閑話 -新しい冒険-
フェンリル町。
既に、なくなった過去の町だ。
ゲイル、彼はそこですべての死体を見つけ出し墓を作った。
せめてもの、施しだった。
助けられなかった、だからこそせめて安らかに眠ってもらおうと。
「お主の、名前はなんと言うのじゃ?」
「え?」
フォールン。
苛立ち、憤怒している俺に問いかけてくる。
どうやら、墓を作り終えるまで待ってくれていたようだ。
邪魔をしないように、遠くで。
「俺は――ゲイルだ」
「ゲイル…か」
「それで、皆を殺した者は誰だ?」
きっと、このとき俺は睨んでいたのだろう。
フォールンは、少し気圧されたように驚いた顔をしたあと驚くべきことを言った。
「ヴァイ、と言ったら分かるかな?」
「…………!?」
(なに、言ってるんだ?)
ヴァイ?ヴァイって、勇者のか?俺の元パーティーメンバーの?
いや、
「嘘だろ?」
疑念、ゲイルはフォールンにもう一度聞く。
「ヴァイって、ヴァイ=リンか?」
と。そして、帰ってきた言葉は
「あぁ。正確には、仲間のアスノーもレイも、な」
「は?
嘘だ!確かに、確かにあいつらは俺を追い出した。でも、こんな、こんなことをするような――」
「やつでは、ない。か?」
「あ、あぁ」
ヴァイは、この町を愛していたし。この町を守るために冒険者をやっていた。
魔王の城に、一番近い村。
この、村はガイル森に守られている。
魔獣が、嫌う匂いを発しているガイル森があるからこそ村はある。
でも、魔王が現れてからその匂いは無くなってきていた。だから、俺はヴァイ達は――冒険者をしていた。
「魔獣が、こんなことをできると?」
フォールンが、問いてくる。
きっと、証拠を示そうとしているのだろう。最も、証拠とは言えないが。
だが、しっかりと質問には答える。
「魔獣が、できるとは思わないが…」
「なら、他に誰ができるのじゃ?こんな、綺麗に村を消すことができるのは誰じゃ?」
「それは、魔王とか――」
「違う。魔王は、こんな生易しいことはしない。
魔王の、仕業なら魔物、魔獣がいるはずだ。」
「………」
ゲイルは、押し黙った。
フォールンの、言ってることは正しい。こんな、簡単に町を破壊できるのなら森を壊せばいい。
町を破壊するにしても、綺麗すぎる。魔獣も、見当たらない。
なら、誰が…本当にヴァイなのか?
「もう、彼らしかいないだじゃろう?
勇者であり、強大な力を持つ勇者パーティー。有名じゃないか、最強の勇者パーティーと」
「違う…あいつらは――」
ゲイルには、否定しかできない。
既に、完全否定はできない。証拠がなのだから。状況証拠では、破壊可能なのは勇者パーティーしかいない。だが、信じたくない。
「勇者ヴァイは、こんなスキルも持っていたらしいぞ。
制裁円波紋という、丁度半径1kmの物を自分を中心にして円型に広がる聖属性の斬撃で消し去るという効果の。そういえば、生き物は消せないらしいな」
「え?」
初耳の、情報だった。
聞いたこともない、スキル。もし、本当にそうなら。ほぼ間違いなくヴァイだ。
半径1km、生き物は消せない、建物は消える。
まさに、今の町の状態だった。
「本当、なのか?」
『まぁ。知る手段は、今の所ないな』
「そう、だな」
取り敢えずは、ヴァイたちを探すとしよう。
そして、真相を確かめる。
そうとなれば、
「フォールン。お前を、信じる気はない。
だが、お前の言ってることも一理ある、だからまずはヴァイを探そうと思う」
『では、私も同行しても?』
「え、あぁ。いいぞ、お前が言い出したんだからな」
と言っても、手がかりはない。
ヴァイたちの依頼を斡旋した思われるギルドの皆はもういないのだから。
そういえば、ギルドマスターの死体が無かったような気がするが…
俺が、見逃した?そんな、ことはないと思いたいが彼はギルドマスターだ。他の、本部に言っていても不思議ではない。
そうだな、まずはギルド本部があるファングスの都を目指すとするか。
こうして、ゲイルは旅立った。
町の現状を、伝えるため。これ以上町が荒らされないように結界も張って。
これにて、二章は終わりです。いらないでしょうが、伏線ガンガンあります。
遂に、来週第三章開幕。
もし、これから先も読みたい!や、面白いと思ったら今のうちにブックマーク、評価しておいてください。
それでは、また一週間後第三章でお会いしましょう!




