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「ダンファル草原③【決着】」

 (……下級魔法だと)

 

 ゲイルは、その圧倒的な差に……絶望仕掛けていた。 だが、気づく

  

 ――――なぜ、炎魔アークは本気で魔法を行使しないのか

 

 下級で、この威力だ。もし、最上級を使えば……一瞬で消し炭になるだろう。 

 それでも、使わない理由は何なのか……

 

 ――――いや、使わないのではなく……さっきの魔法が最上級で限界なのではないかと

 

 ゲイルは、考えをまとめると行動に移した。

 

 「確かに……俺では、勝てないかもな」

 《だろうな、貴様では勝てない 魔法でも、知恵比べでも……な》

 

 (圧倒的な力の差を見せつけて……俺を、弱体化させるつもりか)

 

 魔法を行使する。 簡単に、そうは言っても……実際は楽なことではない。

 例えば、同じ魔法でも 個人の力の差で同威力の魔法にはならない。

 ファイヤとファイヤをぶつけても……相殺せず、どちらかが上回ることもある。

 

 ――――それは、”心情”による魔力の揺れが関係している。

 精神が安定していないときは、魔法も脆く……精神が安定し何か意思を持っているときは……魔法はより強靭になる。

 

 ゲイルは、炎魔アークが精神に負荷をかけて……魔法を脆くし戦闘を有利に進めようとしていると考えたのだ。

 

 「お前の、考えは読めた。

 心が、読めるなら、読んでみな……さぁ、俺はもう負けるつもりは微塵もない」

 

 フォールンが、逃げれれば生きていれば良いと考えていた、だが今のゲイルは炎魔アークに勝つつもりでいる。

 それは、まさに弱気だった”心情”が強気に確固たる意志を持った瞬間だった。

 

 「さっきの、魔法ファイヤじゃないだろ。

 いや、少し違うか……”途中”までファイヤだっただろ。 俺の、魔法と衝突するその瞬間にクリムゾンに変えた?そうだろ」

 

 《(こいつ、ゲイルと言ったか……まさか、そこまで読めているとは……)》

 

 「答えないのなら、それでも良いさ。 全力で、行くぞ! 炎魔アーク」

 《ふっ、受けて立とう》

 

 炎魔アークは、少し笑うと上空から地上に降りると魔法を唱えた。

 

 《-ごく-炎魔煉獄槍えんまれんごくソー!》


 赤色の炎と青色の炎が、混ざり合ったそれは黒炎へと変化し

 槍へと、姿を変えた。

 

 (あれは……、なかなか魔力消費が激しい魔法のはずだ。連発は、できない……ならばこっちも出し惜しみはしないでおくか……

 それに、あの魔法”赤紫”の魔力……)

 

 ”赤紫”は、最も高い魔力。

 赤紫それ以上の魔力の強さは測定できない。

 

 「なら、こっちは――――氷聖球魔槍ひょうせいきゅうまソー!!」

 

 白の光と、青の氷が槍へと姿を変え……真っすぐ突き進んだ。

 

 二つの、巨大な魔法は”赤紫”に達し……それは一瞬だが”白”に達したようにも見えた。

 黒い炎を纏った槍と白と青の光と氷を纏った槍は衝突し……

 雲は、裂け……オーロラのようなものも空に現れた。

 

 そして――――決着

 


 

 

 《まさか……この、炎系魔法の最上位に位置する魔法が……破られるとはな》

 

 「強かったよ、炎魔アーク……

 本当に――――負けるところだった」

 

 紙一重――――僅かな魔法相性と心情の差によってゲイルは辛うじて勝利をつかんだ。

 ゲイルの後ろは凍り、炎魔アークの後ろは燃えていた。

 そして、アークの体には霜が降りていた……

 

 炎を纏っていた、おぞましい炎魔アークの姿は無く――

 赤い目をした、紅の髪を持つ、美しい青年がそこには居た……

 

 「これが……炎魔アークの、姿――――」

 

 静かにゲイルは、呟いた――――

 

 

 *

 

 

 「あいつが……ゲイルか」

 

 森に、潜むその男は静かにそう言った。 

 そして、その男の左瞳ひだりめに赤い魂が吸い込まれていった。まるで、”炎の精霊”が……吸収されたように――

 

 彼の、腰には確かに「刀」があった。

 

評価よろしくお願いいたします。

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