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「後で、手配しておこう・・・
昏破、調子が悪いのか?その薬はなんだ。」
陽日は昏破の茶をじっと見つめる。
「胃薬ですわ。
妃教育が始まってから、まあとにかく騒がしく色々と面倒なことがありまして。」
「そ、そうか。」
申し訳なさそうな顔で陽日は、昏破の言葉を聞く。
「誰かにこのお役目を代わっていただきたいんですよね。ほら、私は体が弱いですし。
あまり負担になるようなことは避けたいんですが・・・陛下、誰か思い当たるいい人いませんこと?」
はーっとため息をつき、手を頬に添えて昏破は陽日に尋ねた。
「期待に添えずすまぬが、全く思いつかない。諦めてくれ・・・そうだ、婚儀の日取りを早めに決めよう!
そうすれば面倒なことが減るぞ」
名案だ、と言わんばかりに陽日は顔を明るくした。
「もっと面倒そうですから、日取りはゆっくりで結構ですわ。
その間に別の方を連れてきて、交代させて下さいな。私のことを少しでも思ってくださっているなら、ささやかな願い事くらい叶える甲斐性があってもいいと思いませんこと?」
じっと、昏破破陽日を見つめる。
「そ、そういえば昏破、今日は戸部の采長官の指導日だったんだよな?」
完才が助け舟を出した。
「ええ。指導、というよりは挨拶に近いくらいの時間でしたけど」
昏破は完才の言葉を訂正すると、
「ぷっ、完才。今、昏破に采長官は禁句だよ〜。ぷんぷん怒ってたんだから〜」
李音は卓をバンバン叩いて笑った。
(品がない笑い方ですわね…)
昏破は聞こえないフリをして茶を啜る。
「禁句と言えば、采長官は昏破に会ったのは初めてなのか?昏破の眼を月のようだ、と褒めていたぞ。
そこで娘を勧められたんだが・・・。月の精霊と噂されるというんだが、そんなに美しいのであればとっくの昔に宮中で話題になっていると思わぬか?」
ため息をつきながら、陽日はやれやれと言わんばかりに首を振る。