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「そもそも、言われたこと間違ってないよね?
妃っていうのは後宮に籠もって、皇帝のために笑って話を聞いてあげて、世継ぎを産むのが仕事だし。」
溜め息をつきながら、李音は諭すが
「だって明らかに馬鹿にされたんですのよ」
昏破はぐーっと茶を飲み干し、袂から出した小さな布で唇を拭いた。その唇は不満げに尖っている。
「まぁ、清々しいほどに『女は政にいらない』と言われたようなもんだね」
不貞腐れヤケ茶をする昏破に、李音は相槌を打った。
四季帝国では、入内が内定した娘は皇帝の仕事を理解するという名目で、正式に妃として後宮入りするまで出仕することが義務付けられている。
昏破はその義務に従い、毎日出仕している。
そもそもこの義務も、先帝が今は亡き正妃と常に一緒にいたいという我儘で通してしまったものだ。
「ねぇ、悪いけどお茶のおかわり頂ける?あと、何か菓子も欲しいんだけど」
李音は隅に控える侍女に、空になった2つの茶碗を指差す。ついでに愛想よく笑顔を振りまく。
「か、かしこまりました!お待ち下さいませね」
侍女は顔を赤らめながら、部屋を後にした。