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凜妃のため息  作者: 小井理楽
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昏破(くれは)様は、お体が丈夫ではないでしょう?

 風邪などを引かれないように陛下の執務室の温度調整、体が痛くならない座り心地の良い椅子の用意を行いました。

 資料も新人教育に使うものと言っても、新人は科挙に合格しております故に一定の知識がありますが・・・

 昏破様は女人故にそのための勉強というか、知識を補わなければならず、新たな資料作りに方々から取り寄せたりしております。

 また勉強に来ていただいている身分ですから、研修に相応しい意匠を抑えた衣装をご用意していただくための身支度代などがあり臨時出費が少しかさんでしまったのです。」

(さい)尚書は一気に捲し立てるように、訴えた。


『女は男に付き従い、刃向かってはならない』

国全体に古くからこの風潮がある。それは良家であればあるほど、それは顕著であった。

貴族の子女は小さな頃から、男に刃向かわないよう躾けられている。

例え理不尽な内容であったとしても己が蒔いた種であり、反論することなど許されない。

それは当然、大貴族の娘である昏破もそのように育てられている。


(所詮は女、私に意見など当然許されるものではない)

チラリと昏破を見るが、口を開く様子はない。

これでこの場は乗り切った、と采は安堵した。

執務室の温度調整も椅子の用意も当然していない。資料も何が用意されたのかなど分からないのだから、適当に揃えておいてもバレることはない。衣装代は適当に数字だけ計上しておけば、支給したことに出来る。

(身分だけのお飾りの貴妃などに、金も時間も割く必要はない)

さて、あとはどうやって話題を変えようかー・・・


采は会議室の空気がだんだん冷めていることに気づかずにいた。



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