「《ディィスペェア》なにそれおいしいの?」
「はぁ…」
勝てた、メリスだったか。まさか、特異スキルを持っているとは…
最後に、何か言いかけたが…
「取り敢えず、帰るか…」
ゲイル彼は、洞窟でメリスとの戦いを終えマッピングしてきた洞窟の道を進み魔獣の巣を出て転移魔法でフェンリル町に帰った。
・・・・・・
・・・
・・
・
きっと、目の前に広がっていた光景は彼――ゲイルにとって絶望するには十分なほどの光景だっただろう。
なんせ、自分以外の人が全員死んでいたのだから。
建物は、原型を持っておらず。町は、燃えていた。黒い、死を運ぶかのように煙がたち。
あたり一面、どこを見ても血が、人の頭が、身体が、どこを見ても死体ばかりだった。
誰かが、焼いたのだろう。人の灰が、骨が、崩れた建物の下に転がっていた。
ここにあった、大きな町は半径1km全てきれいに消えていた。
円を描いて、誰かに壊された。意図的に…、
「………………ハハハ、ハハハッ」
笑うのは、不謹慎かもしれない。だが、彼は決して笑いたくて笑っているのではない。
こんな、こんな、悲惨な災厄を再現したかのような光景を見て笑う者などいてはならないのだろう。
だが、笑うしかなかった。絶望を、悔しさを、苦しみを、すべての負の感情を抑え込むためには。
もう、生きる意味がなくなったと言っても過言ではないのだから。
彼――ゲイルには、親がいない。
詳しくは、親を知らない。産んでくれたのは、一体誰なのか。
俺は、森に捨てられていたそうだ。
そして俺を、拾ってくれたのが爺ちゃんと婆ちゃんだった。
孫が、息子が、不幸の事故で亡くなってしまったそうだ。
だから、だろうか。死んでしまった孫を息子を俺に照らし合わせたのかもしれない。
身寄りのない俺を、育ててくれた。やさしい人だ。
今は、もういない。
婆ちゃんが、はじめに亡くなって。一ヶ月後に、爺ちゃんもあとを追った。
爺ちゃんの最後の言葉は、
「この、町を守ってくれんかのう?」
だった。
思い出がある、この町を残したかったのかもしれない。
俺にとっても、爺ちゃん、婆ちゃんにとっても大事な場所だった。
壊れた町、それを見て。
過去を思い出した。
目には、景色が歪んで。頬を何かが伝う。きっと、きっとそれは初めてゲイルが流した涙だろう。
爺ちゃん、婆ちゃんが死んでも涙を堪えてきた。その、ゲイルさえもそんな彼でさえも堪えきれなかった。
そんな、彼に後ろから誰かがこう語りかけてくる。
「妾は、創生の魔女。フォールン・グラビウス。
お主、”復讐”したいのではないか?」
フォールンと名乗る、魔女。彼女は、気配を感じさせず。静かに後ろに立っていた。
「……………」
「意味がわからぬか?
かんたんに説明しよう。町を壊し、そしてワース、アスカを”殺した者”がいる」
「――!?」
町を壊した、ワースとアスカを殺した者がいるだって?
ゲイルは、反応した。その、魔女フォールンの言葉に耳を貸した。
彼女の、二つ名は――悪魔の囁き。
さて、これがどういう意味なのか…




