表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/25

龍虎相搏 (3)

「ぐぬぬぬぬぬ・・・ツァラー!!!」

「・・・はい、でリム・・・」


別の水たまりから、今度はツァラー卿が現れた。


「お前は、俺の命令を聞いてくれるよな」

「・・・・・・」

「おい・・・」

「その・・・サ・タ様・・・僕は・・・僕は・・・もう、これ以上みんなを苦しませたくないでリム・・・」

「そうか・・・そうか・・・お前は本当に優しいのだな・・・ツァラーよ」


サ・タはゆっくりとツァラー卿に歩み寄った。


「だがな、その苦しみが今後のために必要なんだ。セア星の生きとし生けるもののためにも・・・」

「サ・タ様・・・もう、嘘はやめてほしいでリム」

「嘘だと・・・俺の言葉のどこに嘘があるというのだ・・・?」

「先ほどの命令・・・」

「命令・・・?」

「卿団員と、セア星に生きる者を、全て、エナジーに還せと・・・それで、セア星に何が生き残るというのでリム?」

「ああ・・・なんだ、そんなことか。それだったら、また創り直せばいいだけの話だよ」

「・・・創り直す?」

「ああ。私は神なのだから。そんなことはたやすいことだ。ああ、そうだ。また創り直すときには、お前が望む世界を汲んでやろう。お前の望む、平等な世界を」

「・・・そういう問題ではないのでリム。サ・タ様は、本当に自分のことしか頭にないのでリムね」


ツァラー卿は、ゆっくりとサ・タから離れていった。


「お、おい・・・ツァラー!!!!!」

「・・・それに、僕は分かってしまったのでリム。平等な世界は無理だということを」

「無理なんてことはない。俺の力をもってすれば、お前の理想の世界なんてものは・・・」

「ただ、その思い描いていた世界になると、今より一層みんなが不幸になってしまうことが分かったのでリム。平等でいなくたって良かったのでリム。大切なのは、その違いを認め合うことだったのでリム」

「だったら、今度は皆が違いを認め合える世界を・・・」

「僕はもう、みんなを苦しめたくはない。それに、今生きているものの幸せを守りたいでリム」


サ・タはツァラー卿の後を追い、その肩に手を掛けようとしたが、その手をすり抜けるように、ツァラー卿も水へと還っていった。


「・・・サ・タ様」

「おおおお、その声は・・・ウェヤーか」


サ・タが振り向くと、そこにはウェヤー卿が立っていた。


「お前は・・・俺の味方だよな」


サ・タは腰を低くし、すがるようにウェヤーの手を掴んだ。


「・・・違うでトス。最後の別れを言いに来ただけでトス。ですから、その手を離してほしいでトス、サ・タ様」

「・・・やだ。お前だけは。お前だけは分かってくれるはずだ」

「僕には何も分からないでトス」

「いや、お前だったら話せば分かる」


サ・タは俺の方を指さした。


「確かに俺は嘘をついたことがあるかもしれないし、利己的な部分があるかもしれないが、あいつは・・・タイガーマンは、あのニマを殺した張本人だぞ。お前が愛した、あの女を手に掛けた張本人。そんなやつを許すわけにはいかないだろ!!!」

「許さないでトス」

「そうだよなあ。だったらここはお互いに手を取り合った方が・・・」

「しかしサ・タ様・・・ニマはタイガーマンに殺されることを望んでいたそうでトス」

「なぜお前にそんなことが分かる!!!」

「タイガーマンが言っていました」

「お前は・・・こいつの言うことを信じるのか!!!神である私を差し置いて!!!」


ウェヤーはサ・タの手を、静かに振り払った。


「あの女の考えそうなことでトス。・・・だからこそ、納得できます。・・・さようなら、サ・タ様・・・」


ウェヤーもまた、水へと還っていった。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


サ・タが天を仰いで叫んだ。


「飼っている犬に手を噛まれただと・・・この、俺様が・・・」

「往生際が悪いぞ、サ・タ」

「うるさい!!!!俺はまだ・・・戦える・フュージョン!!!!!・・・・・(カタマグロス)


サ・タは再び変身し、俺に向かって戦闘態勢をとった。


「オレハ・・・負けない」


俺も、戦闘態勢をとった。

その時である、足元の水たまりから声が聞こえてきた。


「サ・タ様、お願いです。負けを認めてくださいでトス」

「裏切りモノが何をいう・・・オレハまだ・・・」

「いえ、負けでリム。自分の姿を見るでリム」


その姿――タイガーマンと瓜二つ。ただ、真っ黒いだけの虎男(タイガーマン)


「たとえそれが無意識でも・・・その姿こそが答えです。エナジーとは自己実現の力。今のあなたが目指す存在とはつまり・・・」

「ウ・・・ウルサイ・・・勝てば良いのだ、ナンデモ・・・」

「そうでリムか」

「なら、私たちも」

「この世の未来のためにはなんでもするでトス」


水たまりひとつひとつがタイガーマンの元に集合していく。


「エナジー、それは、自己実現の力。夢を、現実に」

「僕たち三人と、同じ意思を持つ仲間の力を合わせれば・・・不可能を可能にするはずでリム」

「・・・創造主(あなた)を倒すことだって」


水たまりはひとつになると、一つの生き物のように形を保ち、タイガーマンの手の上に乗っかった。


「あとはお願いでトス、タイガーマン」

「僕たちの意思と」

「あなたの意思を合わせて、どうか、この世のために・・・」


「ああ、分かったよ」


御父(パテラス)御子(ペディ)御霊(プネイマ)の力において・・・・」

「慈悲あまねく慈悲深き(レライシオン)の力において・・・」

南無(なむ)南無(なむ)涅槃(ニルヴァーナ)・・・」


「融合!!!!!滅虪剣(スタウロス)


その瞬間、タイガーマンの手上の水玉が、一メートルほどの長細い剣に形を変えた。


その剣先を(カタマグロス)に向け・・・ひと思いに、突き刺した。

読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ