短編小説 こんな話を聞いた「霊能者」
短編小説 こんな話を聞いた 霊能者
「この間、花園さんが来たよ、」
「そうですか…」
「花園さん、奥さんにいじめられたから仕返しするって、」
「まだ力が無いから、もう少したったら、仕返しするって」
「それは大変ですね…」
この人、地元じゃ有名な霊能者だ。
目は見えないが、愚痴も言うし近所の不満も言うし、旦那の悪口も言う。
普通のオバさんだ。
ただ、友達が訪ねてくる様に霊が…やって来る…らしい…
私は、訳あって、たまに訪ねて行く。
数ヶ月後…町会長さんが訪ねて来た。
「花園さんの奥さんが倒れたよ!心臓の発作だそうだ」
「そうですか…」
また、当たった。
以前も、川本さんの肩の痛みが庭木に打った五寸釘が原因だと当てた。
手越さんの孫が夜な夜な話す相手も、昔に手越さんが怪我をさせた人の奥さんの生霊だと当てた。
「南西の方に塩とお米と水と線香を備え、一カ月間、謝まりな!」
…孫が霊と話をするのが無くなった。
ある時、
近所の小島さんが亡くなった。
回覧板を届けに行ったら、犬に吠えられて転んで頭を打ったらしい。家族は、犬の飼い主に裁判をすると、すごい剣幕だ。
「この間、小島さんが来たよ、」
「そうですか…」
「裁判するのは止めてくれって、」
「丁度、寿命だったんだって、」
…町会長さんが訪ねて来た。
「小島さんの家族が、裁判するのをやめたよ!」
「そうですか…」




