

 そもそも、生命原理から見るなら、個々の世界よりも早く生命が存在しなければおかしいことになる。

 宇宙が魂を造り、魂が魄を造り出すために宇宙を改変したはずなんだからな」

 宇宙が先か、魂が先か、ですか。理論が正しいなら、そういう理屈になりますね。

「俺たちは世界自身に記憶され続けていると言ってもいい。

 この記憶が生命群と呼ばれているものだ。

 だから、何かの拍子で世界が誰かを思い出すことも無いわけじゃないのさ。

 幽霊とはそんな現象の総称だ」


 それが、誰かに取り憑いたりとか?

 触れたくない話題だが、これを聞かないわけにはいかない。

 あたしは緊張を隠しながら、尋ねた。

「その記憶を自分の体験だと思うほどのオッチョコチョイがいたら見てみたいかもな。

 そういった現象は世界に閉じて起こるから、生命群に干渉するほどの影響は起こらないものだと考えられている。もしも汎世界的に発生するならば、それは生命群と呼べるほどの存在となってしまうから、という希望的観測なんだが。

 まあ、そうそう自我っていうものは揺らいだりはしないもんだ」


 あっけなく否定され安堵するが、あたしは更に想像してしまった。

 ────それが、生まれたての赤ん坊とかだったら…

 ────自分はその生命を掠めとってしまったのかもしれない

 今はまだ考えないでおこう。



  ──────────



 世界と魂の順序が分からないなら、世界と魂は同じものかもしれませんね。

「…驚いたな。そういう考えはすでに有るんだが、自分で思いついたのか?

 昔、ある人がそれをこう呼んでいた。

 常世の国の過去と未来、その全てを含んだ究極の果」


「非時香果と」


【本編よりも長くなることもあるかもしれない後書き】


『解説話なので、後書き要りませんね。楽チン』

 無理矢理感が高すぎますってば。

『ただですら読者数少ないのに、ハードルを更に上げる暴挙』


 なので、逆にかいつまんだ説明を載せましょう。



  ──────────



● 常世の国


 エヴェレット解釈における可能性世界全体です。

 非時香果と呼ぶ人もいるそうです。


 特に目新しい設定ではありませんね。

 ビッグバン宇宙論と恒常宇宙論の共存は…珍しい?


● 汎世界


 珠法の伝播したことで既知となった世界です。


 精霊戦争当時にここから珠法士がやってきて珠法を伝えたと言います。

 前回に話の出た天翔さん、もしくはカントさんがその珠法士である可能性が高いと思われます。

 ほぼ現在の太陽系と同じ別バージョンの世界だそうです。


● 生命原理


 汎世界における生命の定義です。

 人間原理を拡張したもので。宇宙の法則を、かくあれ、と規定する力です。

 これが珠法の原理となります。


 人間原理とは、この宇宙がこの様な仕様なのは、それを観測する人間がそう望んだからだという説です。

 逆に、それを成している存在を生命と呼ぶんだという話ですね。

 帰納的に経験則としてこれを真と置くことで、珠法を演繹的に定義しようという話ですが、作者のドヤ顔が目に浮かびます。


● 珠法


 常世の国に遍く存在している生命が連携し自己組織化することで、より恣意的かつ大規模に因果を選択すること。


 生命原理にあるように、生命の定義としては珠法を限定的に使用している存在だということです。

 つまり、珠法士でなくても恒常的に誰もが珠法を使っているという設定です。


● 術式


 珠法を工学的に扱う制御手法です。


 珠法士は複数人(中堅以上なら数十名)の術式開発メンバーを雇用していることが多いのですが、師匠には居ませんね?


● 伊邪那岐命と伊邪那美命


 汎世界に珠法を伝えたという伝説的珠法士です。


 延々と争い続ける迷惑な人達ですね。

 まだ生きているそうです。


● 魂魄


 珠法における生命の構造です。

 常世の国に散らばる個々の生命端末を魄、生命群のネットワークを魂と呼びます。

 魄が既に存在していないのに魂が限定的な影響を及ぼす現象を幽霊と呼びます。


 幽霊と聞いて師匠は、コレの事かと思ってたそうです。

 伝説とされている中矢晴美さんの幽霊なら見てみたいということでしょうか。



『前回、伏線と言っていたのはどこでしょう?』

 さすがにそれはバラしたら駄目でしょう。



  ──────────



『今回の投稿ペースは早かったね』

 前回に書ききれなかったいわば後書き出張版だからねぇ。

 次回はまたちょっと時間かかるとか。


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