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凜妃のため息  作者: 小井理楽
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2

「馬鹿にするにもほどがありますわ」

温かい茶を口にし、昏破くれはは拳を握った。


講義が行われていた一室では、戸部尚書に代わって別の人間が座り、少女の話を聞いていた。


(めっちゃ怒ってんな、こりゃ)

茶をすすりながら、観察する。


「要はお前は黙って後宮にいろ、役立たず と言われたんですのよ。」

握った拳がぶるぶると震えている


(あー、あんま握ると指折れるぞ)


「おまけに『お疲れでしょう』なんて、白々しい!用意したお茶が冷める間もありませんでしたわ!!」


(そうね。こうして適温に飲めてるしね)

別の人間が飲むはずであった、茶を見る。


昏破は拳を振り上げ、卓に振り降ろそうとした。

「はい、落ち着いて。手はゆっくり降ろして、卓を撫で…あ、やっぱり皮剥けるから膝の上にして」

冷静に昏破に指示する。

「それじゃぁ、気が済みませんわ!」

昏破の拳はまだ、振り降ろし切ってはいない。

「誰が、骨折の手当てするの?誰が、擦りむけた手の手当てするの?」

「これくらいで、骨折も皮も剥けたりしません!」

キッと昏破は目の前の友人を睨む

「え?

よろけて足の指を角にぶつけただけで、骨折してたのは誰?

顔の凝りを治したいとか言って、ちょっと揉んだだけで皮がずり剥けたのは誰?」

「…」

「いいから、降ろしなさい。主治医の命令です…つーか、逆らうな。降ろせ」

視線を受け流し、茶を飲み切った。

「わかりましたわ…。でも、顔の件は他に原因がちゃんとありますわ。」

「あっそう。とりあえず、「今」骨折しなければ何でもいいよ」

満足そうに、昏破の主治医・李音りおんは笑った。

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