ヒュドラとの戦い
修正 24.07.17
吹き飛ばしたはずの黒の首は、瞬時に再生しその隣には新たにもう1つの首が生えた。
「効いてなそうだな……」
「シャアァァ!!!」
槍龍殺の攻撃が気に食わなかったのか、ヒュドラは怒り狂い死霧を使った。
黒い霧を俺を囲むように撒いた。
この霧は、ヒュドラの特殊スキルか。
俺は、直ぐに左手で口を塞ぎ、息を止め霧を吸わないように注意する。
――サッ!
霧の中から何かの音がした瞬間、蛇の形を模したヒュドラの鱗が、視界の外から襲ってきた。
【魔法感知】【魔力感知】【攻撃感知】や視界を明るくする【鮮明化】などを用いて、その蛇を躱した。
片手がふさがっている状態であり、もし擦り傷でも付けばそこから致死性のある霧が入る。
正直、この状況で攻撃はリスクがある。剣を使っても良いが……ここは、スキル【空斬】を使って触れずに抵抗するとしよう。
【空斬】は、剣や手刀などから空の斬撃を出すスキルである。このスキルは、見えない攻撃を出すことができ、その攻撃は魔法無効、スキル無効などの妨害を無視するというもので非常に使いやすく重宝している。
その代わりスキルを使うときに消費する心力はかなり多いが、俺の心力を貯蔵している能力の器から見れば微量だ。
今は、【空斬】を用いて対抗しているが霧を払わないかぎり、息を止めながらの戦いとなる。
視界は、【鮮明化】を使っていても暗闇の霧の中で良くない。息を止めるにしても、最高でも1分が限界だ。スキルを使えば、耐えられるが消耗戦になるだけで、状況が悪化することに変わりはない。
どうにか霧を払えないだろうか……。と考えを巡らせると、1つの案が浮かぶ。
【空斬】を全方位全力で使えば風圧で霧を晴らすことができるのでは、と。蛇を攻撃する際に【空斬】を使用した時、霧が少しだけ動いたのだ。可能性はある。
だが、問題は他にあった。
霧を晴らしたとしても、その霧がもし致死性を保ったまま風に吹かれて街に向かったとしたら……。やはり、この案はリスクが大きい。
「……!?」
その瞬間、俺の右腕は弾けるように粉々に吹っ飛んだ。【痛覚遮断】を使っているのに、痛みは微かに感じる。どうなっているんだ。
【魔法感知】【魔力感知】【攻撃感知】スキルに加えて【未来視】スキルを使っていたのに、全く分からなかった。
この攻撃は一体……
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