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「とりあえず、着替えを出しましょうか。少々お待ちくださいね」
可成は、衣装部屋の扉を開けたが、そこもいつもとは違う光景だ。
「何ですか!?この派手で悪趣味な衣装の山は!
赤に金の刺繍、青に桃色の薔薇って、どんな感覚なの!?
ここにある行李、ぜーんぶ彩華様のじゃない!」
もともとあった筈の昏破の行李は一つもない。
可成は手当たり次第に箱を開け、中身を確認する。
「もう!この行李も彩華様の衣装だわ。
・・・って、これは昏破様の真珠の首飾りじゃないの!良い品は盗んで持って行く気でいるの?」
「あら〜。姉様の嫁入り用の衣装箱を置かれているのね。
姉様の部屋には入りきらないから、空き部屋になる予定だったこの部屋に運んだのかしら。」
昏破も立ち上がり、可成の後ろから部屋を覗いた。
「もう!趣味の悪いものばっかり!!
そのくせ、昏破様の宝石類はごっそり持って行くなんて。あんな女に、この気品漂う装飾達は似合うわけないでしょ!」
「姉様は私と違って、きらびやかな衣装を好まれるのよね。
装飾は、私のは単調なものばかりだから使いやすいと思ったんじゃないかしら?」
昏破は可成の悪態に苦笑いする。
「いーえ、昏破様。こういう単調なものほど、着ける人間を選ぶんですよ…ってキャー!
昏破様、頬がさっきよりも赤くなってます!!
水だけじゃなくて、氷室を開けさせますから、少々お待ちくださいね!」
可成は手に持っていた衣装を乱雑に箱に仕舞い、後ろを振り向いて驚いた。先程よりも昏破の頬は赤味が増していたのだ。
ドタバタと足音を立てながら、部屋を後にした。




