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「おかえりなさいませ、昏破様」
馬車の扉を開け、大きな屋敷の裏口で昏破を出迎えたのは、一人の侍女。
「ただいま帰りました。特に変わったことはありませんでしたか?可成」
昏破は可成の手を借りて馬車から降りた。
「そうですね。
夏家の長姫の御帰宅にもかかわらず出迎えが一切ないこと以外はございません。
毎回思いますけど、ここの教育どうなってるんですか?」
可成と呼ばれた侍女は礼拝をし答える。
「まぁ、可成ったら。今日も嫌味が絶好調ね。
そんなのは今に始まったことではないわ。
それにどちらかと言うと、あなたの方がうちの教育方針に従っていないのよ?
とにかく特に変わりがなかったのなら、いいわ」
ふふっと笑いながら昏破は、自室へ向かって歩き出す。可成も後ろを歩いた。




