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現代が天界、魔界と繋がった世界  作者: マーラッシュ
第二章 真実の過去
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第12話 真実(3)

日頃読んで頂きありがとうございます。

「ここは」


 気がついたら見知らぬ天井だった。


「そうだ! コト姉とサクラは!」

「二人とも無事だよ」


 どうやら部屋にユウトがいたみたいだ。


「兄さん体は大丈夫?」

「大丈夫だ」


 佐藤に切り刻まれた傷はすっかり治ってる。


「兄さんの傷は母さんが治してくれたんだよ」

「そっか。それで母さんは?」

「兄さん達の入院手続きをしに病院の受付まで行ったよ」


 兄さん達?


「特に外傷はないけど、念のためにコトネ姉さんとサクラも今日は入院することになったんだ」


 それなら良かった。


「ユウト、事の顛末がどうなったか教えてくれ」

「うん。まず僕はギリギリだったけど女子中学生を助けることができたよ」


 あの娘は関係ないから、助けることができて安心した。


「そしてその場に母さんがいたから、一緒に公園まで来てもらったんだ」

「それは運が良かったな」


 母さんが近くにいたから俺も助かったのかもしれない。

 母さんは魔法のスペシャリストだからな。


「公園に着いたら兄さん達と佐藤くんが気絶してて、母さんが魔法で治療をしたんだ」


 俺と佐藤とコト姉が気絶していることはわかるが、サクラも?


「そして僕が猿飛先生と救急車を呼んで、佐藤くんは猿飛先生が連れていき、兄さん達は病院に運ばれたってわけさ」

「そっか。ありがとなユウト」


 とりあえずこれで事件も解決かな。


 ガチャ!


「ヒロトちゃん! ユウトちゃん!」


 コト姉が血相を変えて部屋に飛び込んで来た。


「どうしたんだ、そんなに慌てて」

「サ、サクラちゃんが病室を飛び出して、どこかへ行ってしまったの!」

「どういうこと?」


 コト姉は神妙な顔で話し始める。


「実は公園でヒロトちゃんが気絶している時、サクラちゃんが異能に目覚めたの」


 サクラもとうとう異能を使えるようになったのか。


「それで、その」


 コト姉の言葉がハッキリしない。


「なんの異能だったんだ?」

「⋯⋯詳しいことはまだわからないけど、過去を視れる異能だったの」

「過去を!」


 まさか。


「それでお父さんとお母さん、おじさんが亡くなった時、ヒロトちゃんの提案で、私達がサクラちゃんに嘘をつくと決めた時の内容を伝えてきたの」

「そ、それじゃあそのことがバレてサクラはどこかへ行ってしまったのか」

「ううん、サクラちゃんはどんな嘘をついたかまでは解らなかったみたい。ただ、そのことについてサクラちゃんから問い詰められて⋯⋯」

「話したのか!」


 コト姉は頷く。


「だってこのままだと、いずれサクラちゃんの異能でわかってしまうことだから⋯⋯、それなら私は姉としてサクラちゃんに正直に話したかったの」

「だからって今言わなくても!」

「兄さん落ち着いて」


 ユウトが俺の肩に手を置いてくる。

 そうだ。今コト姉に当たってもしょうがない。


「それでサクラは?」

「私が過去のことについて話したら、外に飛び出してしまって⋯⋯」

「とりあえず急いでサクラを探しに行こう」


 今のサクラは五年前の真相を聞いて、かなり情緒不安定になっているはずだ。

 何か起きてしまう前に探し出さないと。

 俺はベットから降りて靴を履き、部屋の外に向かうが、後ろから二人がついて来ない。


「コト姉、ユウト。早くサクラを探しに行くぞ」


 しかし、二人は動かない。


「サクラちゃんはヒロトちゃんが探しに行って」


 コト姉はこの一大事に何を言ってるんだ。


「皆で探した方が早いだろ」

「たぶん私やユウトちゃんがいっても、サクラちゃんを連れ戻すことはできないと思うの」

「そんなことはないと思うけど」


 逆に俺が行った方がサクラは来ない気がする。


「私達はヒロトちゃんの命令で、五年間サクラちゃんに嘘をついてたんだからその責任はとってもらわないと」

「いや、まあそれはそうなんだけど⋯⋯」


 今でもあの時にとった行動が、正しかったのかどうかはわからない。

 ただ、子供だったこともあり、発想が馬鹿げているとは思うけど、少なくともサクラが死ぬことはなかったから、間違ってはいなかったはずだ。


 しかし、もし自分がサクラの立場だったら、誰に真実を聞きたいか。やはりそれは嘘をつくことを決めた俺だろうな。


「ユウトもサクラを探しに行かないのか」

「僕も兄さんが行くのが一番良いと思ってるよ」

「そうか」

「もう僕達はあの頃のように子供じゃないんだ。兄さんの思いをきちんと話せばきっとわかってくれるよ」


 そうだな、俺からサクラに話すのが筋だ。


「ただ、頭では理解できても、今まで兄さんにとってきた態度に罪悪感があって、素直になれないかもしれないから、その時は兄さんらしく、キスしたら許してやる、くらい言えばいいんじゃないの」

「だめ! そんなことしたらお姉ちゃん絶対許さないからね!」

「いや、そんなこと言わないから」


 コト姉が闘牛のようにフーフー言っていて怖い。

 それより兄さんらしくキスってなんだよ。

 けどユウトの言葉で、重苦しくなっていた場が和んだ気がする。

 そうだよな。怖い顔をしてサクラを探しに行ったりしちゃ駄目だよな。


「わかった。じゃあ俺だけで探しに行ってくるよ。もしサクラから連絡があったら教えてくれ」

「わかった」

「ヒロトちゃん。サクラちゃんを、サクラちゃんをお願いね」

「任せろ。必ず二人で帰ってくるよ」


 俺はコト姉とユウトに見送られながら、病室を駆け出して行った。


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