リスのさがしもの
このお話は遠い森での出来事です。
私もリスの友人から聞いただけで、どこのだれかも分かりません。冬眠するまであと少し時間があるので、木の実でも食べながらお聞きください。
●○●○●○●○●○
歩くことがつらくなりそうなほど寒い森で一匹のリスが走り回っていました。
そのリスを気の毒に思ったのか、小鳥がリスに話しかけました。
「ねぇ、リスくん。キミは何をしているの?」
リスは走りながら答えました。
「どんぐりを探しているんだよ。」
小鳥は言いました。
「よかったら手伝ってあげるよ。」
リスは立ち止まって嬉しそうに言いました。
「それは助かるよ。ありがとう。」
小鳥が聞きました。
「なんでどんぐりを探してるの?」
リスは照れくさそうに言いました。
「冬眠するためにどんぐりをたくさんためていたんだけど、あと一個どこに隠したか忘れてしまったんだよ。」
小鳥は言いました。
「森のみんなに聞いてみようよ。」
そしてリスと小鳥はフクロウに聞きに行きました。
フクロウは首をまわしながら言いました。
「どんぐりかい?そういえばカラスのやつがたくさん集めていた気がするよ。」
リスと小鳥はフクロウにお礼を言って、森のはずれにあるカラスの家にむかいました。
カラスは怒ったように言いました。
「どんぐりだって?集めていたさ!でもクマのやつに追い払われたから少ししか集められなかったけどね!!お前のどんぐりもクマのやつが持っているんじゃないのか?」
カラスに慰めの言葉をかけ、今度は川の流れるクマの家にむかいました。
クマは困ったように言いました。
「どんぐり?僕はたしかにどんぐりを集めていたけれど、ひとのものをとったりはしていないよ。この川の上流にどんぐりが隠してあったから、もしかしたらキミのものなのか?」
リスはクマの家を飛び出して行きました。小鳥もクマにお礼を言ってリスの後を追いました。
リスは枯れ葉の下に隠されていたどんぐりを見つけました。とても大きくてりっぱなどんぐりでした。リスがどんぐりを見つけて喜んでいる横で、小鳥は言いました。
「このどんぐり変じゃない?穴があいているよ。」
リスと小鳥が穴を覗いてみると、可愛い虫の幼虫が眠っていました。小鳥が聞きました。
「どんぐりは見つかったけど、どうしよう?」
リスは答えました。
「このどんぐりがなくても冬眠は出来るよ。それにこんなに幸せそうな寝顔を見ていたら、こっちまで眠くなってきちゃったよ。」
小鳥がはばたきながら言いました。
「僕もそろそろ行かないと、すてきなものがみれてよかったよ。」
リスと小鳥は微笑みながらどんぐりをそっと元の位置に置きました。
小鳥が飛び去って行き、残ったリスはつぶやきました。
「」
●○●○●○●○●○
ちょっと待って下さい。今、私もどんぐりを忘れている事を思い出しました。今からどんぐりを探しに行くのですが、あなたももちろんついてきて下さいますよね?