大人ならお菓子は自分で買え! 毎日お菓子のワールドカップが開催されている場所に、俺が案内してやる。日本にあるのさ!
「トリック・オア・トリート!」
「お菓子くれなきゃ、イタズラしちゃうぞ!」
【……臨時ニュースをお伝えします。本日11月4日の昼間、北海道に季節外れのハロウィンコスプレをした中年男性が出没しました。男性は道行く人々に年甲斐もなくお菓子をねだり、無視した会社員のスマホを強奪してSIMカードを引き抜くなど、確かに漢として筋を通したイタズラをした模様です】
【北海道警察は器物破損、暴行容疑の現行犯で自称ラノベ作家、SSM49容疑者の身柄を拘束し、取り調べの際に容疑者が要求したカツ丼の差し入れを拒否したという事です】
皆さん、このニュース聞きましたか!?
(これは演出上のフェイクニュースです)
いい歳した大人がけしからんですよね?
私も北海道釧路市に住む者ですし、SSMなんて片仮名あてたらシサマですし、49を年齢疑惑にされてしまったらもう夜も眠れませんよ!
おふぅぅ、いきなりテンション高いですけど、風評被害とか心配して焦っている訳じゃないでふよハアハア。
例え物価高や生活苦があっても、大人ならお菓子くらいは自分で買えるでしょ?
私もうまい棒3本で1日凌いだ事ありますしおすし。
馴染みのお菓子が値上げしたり、極小化したり、味そのものが劣化したり……くっ……お菓子にメンタルを破壊されそうになった時は、一度心を日本から離脱させれば良いのです!
つまり、閉塞感に包まれた日本人が西洋のお祭りであるハロウィンに浮気したように、外国のお菓子に浮気してみましょう!
現在は円安が進んでいる関係上、外国のお菓子も確かに値上がりはしています。
しかしながら、現在でも外国のお菓子を手頃な価格で提供してくれるスーパーが存在しています。
そこは皆さんご存知、『業務スーパー』!
業務スーパーでは、大量割安の業務用食材以外にもカップ麺1個、炭酸水1本から普通に販売しており、日本全国チェーンならではの太い流通ルートを活かした外国のお菓子も盛り沢山。
そこでは1年間365日、「お菓子のワールドカップ」が開催されているのです!
これは入場しないとソンソン。北海道釧路市にだってあるのですから、あなたの街にもありますよね?(←マウンテンゴリラならぬマウンティングシサマ)
ワールドカップと言えば、サッカーファンのは私としてはやはり『FIFAワールドカップ』。
従いまして、ここでご紹介するお菓子に対しても予選を行いましょう。
現在日本のお菓子市場では中国、タイ、マレーシア、インドネシアなどのアジア諸国産が、地域のドラッグストアにまで進出しております。
有名な所では、あの『オレオ』や『スニッカーズ』も中国生産になりましたし、成形ポテチの『プリングルズ』もマレーシア生産の比率が増し、近年劣化が進んでいて悲しいですね。
これらのアジア諸国のサッカーは、徐々にレベルが上がっているものの、まだワールドカップに出られるレベルではありません。
つまり、業務スーパーに売っていても今回は予選落ちとさせていただきます!
それでは早速、業務スーパーに入場してみましょう。
なっ……!? いきなりマレーシアの袋焼きそば、『パン・ミーゴレン・ドライカレー』のお出ましかっ!
この誘惑に勝たなければお菓子コーナーに到着する前に財布が空になってしまう、急がねば!
まずはワールドカップと言えばこの国を外せない、ブラジルのお菓子の登場です!
イタリア生まれのバウドゥッコさんが、コーヒー農園を営む知人を頼りに移住したブラジルで起業した食品メーカー『バウドゥッコ』。
今では日本の『コアラのマーチ』の現地製造販売権を所有しており、日本との繋がりも深い「お菓子のブラジル代表」と言えるでしょう。
業務スーパーで買えるバウドゥッコのお菓子は、黄色いパッケージも眩しいクリームウエハース。
バニラ、チョコレート、ストロベリーの3種類がありますが、適度な酸味と爽やかな香りがやみつきになり、甘さもくどくないストロベリーがイチオシです!
チョコレートは一見して美味しそうなチョコレート色のクリームがサンドされていますが、そのテイストは甘さがまっすぐ舌を貫く「茶色いハチミツ香料」の如し。
意外性のあるプレーで好調時は手がつけられないものの、次の試合ではパッタリと不振に陥ってしまうブラジル代表のエースFW、リシャルリソンを彷彿とさせるお菓子です。
このご時世、10枚入り88円(税別)という価格は日本のお菓子では不可能。
皆さんも是非、バウドゥッコのクリームウエハース(特にストロベリー)をご賞味下さい!
続いてのエントリーは、地味ながらワールドカップの常連国となった東欧ポーランドのお菓子。
かつては粘り強い守備に、FWへのロングボール1本でのカウンター頼みだったポーランド代表。
しかし近年、世界最高峰のストライカーであるレヴァンドフスキの登場で攻撃力が高まり、ミリクやピョンテクなど、FW選手の質と層は過去最強と言えるでしょう。
そんなポーランドの伝統的なお菓子、『クルフカ』が業務スーパーに上陸しました!
ひと言で表すなら、「サクホロの口どけキャラメル」ですね!
日本でよく知られるキャラメルは、ミルクとバター、それに準ずる乳と脂肪を贅沢に練り込んで作られています。
よく言えばなめらかな美味さと口当たり、悪く言えば入れ歯キラー、奥歯の詰め物の敵。
ポーランドのクルフカは、キャラメルとしての甘さと美味さを提供しつつもサクッと噛み切れ、ホロっと崩れてお口で溶けるのです。
言葉では説明しきれず、これはもう食べてもらうしかありません。
私のイチオシは『ミルク&ココアファッジ』。
ひと口食べただけで夢見心地な甘さと美味さが広がり、控えめなココアフレーバーがミルクと溶け合う事で、自動的に脳内ブラックコーヒーが生成されます(笑)。
ああ! ブラックコーヒー飲んでこの後味のまま歯を磨かずに眠りてえ!(←虫歯不可避)
しっとりした高級感を敢えて捨て、無骨とも言えるクリスプ感でユーザーを黙らせるその甘い漢気……。
その根源は、いつまで経ってもスピードとビルドアップに秀でた「現代型センターバック」が育たない現実の反面、屈強なフィジカルとアツいメンタルを持つ「闘将型センターバック」は、頼まなくてもワラワラと湧いてくる土壌と無関係ではありませんね!
『ミルク&ファッジ』は、その甘さからして1週間は持ちそうなたっぷり200g入りのひと袋が248円(税別)です。
続いてはギリシャのお菓子、『エンジェルバイツ』!
ああ……俺だけのエンジェル(天使)のバイツ(牙)で噛まれてえ……などという他力本願の恋愛観をお持ちの貴方!
まずは自分を変えるために一歩外へ出ましょう! どうでしょう……まず業務スーパーから始めてみては……?
サッカーのギリシャ代表は、まだ3回しかワールドカップに出場していません。
しかしながら2014年大会では日本代表と対戦し、粘り強い戦いでスコアレスドローに持ち込み、結果としてベスト16を勝ち取りました。
世界大会で力を発揮していた頃のギリシャ代表は、カウンターですらない守備的サッカーが売り。
もっぱらサイド攻撃でファウルを誘っては、セットプレーから190cmくらいのお兄さんがヘディングで決めた1点をひたすら守り通したのです。
保守的で、特に個性もないが結果を出し、終わってみれば上手くやった、美味くやった……と言わざるを得ない手堅さ、それがギリシャ。
エンジェルバイツはサクッと軽くて薄いウエハース生地の中にクリームを包んだ、日本の『コロン』や『ピコラ』に近い雰囲気のお菓子。
パッケージを見た瞬間から、「試す必要なんてねえ、美味いに決まってるんだよ!」と輸入菓子マニアの心が騒ぎます。
バニラ、チョコレート、ピーナッツバターの3種類がありますが、私のイチオシはチョコレート。
外のウエハース生地もココア色をしているので、見た目でも美味しさを後押ししていました。
現在のギリシャ代表は、強豪オランダ代表を差し置いて、EURO2024本大会出場の可能性を残しています。
その背景にはこれまでとは真逆の、「守備の脆さを充実FW陣の得点力でカバーする」という戦い方があったのですね。
スコットランドのセルティックで、日本代表の古橋選手と得点王を争ったギアクマティス。
オランダで得点王を獲得し、今期からスペインに活躍の舞台を移したドゥビカス。
オランダのAZで日本代表の菅原選手と抜群の連携を見せるパブリディス。
欧州得点王クラスの選手を、コンディションで使い分けられるギリシャ代表。
日本と縁のある選手が多いため、サッカーでもお菓子でも日本に「ギリシャ旋風」が吹き荒れるかも知れません。
ちなみにエンジェルバイツは満腹150gのひと袋が168円(税別)です。
日本のお菓子にクオリティが近いので、外国のお菓子初心者にはおすすめ出来ますね!
さあ、いよいよ最後のお菓子のご紹介です。
私の激推し! 業務スーパーNo.1輸入菓子はフランスのクッキー、『ガレットブルトンヌ』!
現在、ベルギーと並ぶサッカーのタレント輩出国フランス。
フィジカルとテクニックを兼ね備え、かつちょいワル(素行が悪い)な選手をいくらでも生み出す、今やブラジル以上のサッカー先進国。
選手の素行の悪さが目立って見えるのは、アフリカ系をはじめとする移民の増加が治安を脅かしつつも、彼らの夢を低賃金で引き寄せないと国と経済が回らないという、実情の裏返しと言えるでしょう。
そんなフランスですが、サッカーから最先端の戦術や厳しい規律のようなものは窺えません。
国内リーグで顕著な多国籍なタレントの持ち味、まずはそれを融合させる事に力を入れているように感じます。
つまり、国内リーグでタレントの持ち味を引き出して伸ばし、移籍したドイツやイングランド、スペインやイタリアのクラブで戦術や規律を叩きこんでもらい、最後に代表に還元する……という仕組みですね。
現在のフランス代表No.1の選手は、疑う事なくキリアン・エムバペです。
しかしながら、彼はその素材の持ち味を真っ直ぐに伸ばしただけの段階であり、クラブ移籍や大人の思惑などに対応するずる賢さはまだ育っていません。
彼ほどの選手がまだ移籍先を決めかね、自分が傷ついてでも育ったクラブを出ていく決心を下せないという現実は、ひとりの青年としての素朴なプラス面と見るべきなのか、プロサッカー選手としての大きなマイナス面と見るべきなのか、その答えは近いうちに出るでしょう。
という事でフランスのお菓子も、素材の持ち味を真っ直ぐに伸ばせば十分に美味しいのです。
チョコレート系のドイツと並び、クッキー、ビスケット系の伝統と技術は抜きん出ているフランス。
小麦粉、卵、砂糖、食塩、バター……何百年も変わらない伝統の技法を用い、添加物も最小限にしたクッキー、ガレットブルトンヌが美味しくない訳がありません。
日本のお菓子は衛生面で世界屈指の評価と信頼を得ていますが、ヨーロッパでは身体に良くないとされて使用を控えているショートニング(精製油脂)を、コストと手間の削減を理由に濫用しています。
外国のお菓子を手に取ってみると、アメリカなどを除けば大半の国のお菓子で添加物が減っている事に気づき、実は日本のお菓子はネットで持ち上げられている程の評価ではない……と疑う視点も必要ではないでしょうか。
何の変哲もないバタークッキー、ガレットブルトンヌは何とバター17%使用で、125g、16枚入って168円(税別)です。
ひと口食べればあまりの美味しさに完食してしまい、その日は罪の意識で普通の食事が取りにくくなる事でしょう(笑)。
……お菓子のワールドカップ、いかがでしたか?
良くも悪くもグローバル化が進んだ現代、外国のお菓子は日本人の口に合わない……そんな時代は終わったと思います。
しかしながら、このまま円安が進行すれば、業務スーパーのお菓子もやがて高級品となり、店頭から姿を消してしまうかも知れません。
大人は今一度、真剣にお菓子の未来と向き合ってみるべきだと感じます。