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凜妃のため息  作者: 小井理楽
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6

四季帝国では穀物ーとくに小麦が多く収穫できる。

収穫前におおよその収穫量を報告させ、昨年との収穫量を比例させている。国庫の備蓄、税として徴収する量を決めてから、市場に流す。

毎年同じ量では、不作の年には飢饉、豊作の年には価格破壊が起きてしまう。

それを備蓄と税で調整するのだ。豊作の年には国庫の備蓄・税を多めに取り、不作の年は国庫を開けて備蓄分から流通・税も安く設定する。

そうすることで民には一定の金子が残り、衣食住もある程度同じ水準を維持できる。

故に、収穫量の報告は重要なのだがー、


「今年は台風が、昨年よりも多かったの。あんなに多くないはずなのよ。」

昏破の言葉に、李音は首を傾げる。

「台風って言っても、どれも少し雨風が強かっただけで、大した被害は報告されてないでしょ?家が壊れたーとかもなかったし。

せいぜい、傘を忘れて濡れたせいで肺炎になった虚弱なお嬢様がいたくらいだよ」

昏破(くれは)李音(りおん)の返しを受け流し、

「台風が多かったということは、例年よりも雨の量も多かったということ。畑には必要以上の水があったはずよ。小麦は根腐れを起こすわ。風もあったし、茎の弱った小麦は簡単に倒れて腐ってしまいますわ。

今年は新しく取り入れたものがあるけれど、まだ実験段階に近いから効果はそこまで期待は難しいはず。」

ほんの少しだけ昏破は眉を寄せる。

「水があるほうがいいんじゃないの?」

植物が育つには水が必要不可欠だ。

「じゃあ、お菓子があるからと食べたいだけ食べたらどうなります?」

「そりゃ、体の中に糖分が多すぎて代謝が悪くなって、そのうちに足が腐って…。あぁ、そういうこと?」

必要以上の栄養は、毒になってしまう。程々が大事なのだ。

「えぇ、人と一緒ですわ。

さて…どうしましょうねぇ。」

昏破は手を頬につけ溜め息をつきながら、茶のおかわりを待った。


(お茶…遅いですわね。誰が持っていくかで揉めてるのかしら?)

チラリ、と昏破は李音を見た。


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