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そして妃選びの日
昏破は数日前から体調を崩していた。
彩華に万が一でも移してはたまらない、と昏破は慧斗の住む別邸とは別の屋敷に軟禁されていた。
彩華は贅をつくした衣装に身を包み、英蓮とともに宮廷へ参内した。
会場には他家の子女もいたが、家柄を考えると彩華が筆頭候補であり、誰もが彩華が選ばれると思っていた。
「ねえ、お父様。おかしな所はない?」
くるっと彩華がまわると、赤い衣装が風に靡いて広がった。
「大丈夫だよ、とても綺麗だ。皇帝も一目で気にいるさ」
英蓮は破顔して、娘を安心させるように言った。
「ああ、早くお祖父様来ないかしら。この衣装をお祖父様にも見せて差し上げたいの。」
チラチラと入り口を気にして、彩華はため息をつく。
祖父は血の繋がりこそないが、欲しい物は何でも買ってくれる。
自分の買い物の請求先は祖父になっているが、支払いが滞ったことも小言を言われたことも一度もない。
この衣装だって、祖父の贔屓の仕立て屋に口利きをし最優先で出来上がったものだ。
(おじい様の孫は、この私)
血の繋がりがある筈の昏破には、気まぐれ程度に服や本が届くくらいだ。
幼少の頃に陽日様の友人として連れて行ったのは間違いだったと、すぐに気づいたのだろう。
その後に自分を紹介してくれなかったのは納得が行かないが・・・自分の教育の師は全て慧斗の伝手だ。自分を妃に推してくれているのは、間違いない。
「はは、もうすぐ来るさ。
かわいい孫のお披露目の場だ。
お前は何をさせても秀でているから、お祖父様はいつも鼻高々なんだよ。
入り口まで迎えに行って待ってみるか?」
英蓮の言葉に彩華はうなづこうとすると、入り口付近が急に騒ついた。
夏家当主である、夏 慧斗が到着したところだった。




