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現代が天界、魔界と繋がった世界  作者: マーラッシュ
第一章 結成バハムート
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第1話 出会い

2作目の投稿となります。

読んで頂ければ嬉しいです。

 ここは東京の西側にある瑞葉市。

 都会でも田舎でもない街に、一軒の家がある。

 この家には双子の少年、兄の神奈ヒロトと弟の神奈ユウト。そして母親のリラが暮らしており、五年前からヒロトとユウトより一つ年上のコトネと同じ年のサクラが居候として住んでいる。


「兄さん、兄さん朝だよ」


 誰かが俺を揺すって起こしてくる。


「ね、ねむい。後5⋯⋯」

「5分? 5分なら寝ていいよ」

「5年」


 バサッ!


 ユウトは容赦なく布団を剥ぎ取る。


「兄さん。バカなこと言ってないで、早く起きないと遅刻するよ」

「わかったよ。起きればいいんだろ、起きれば」


 俺は体を起しベットから降りる。

 俺の眠りを妨げたのは弟のユウトだ。

 ユウトは優等生でスポーツ万能、そして誰にでも優しい性格をしているため女にモテる。兄の目から見ても自慢の弟だ。


「朝起こしてくるのが弟かよ、色気がないなあ」

「なら、コトネ姉さんにお願いしようか」

「いや、ユウトでいいです」


 コト姉は俺達を甘やかすから、何をされるかわからない。

 昔一度起こしに来てくれたことがあったけど、起きたらコト姉も一緒にベットで寝ていて、遅刻したことがある。

 理由を聞いたら「ヒロトちゃんが寒そうだったから、布団に入って暖めてあげたの。そうしたら私も眠くなっちゃって」と言われた。

 そしてそのことが妹のサクラにバレて、俺は本当に殺されそうになった。

 俺の命のためにも、コト姉に起こしてもらうのは遠慮したい。


「今日は大事な日だから早く行こうよ」


 そう。今日はアルメリア学園の入学試験だ。

 国立アルメリア学園は五年前に建てられ、人族、天族、魔族の三種族が学ぶことができる、この世界唯一の場所だ。

 本当は学園を都心の方に作る予定だったが、広大な土地が余っている所がなく、東京の西側である瑞葉市に建設することにしたらしい。

 東京に拘ったのは天族、魔族との政治的問題で、()()に建てたという事実が欲しかっただけと聞いたことがある。

 なぜ俺がこの学園を受験するかって? 勿論自宅から徒歩で通えるからだ。朝は遅くまで寝ていたいから、近い所を選ぶのは当然だろう。

 そしてもう一つ。異能を学ぶためだ。

 高等学校で異能についての授業があるのは、アルメリア学園だけだからここを選んだ。


「じゃあ兄さん。僕は先に下に降りるよ」

「ユウト、ありがとな」


 俺も早く着替えて下に降りないと、朝食を食べる時間がなくなってしまう。

 急ぎ制服に着替え、一階に降りようとしたが、背後に気配を感じる。

 しかし気づいた時には遅く、後ろから押されて、俺は階段から転げ落ちていく。

 直前に気づいたので、何とか受け身をとり軽傷で済んだ。

 階段の上に視線を向けると、サクラが冷たい目で俺を見下ろして、そのまま自室に入っていく。


「兄さん! すごい音がしたけど大丈夫!」

「大丈夫だ。寝ぼけてて階段から落ちちゃったよ」

「あらあら。入学試験当日に縁起が悪いわね」


 ユウトと共に母さんも心配で来たくれたみたいだ。

 母さんは優しくて頼りになるが、たまに俺達をからかってくる。特に女性関係になると目を輝かせてくるので注意が必要だ。


「ヒロト。治療しましょうか?」

「いや、大丈夫。それより腹減ったからご飯を頼むよ」

「はいはい、わかったわ」


 俺は席に着き、ごはん、味噌汁、目玉焼きの朝食セットを食べる。

 それにしても母さんは料理するのが上手くなったなあ。

 俺が小さい頃は、卵を割る時にうまく割れず、カラが入っている時がしょっちゅうあったし、何かを焼くと焦げるか生なことが日常茶飯事だった。

 ひょっとしたら結婚する前は、料理をしたことがなかったんじゃないかな。

 俺はそんなことを考えながらご飯をありがたく頂いた。


「ユウト、俺は一人で行くからお前はサクラと行け」

「⋯⋯わかった」


 ユウトは了承するか迷ったが承諾する。


「それじゃあ行ってくるわ」

「ヒロト頑張ってね」


 俺は自宅を出てアルメリア学園へと向かった。


 自宅から学園までの距離は徒歩で約15分かかるので、後30分で着けばいいから楽勝だな。

しばらく歩いていると公園が目に入る。

そういえばこの公園で子供の頃遊んだな。

そしてサクラは嫌なことがあるとブランコに座っていてよく迎えに行った記憶がある。

あの頃の俺はサクラと絶縁状態になるなんて思わなかっただろうな。

そんな思いにふけっているとピンク色の花が見えてきた。

あれはたしか花梨の花か。毎年この時期になると綺麗な花を見せてくれる。

 花にみとれて歩いていると、見慣れない制服を着た女の子と男二人が、俺の前を走り去っていく。


「もう、しつこいわね」

「まてこら!」

「逃げるんじゃねえ!」


 どうやら女の子を二人の男が追いかけているようだ。

 今日は入学試験だ。余計なトラブルは避けたい。

 試験の受付まで時間は後20分⋯⋯⋯⋯急げば間に合うな。

 俺は女の子を追いかける。

 女の子が向かった方に行くと叫び声が聞こえてきた。


「いや! 離して!」

「俺達にちょっと付き合えよ」


 女の子は袋小路に入ってしまったようで、男に腕を掴まれている。

 状況からするとどうやらナンパのようだ。

 今日は揉め事を起こしたくないので、穏便に行く方法を取ろう。


「カリン。そんな所でなにやってるんだ」

「えっ?」


 女の子は突然知らない名前で呼ばれて驚いている。このまま余計なことを言わないでくれよ。

 俺は女の子と男二人の間に入る。


「なんだてめえは!」

「この娘の友達ですよ。今日は大事な約束があるんで。それじゃあ」

「う、うん」


 俺は彼女の手を引いてこの場から離れる。


「ちょっと待てよ!」

「勝手に連れていくんじゃねえ!」


 やはり素直に行かせてくれないか。

 俺は辺りを見渡して打開する方法を探す。


 ()()()()()()()()があった。


 俺がそれを使うと男達の様子がおかしくなる。


「そうだ。最初から素直に着いてくればいいんだよ」


 そう言って男達はこの場から去っていった。

数日は数話づつ投稿していきたいと思っていますので、読んで頂けたら嬉しいです。

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