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「よいか、陽日。今から会う子は、少し体が弱い。あまり長時間、連れ回して遊んではならぬぞ。」
父に手を引かれ、内廷を歩く。
「えー。完才や李音はいるの?鬼ごっこしたい!」
「いや、今日は2人はおらぬ。それとあの子は鬼ごっこなぞ出来ぬよ、走れんからな。
花摘みとか、碁でも打て。」
陽日は父の言葉に頬を膨らませた。
「つまんない!」
もう帰りたい、と駄々をこねる。
大体、まだ自分は碁は教わったばかりで大して強くはない。
花摘みなんて、女々しくて男の自分はやりたくもない。
「うーん…そうは言ってもなぁ。正直、父もあまり気は進まぬが断れぬ相手なのだ」
「父様、一番エライ人なんでしょ?コーテイよりエライ人がいるの?」
「難しい質問だな。是であり否、が正解かな。」
父は時々、よく分からない言い方をする。陽日には父の言わんとすることが分からなかった。
「皇帝はな、その血があれば誰でもいいのだよ。
…さぁ、着いたぞ。あの東屋にいる子だ。」
緑に囲まれた小さな東屋の前で、おじさんと女の子が礼をして出迎えてくれた。
2人の髪の毛は、不思議な色をしていた。