表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/16

プロローグ

 月曜日。1週間で最も憂鬱な日。鳴り響く目覚まし時計の音と共に、私は目を覚ます。


「うう……起きたくない……起きたら1週間が始まる……」


 目を開けると、転生して悪役令嬢になっていた――なんてことはなく、見慣れた天井が視界に広がる。体を起こして、時間を確認する。学校の時間が、刻一刻と迫っている。


「やばい、着替えなきゃ……」


 すぐに制服を着て、急いで階段を下りる。顔を洗って、髪を整えて、靴を履いて……。


「お母さーん! 行ってきまーす!」

「朝ご飯はー?」

「今日はいらなーい!」


 何の変哲もない、いつも通りの一日が今日も始まる。




 私、伊藤茜はどこにでもいる平凡な女子高生。自慢できるような特技もなければ、これといって苦手なことがあるわけでもない。成績は学年のど真ん中で、趣味はアニメ鑑賞とかラノベを読み漁ったりとか、そういうありきたりなもの。


「ま、現役JKっていう貴重なステータスがあるんだけどね~」

「……女子高生って、そんなに特別かしら?」

「そりゃあもう需要ありまくりでしょ。てか、ないと困る。私の唯一の長所だし」


 一緒に登校している彼女は一ノ瀬玲。容姿端麗で、有智高才。おまけに大企業の社長の娘。そして私と同い年、つまりJKというわけだ。

 なんだろうこの敗北感。


「でも、茜には茜のいいところがあると思うわよ?」

「どういうところ?」

「それは…………面白いところとか」

「ちょっと考えたよね今。しかもなんとか絞り出したやつだよねそれ」

「さあね。ほら、急がないと遅刻するわよ?」


 そういうと怜は少し早歩きになる。私もそれに後ろからついていく。

 もう何度も通った横断歩道を渡ろうしたその時。


 ――物凄いスピードで、車がこちらに突っ込んでくるのに気づいた。


「は、ちょっ、れい――」


 状況を理解できな……いやいや、考えてる場合? どう考えてもこれ直撃じゃ……。どうしよう。躱せる? いやいや間に合わない。ジャンプ? 少なくとも、足はもげそう。

 ……ていうか、なんでこんなに思考が巡るんだろう。もしかして、死ぬ直前は世界がゆっくりに見えるとか……そういうの?


「あっ……」


 切羽詰まった私にできたことは、親友の背中を押すことだけだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ