「魔獣の巣②なにそれおいしいの?」
洞窟を、約1時間ほど進んだ。
そのくらいの時に、不自然にも少し拓けた場所に出た。
ついさっき、開けたかのように。
そして、ここが行き止まりで。魔力の元。
活性化の、元凶と思われる場所である。
【物理感知】【魔力感知】【魔元素感知】には、何も反応は無かった。
いや、その”はず”なのに。
「――え?」
右腕が、吹っ飛んだ。
えぐられたかのような、「グギッ」と言う音が鳴ったと同時に腕は跡形もなく塵のように吹っ飛んだのだ。
血しぶきだけが、残って。
(な――!?)
目を見開きつつ、俺は戦闘体制を取る。
見えもしない、”何か”から距離を取り辺りを見渡す。
またか、【攻撃報告】が発動せず腕が吹っ飛ぶ。ヒュドラの時と同じ現象。いや、攻撃だ。
見えない敵。反応が、ない。これこそ異常事態だ。
次々に、周りの岩。自分の腕が、消えるかのように吹っ飛ぶ。
常に、スキル【防災】、そして魔法攻撃の結界【防破】を使っていたのに攻撃が当たっている。
だからこそ、魔法でも結界を造る。
右手を、自らの頭の上にかざして。
右手が、吹っ飛ぶことはなく。無事に結界を作ることに成功する。
「何処に、いるんだ?」
そう、俺は呟く。
もし、ヒュドラの時と同じ者なら……
あの時、物には、当たっていた。草むらで、音がなっていた。
ならば――当てることは出来る。と、考えた。
やる事、それは単純だ。
砂煙を、立てて場所を特定する。
足で、地面を蹴り。ブラスで、風魔法【暴風】を使い。砂を辺りに撒く。
しばらく、した時。
「見えた……」
砂が、人の形をした所があった。
即ち――透明人間。
直ぐに、攻撃をする。
その、場所に向けて。
そこから、透明人間は姿を現し。攻防が始まった。
そこには、白髪で青目の男がいた。
一瞬で、彼は後ろに移動し更に砂を払った。
その後、青目の男は
「デッドソード!」
と、叫び魔法を使った。
すると、彼の後ろには約100個の黒い魔法陣が現れた。
(黒っ!?)
ゲイルは、目を見開き驚愕する。
本来、魔法陣は魔法使った際に出る魔法の合図のようなもの。
だが、その色には「黒」は含まれないはずなのだ。
魔力と同じように赤、橙、黄、緑、青緑、青、紫、赤紫と強くなるはず。
だからこそ、驚いた。
一旦、距離を置き彼を見つめる。
少しすると、魔法陣から漆黒の剣が現れた。
どうやら、魔法剣を召喚する魔法らしい。
「名前は、なんて言うんだ?」
ゲイルは、聞く。少しでも、気を反らせようと。
彼は、こう答えた。
「メリス。メリス・マリスだ。
最も、覚えても意味はないがな……」
「そうかよ、わざわざどうも」
ゲイルは、そう返事を返す。
メリスの、発言。彼を知る者からすればそれは有り得ないことだった。
飄々とした、態度ではなく。真剣な、眼差しで……、答えたのだから。
その瞬間、火ぶたは切って落とされる。
デッドソードと、呼ばれるその魔法剣はゲイルに襲い掛かる。
約100本の、デッドソード。それを、メリスは素早く移動しながら放ってくる。
一方で、ゲイルは向かって来る100本のデッドソードを斬撃を出すスキル【空斬撃】と【槍龍殺】をぶつける事で相殺する。
カンッ!
デッドソードと、当たった【槍龍殺】はその後デッドソード5.6本を折り、メリスに向かう。
それを見逃すことなく、魔法【フレイムランス】を8本出し、追撃を入れるゲイル。
彼、メリスは、高速で飛んでくる【フレイムランス】を身体を半身にし避ける。
さらに、【槍龍殺】を何らかの形で粉々にする。
腕が飛ばされたときのように。
(あいつ、何かスキルを持ってるな……
俺と、同じ様に特殊なスキルを……)
ゲイルは、心の中でそう呟くともう一度警戒しなおすのだった。
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”どこか”、で。
「流石。だな」
光り、ゲイル、メリスが映るその水晶を見ながらオールディン。彼女の、呟きが聞こえる。
そして、彼女は立ち上がる。
グングニルと、呼ばれる大きな槍を手に持ち。
右翼に、立つナース。左翼に立つダリスにこう言った。
「フェンリルを、殺しに行くわよ。ナース。ダリス」
と。
ナース、ダリスは同時に消える。
転移魔法で、何処かに飛ぶ。そして、オールディンはグングニルを投げる。
「フェンリルを討つ」
と言って。




