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この言葉に新尚書が、黙っていなかった。
「確かに正式な報告書としては、まだ書き上げきれておりません。
ですが、簡易報告として度々各部署へお伝えしてきました。もっとも、あなたは見もせずに『天気予測など金の管理に必要ない』と私の目の前で屑籠に捨てていましたけど。
今回の天気予測、完璧に全日当てられた訳ではありません。
ですが、被害が最もでる台風の発生及び進路については、予測通りでした。
もちろんこれで満足してはいけませんが、当初の目的である天気予測によって収穫量の減少を回避するという点では、目標達成しております。
・・・天気予測は昼夜問わず、雲や風,湿度の観測が必要です。それはとても大変な作業なんです。
屑籠にポイっと捨てられるような、簡単なことではないんですよ」
新 鋼鉄は、采尚書を見つめて言い募る。
「金庫自体には天気予測など必要ないでしょう。
ですがその金庫の中を、満たせるのは民があってこそです。民は天気一つで、その年の税を納める事情が変わる。
問題なく収められる年もあれば、色々なものを投げ売って納める年もある。
国を、民を路頭に迷わせず秩序を保つために税がある。そしてその税は適切に管理・運用しなければなりません。
それでも、金の管理に天気予測は必要ない といい切れるのですか?
あなたは、民が足元から降って沸いた税を収めているとでも思っているんですか?」
鋼鉄は膝の上に置いた手をぎゅっと握る。
「鋼鉄、落ち着け」
隣に座る冷 雪は、震える拳の上に自分の手を合わせる。
「・・・失礼致しました」
目を閉じ、鋼鉄は気持ちを落ち着かせた。




