はじめての"おそろい"
とある田舎町に暮らす清水夏穂。彼女には、小学生からの幼馴染がいた。幼馴染の名前は白雪吹雪。小学校入学前に、清水家の近所に引っ越してきた。2人はすぐに仲良くなり、小学校でもずっと一緒に過ごしていた。夏穂は吹雪を弟のように可愛がっており、吹雪もまた、夏穂を大切な存在だと思っていた。
これは、そんな過去をもつ夏穂と吹雪が中学生になってからのお話。
春の暖かな風が吹く季節。夏穂と吹雪は中学校の制服を着て一緒に下校していた。
夏穂「吹雪〜、今日うちにおいでよ。」
吹雪「えっ!? い、いいの?」(頬を赤らめる)
夏穂「わたしたちも中学生になったし、お泊まり会くらいしてもいいでしょ〜」
吹雪「そ、そうだね。」
(カバンの中から新品のジャージを取り出して)
「こ、これ、持っていくね!」
夏穂「おっけ〜 わたしもジャージの準備しとこ〜」
吹雪「う、うん!」
吹雪は母親に許可をもらい、今日学校で配られた新品のジャージを持って夏穂の家へ・・・
ピンポーン
吹雪「お、お邪魔します。」
夏穂(あっ! 来た!!)
夏穂の部屋のドアをゆっくり開けて、体操服を着た吹雪が入ってくる。細い手足、小さな身体、色白の肌。ドアを閉め、くるんっと夏穂の方を向いて・・・
吹雪「うぅー!さ、寒い!夏穂、早くジャージ着よっ!」
夏穂「吹雪は相変わらず寒がりだね。笑 一緒に着よっか!初めてのお揃いの服だね!」
吹雪「そ、そうだね。なんだか不思議な感覚...でも、とっても嬉しい」(小声)
紺色に白のラインが入った中学のジャージ。2人は新品のジャージに袖を通す・・・
夏穂「このタイプの服って、ハーフジップっていうんだよね?胸元までしかファスナー開かないようになってるやつ。」
吹雪「う、うん。でも、すごいあったかそう...」
そう言って、吹雪はそっとジャージを着て、ファスナーをゆっくり閉めた。そして・・・
吹雪「これじゃあ、まだ寒い...」
そう言うと、カバンからジャージの長ズボンを取り出し、急いで履くと・・・
吹雪「はぁ〜あったかい〜落ち着く〜」
上下ブカブカのジャージ、ファスナーを一番上までしっかり閉め、袖で手を隠し、幸せそうに微笑む吹雪。それを見た夏穂は・・・
夏穂(ずるいよ...そんなかわいい顔して...)
(私も...吹雪と同じがいいな...)
夏穂もファスナーを一番上まで閉め、長ズボンを履いた。
吹雪「えっ...夏穂も?」
夏穂「...ふふっ 折角ならお揃いがいいじゃん!」
吹雪「えへへ、これからも、一緒にがんばろうね!」
夏穂「そうだね!吹雪とならどんなことも頑張れる気がするよ!」
夏穂は、自分よりひとまわり小さい吹雪をそっと抱きしめ、そっと微笑んだ。
吹雪「か、夏穂、いきなりそんな...!僕、い、いや、俺、恥ずかしいよっ...」
夏穂(ニヤッと笑って)
「"僕"って言った〜 そんなに照れなくてもいいんだよー ふ、ぶ、き、くん!」
吹雪(〜〜〜//!)
2人で過ごす初めての夜は、夜空色のジャージに彩られた...
2人が抱くそれぞれへの"想い"。そんな2人の心情の変化や青春の1ページを、"お揃いのジャージ"と"ファスナー"に焦点を当てて表現していきます。
初めての投稿となります。まだ、右も左も分からない状態ですが、不定期更新でゆっくり投稿していきたいと思います。
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