「ダンファル草原②【炎魔】」
炎魔 デビルアーク。
それは、世界国家議会によって決定された悪魔の名称の一つである。
極指定モンスターとして、認定され国家滅亡レベルの魔物として登録されている。
世界国家議会の魔物の分類では【悪魔】となっており、今はかつて畏怖すべき存在として恐れられていた三大妖の転生体と考えられ16年前に一度廃止された特異名である「三大妖」を復刻させそこに悪魔を三体追加した。
それが、
氷魔 デビルクライズ
炎魔 デビルアーク
強魔 デビルグラディウス
三大妖として、追加された悪魔である。
その、三体はかつて精霊であったと考えられている。
知恵を持ち、魔法を扱う霊――精霊。
その精霊の長として、五長老精の三長老として精霊が住む精霊界を支える存在であった。
だが、その三長老の クライズ、アーク、グラディウスは精霊を――いや人を裏切った。
人と、精霊を結ぶ精霊界を滅ぼしたのだ。
幻想空間と現実空間の間に位置するそれを、燃やし、凍らし、消した。
それにより、精霊をこの現実空間に顕現させることは困難になったのだ。
それが、三大妖の始まりである――
「フォールン。スキル【身体強化】を使ったらすぐにここから逃げてくれ‥」
俺は、炎魔を前にしてせめてフォールンを逃がそうとした。
「は、はい」
いつものように、どこか上から目線で言うのではなく優しい声でいつもと違う口調で返事を返した。
予想と違う、反応をされたことで少し驚いたがそれを聞いてすぐにスキルを発動させた。
「行け!フォールン」
「また、後で――」
そう言って、フォールンは遠くの一本の木まで走っていった。
それを、確認すると俺は向かってくる【炎魔煉獄球】を相殺するために【氷魔氷結槍】を放った。
大きな、漆黒の炎【炎魔煉獄球】に真っ直ぐに進む氷の巨大な槍【氷魔氷結槍】は空気すらも凍らしながら【炎魔煉獄球】を相殺した。
《お主‥‥名をなんという?》
その、声は間違いなく炎魔からの言葉であった。
「なんで、そんなことを聞くんだ?」
《なぁに、変わったことではない。ワシの魔法を、相殺しよったので気になっただけじゃよ‥》
そう言いながら、双方ともに魔法を連続で発動させるために魔法陣を構築する。
「そうか、俺はゲイル。ゲイル・アースだ」
《ゲイル‥か。覚えておこうぞ、その名を!》
その瞬間、その一瞬だけ炎魔が見えた。
炎に包まれていた、体から一瞬炎が消えたのだ。
赤い目をした、紅の髪は先程話していた老人のような声からは想像もできないほど若々しい姿だった。
「氷水氷河牙!」
「炎発‥」
ゲイルの魔法発動と同時に、炎魔アークの魔法が発動する。
大きな牙の形をした氷の牙は炎魔を捉えた。 だが、届かなかった。
小さな、炎の球体で相殺されたのだ。
(まさか‥‥炎魔法最上級のクリムゾン!?)
氷系魔法でも最上級に位置する魔法【氷魔氷結槍】と同レベルの魔法を相殺され、驚くゲイル。 だが、炎魔の言葉にゲイルは圧倒的ともいえる差を知るのだった。
《心の声が、丸聞こえだぞ――》
「な!?」
あまりの、言葉に動揺隠せない。 そして、続けて炎魔は言う。
《今のは、クリムゾンではない。炎系下位魔法のファイヤだ》
(え――)
言葉にすることができないほどにその差は圧倒的だった。
最上級魔法が、下位魔法に相殺されたと言うのだから――




