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記憶を無くした空の騎士姫と太陽王子  作者: 桜月雪


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閑話 きっかけ〜友と並び立つために

お読みくださり有難うございます。

 

 初めて出会ってから4年が過ぎ、再会した友人は、苦しそうにもがきながら生死を彷徨っていた。


「キョウ坊悪いが、向かいの部屋で2人休憩してるんだわ。ヤナ坊の名前出して、直ぐ出てきてもらってくれ」


 頼まれたとおりに、呼びに行ったキョウは、震えているカレンの手を握り返す以外、ただ見ている事しかできなかった。浅い呼吸を繰り返し、苦しそうにもがくヤナギを大人四人がかりで押さえ治療の妨げにならないようにし、スノードがヤナギの症状を見ながら隣で助手をしている医者に指示を出し、シンともう一人の医者は解毒薬の調合と張りつめた状態が30分ほど続いた。


「もう大丈夫ですね」


 スノードの言葉に張り詰めていた空気が少し和らぐ、近衛隊の1人が、キョウの横に居たノギを抱えてヤナギのそばに連れて行った。


「ノギ、ヤナ坊のここ触ってみな」

「……動いてる」


 恐る恐る触ったノギは小さな声でそう言った。


「そこは心臓がある部分だ。動いているのは、生きている証拠だ。だからそんな顔をするな」

「生きてる……」


 ノギからその後の言葉は続かなかった。 

 ただ微かに嗚咽が聞こえる。男が静かにノギの頭を撫でていた。


「辛い事を思い出させてすまないな。無理はしなくていい。心配かけたぶん後でヤナ坊を怒ってやれ」


 キョウは、ノギが家族も全て失って日が浅い事を思い出す。


「テス、奥の部屋を……」

「殿下何かありましたらお呼び下さい」


「……殿下。小さい体には酷ですが、毒慣らし始めた方が良いと思います」


 テスがノギを連れて下がった後、医者の一人が感情を抑えた声でそう告げた。


「最終的に決めるのは、彼自身になりますが、今日だって成人男性の致死量に値するんですよ。このままでは手遅れになります」

「一度、ケイジュ殿やヒイラギあと兄上にも話さないと駄目ですね」

「差し出がましい事を言って申し訳けありません」

「医者として当然の行いです。身分にとらわれていたら何も助けることは出来ない。だから思ったことを話してくれるあなた方を頼りにしています」


 二人の医者は揃って頭を下げ、シンを連れて部屋を出た。ヤナギが起きた時の薬粥を用意するらしい


「スノード様。ヤナギは私の家に預けられていた時から命を狙われていたのですか?」


 キョウは恐る恐る尋ねた。違って欲しいと思いつつも先ほどの大人たちの会話を聞けば、初めての事ではない事くらい理解はできる。スノードの表情が陰る。


「その理由私も聞きたいですね。身の安全の為なら我々の屋敷に預けるより、傍に置いておく方が良いとは私も思っていたんですよ。ヤナギ自身も何も知らされていないようでしたしね?」


 静かに様子を見ていたヤグルマギクも気を失ったままのヤナギを見ながら確信を持った口調で言った。


「殿下。我々から話します」

「そう……ですね。現場を見た皆さんの方が、話しやすいですね」

「……ヤナ坊は、当初身代金目的で誘拐された」


 男は淡々と当時の話をはじめた。戦争で戦果をあげ侯爵にまでなったソル家の資産目当てがすべての始まりだった。


「ヤグルが言うように、大将達の傍にいる方が安全だ。それでもヤナ坊をフラウ家に預けたのは、一つは、目くらまし。もう一つは、早急に鍛えるためだ」


 言葉をいったん切りヤナギを見た男は、困ったように笑った。


「ヤナ坊はな。2歳で既に、そうだなぁ……城で言えば一般隊士の実力があった。今は俺らと同じ、5年もしないうちに俺たちは確実に抜かれると思っている」


 うんうんと隣で相槌をうつほかの男たち。ヤグルマギクが眉間に手を当てながら話を遮る。


「待ってください。当時2歳で何故実力が分かるんです?」

「俺たちは、救出に行ったが相手と交戦してない。到着時にはすべてが終わっていたんだ。全員急所を狙われて気を失っていた。ヤナ坊当人は、無意識でそれをやってのけた。分かるか?『追いかけっこしてた』って聞いたときの俺たちの心情」


 ゾッとするわと腕を摩って見せる。


「子供は無垢だからこそ染まりやすい。それこそヤナ坊が、良からぬ人や組織の手に落ちてみろ、人を躊躇なく殺す兵器に仕立て上げるのだって難しくないんだ。だからこそ早急に鍛えるのが必須になったんだよ。まぁお前達の家に預けたのは、ヤナ坊に同世代の友人を作って欲しいって言う親心ってやつ」


『――母や大事な者たちを護りたいと思うのなら強くなりなさい。何が起きても毅然とした態度で振る舞えるように精進し、どんな時でも冷静に物事を対処出来る様に強い心を持つ事だ。』


 幼い頃、父に言われた言葉が、頭の中を反芻する。


「ヤナ坊が黙っていたことは、どうか許してやってくれ。お前達を巻き込みたく無かったんだろうよ」


 そう言ってヤナギの頭を軽く撫でた。それからは、お伽噺を紡ぐかのような口調で、ヤナギの身の回りで起きたことを語っていった。あえて軽い口調で話したのは、自分たちの為だとキョウは悟る。


「っ、俺……」

「ヤナ坊!起きたか!」

「……俺どれくらい気を失ってた?」


 自身を覗き込む男の顔見て尋ねるヤナギは、こちらにまだ気づいていないようで、口調からヤナギにとってはこれが日常となっていることに気づき、キョウは腹の底が冷えていくような感覚に襲われた。


「半刻だ。まだ動くな安静に……「ヤナギのバカ〜」」


 キョウの隣で黙って話を聞いていたカレンが、ヤナギが起きるや否や飛びついた。当のヤナギは、カレンとその背後にいるキョウたちに気づき狼狽えている。


「カレン……」

「バカバカ、死んじゃうかと思ったじゃない!」

「ごめん……なさい」

「ごめんで済むならこんなに怒ってないわよ!色々言いたい事あるし、ヤナギをこんな風に苦しめた人達にだってすごく怒ってるんだからね!()()()!これから城で食事する時は、私と食べること!」


 もの凄い剣幕で言うカレンに、ヤナギは少し押され気味だったが、小さな声で言った。


「い……嫌だ」

「嫌ならはっきり目を見て言いなさい!もし私に迷惑とかそんな理由は却下よ。人の目が気になるなら厨房でも私の家でもここでもいいわ。ヤナギが来ないと私ごはんたべないわよ。食を預かる一族としてこれは譲らないから!」


 カレンは目に涙を貯めながらヤナギを逃がすまいと見つめているが、ヤナギはこちらに視線を合わせまいと反らしたままだ。


「ヤナギ」

「キョウ」


 キョウは怒っているカレンと反対側に座りヤナギの顔を両手で無理やりこちらを見るように固定した。この腹の底が冷えてゆく感覚は無力感だとキョウは知る。


「今の俺に何が出来るのか分からない。自分の無力さにとても腹がたっている。けどお願いだから何も言わずに俺たちから離れていくな。俺たちは、友人を心配する事すら許されないのか?」

「おい、その言い方なんか狡いぞ……って2人とも頼むから泣くなよ」

「泣いてない」

「ヤナギが、ご飯一緒に食べてくれるなら泣き止んであげる」


 困り果てたヤナギは、周囲を見渡しヤグルマギクと目があったが逸らされ、スノードは微笑ましく見守っており、隣にいた父の部下達はお腹を抱えて笑っていた。


「ヨランさん笑ってないで助けてよ」

「お前の親友達だろうが、甘んじて受け入れろよ。それとも俺らの隊に来るか?」

「それは無しって言った。みんな甘やかすじゃん」


 結局その後、事態を聞きつけ仕事を急いで終わらせたレイスが、医務室に来て同じやり取りを繰り返す羽目になるとは、ヤナギは知る由もない。




 ***



 それから半年――


 まだ日が昇って少し、誰もいない廊下を歩いているとお目当ての人物を見つけ、控えめに声をかけた。


「ヤナギ。おはよう」

「おはよう。あのなキョウ、お前ここ最近王妃様が出席する夜会にもタルロ叔父さんと出てるんだろ?朝くらいしっかり休んでくれよ」

「しっかり休息は取ってるから心配するな。夜会に出ても子供だから軽く挨拶まわりに着いて回れば終わりだからな」


 あの毒の一件から少し、こういった早朝や身内しか居ない場面で、キョウとヤナギは以前の様に会話するようになった。他の人が居るところだと、ヤナギは気配を隠して足早に去ってしまう。キョウ自身もユリオ殿下の付き人として一緒にいる以上、最優先なのが殿下の安全なので、もっと上手く立ち回りたいと思うことが常々であった。


「ノギはどうだ?」


 あれからノギが、ヤナギの父ヒイラギに弟子入りをした。それをユリオに伝えた時のノギの目は、出会ってからはじめて光が射しているように見えた。

 それが強く生きる人の意思みたいだと思ったのは、結構後のはなしであるが――


「あぁ、あんまり会ってないんだけど、この間双子と3人で素振りしてた」

「双子ってフドル家のか?」

「うん。ノースとポールって言うんだけど、父さんに弟子入りした」

「シュロ殿が居るのにか?」


 何故とキョウは首を傾げた。


「あの2人、『父上を倒す』を目標にしてるから同じくらい強い父さんのとこに来た。そうしたら、シュロ叔父さんが拗ねて、陛下が大笑い」

「……」

「可哀想だから俺シュロ叔父さんに、弟子入りしてあげたんだ」


 面白そうに笑うヤナギに、キョウは先程の言葉に引っ掛かりを覚え問いかける。


「してあげたのか?」

「うん。息子2人の背中に、ぶつぶつ文句言いながらこっちをチラチラ見るんだもん。爺様が呆れた顔してたよ」


 勇ましいイメージしか無いシュロの像が、ガラガラと崩れていく音がする。因みにその後のシュロは、ヤナギの前では威厳を保つ為に、必死に格好をつける様になるのであった。


 たわいもない会話をしていると、静かなはずの廊下から控えめだがざわついている。


「大部屋のあたりか?」


 ヤナギと2人、柱の影から覗くと、大部屋の前で4人が話していた。


「私は一度屋敷にいないか見に行くとしよう」

「私は昨日探していないところを見てきますね」

「では一つ目の鐘が鳴る頃に戻りますので、留守を頼みます」


 2人が足早に去っていくの確認すると、ヤナギが残った2人の元へ歩いて行くので、慌てて後を追った。


「ローダンさん。エビネさん。何かあったの?」


 此方を振り返った2人のうち1人がヤナギに飛びついた。


「ヤナ君~ヤグル先輩見てない!?」

「エビネさん苦しい」


 ヤナギを揺さぶらん剣幕で、聞くエビネを諫めながら再度問いかける。


「で?ヤグルがどうしたの?」

「仕事の確認でヤグルを訪ねたんだが、部署にすら来ていないみたいで、今日で10日目らしい」

「今忙しいし、あんまり公に探せないしで、合間をぬってみんなで探してるんだけど、何処にも居なくて……ヤナ君どうしよう〜」

「コムラは、遠方に行って、伯父さんも今忙しい時期‥‥‥10日ね」


 話を聞きながら、ぶつぶつと言っているヤナギの雰囲気が、何故か怒りを含んだものに変わった。


「あ、キョウこの二人は、ヤグルが通ってる学院の同級生と後輩だよ。学院通いながら城勤めしてる。ヤグルって普段、学院ではどんな感じ?」


 紹介と唐突な質問に目を瞬きながらエビネは、少し考え言った。


「先輩は、知的で華やかでいつも周りに人がいるかな?」

「夜会仕様か‥‥‥まぁキョウも含めて覚えておくといいよ。ヤグルはね~ただの知識欲馬鹿だから」

「「「知識欲馬鹿」」」


 ヤナギはそう言いながら何の迷いもなしに大部屋へと足を踏み入れた。


「ヤグルが城内で、執務室にいないなら大抵ここにいるよ」

「書庫ならもう探したよ?」

「本の山の中とか、本棚の間は?」

「先輩さすがにそこまで子供じゃないと思う」


 真顔で答えたエビネに、困ったような顔をしたヤナギは、「少し静かにしててね」とあたりに耳を澄ました。


「こっち」


 迷う事なく歩いて行くヤナギの背後を静かに着いて行く。するとある一角を指さした。


「ここに居る」


 目の前には、本の山しかない。


「ここ動かすの手伝って」


 とりあえず、手前にある本の山を横に避けていくと、真ん中に人がいた。こちらの音も聞こえていないのか、一心不乱にページを捲り何かを洋紙に綴っている。


「ヤグルマギク殿」

「……ん?ヤナギかい?」


 生返事で全くこちらを見ようともしないので、ヤナギは言葉を続ける。


「何をしているのかな?」

「少し気になる事を見つけて、調べていたんだ」

「10日も?約束忘れてない?」


 ヤナギの静かに怒気を含んだ声に、ヤグルマギクの動きが止まった。ヤナギから視線を外すように、此方側を見て、視界に入った――


「ローダン。僕に何か用があるんじゃないのかい?」


 話を逸らすにも無理があるだろうと、此処にいるみんなが思った。ローダンは、ヤナギを示しながら言う。


「ヤナギ君の話が、先だろ?」

「大丈夫大した事な……」


 ヤナギが容赦なく手刀を入れて気絶させたので、その後の言葉は、続かなかった。


「ヤグルマギクは、屋敷でも気になる事を見つけたら寝食忘れて、没頭するから城に入る前に、屋敷にいる人皆んなで約束させてたんだけど……」

「先輩。綺麗に忘れて、破ってますね」


 呆れるというより既にドン引きのエビネである。


「うん。とりあえず、シンの所に連れて行くね。ローダンさん。叔父さんに「ヤグルが約束破ったのでシンの所に連れて行きます」って言伝頼んでもいいですか?」

「伝えた後に、シン君の所へ私も行くとしよう」

「僕は、他の先輩方帰ってくるの待ってから行くね」


 そう言って2人が、一旦去った後――


「どうやって運ぶんだ?流石に目立つぞ」


 ヤグルマギクが先程まで書いていた洋紙をまとめているヤナギにキョウは疑問を投げかけた。


「キョウはこれ持ってて」


 まとめた物をキョウに預け、自分より頭1つ分大きいヤグルマギクを肩に軽々と担いだ。


「こっち」


 ヤナギに着いていくと、奥にある本棚を一つ動かし、現れた壁を奥へと押すと階段が出てきた。


「早く入って」


 促されるままに入り、ヤナギは本棚と壁を元の位置に戻した後、そのまま下へと歩みを進めた。


「こんな所にあったんだな」


 隠し通路である。


「キョウは、ここ初めて?」

「まだ全てを把握しきれてはいない」

「いっぱいあるもんなぁ〜俺は、昔こっちの通路で城内歩くように言われてたから」


 狭い通路を抜けた後、突き当たりを曲がった所にある扉にヤナギは、耳を近づけた。

 少ししてから扉を開ける。出たのは医務室近くの城壁と草の垣根の間だった。外からはただの外壁の一部になっており普通では、扉があることなんて気付くことも無いのだろう。ヤナギは、そのまま医務室の裏の扉の一つをノックも無しに開けた。


「ヤナギ?どうし……抱えてるの兄さん?まさか……」

「そのまさかだよ。10日も書庫にいたみたい」

「コムラが、今居ないんだった」


 先程のヤナギと同じ言葉を呟き、空いた椅子にヤグルマギクを座らせると、シンはそのまま兄の身体と椅子を縛った。流石のキョウも驚きで困惑する。


「ヤグルは、こうでもしないと逃げるんだよ。キョウまだ時間ある?」

「あぁ昼に間に合えばいいから」

「ちょっとここで待ってて」


 そう言い残し足早に、出ていたヤナギを目で送り。

 縛られているヤグルマギクを見ると、顔がやつれていた。 


「フラウ殿。兄がご迷惑をお掛けしました」

「たまたま通りかかっただけですので、後キョウと呼んで下さい。話し方もヤナギと話してる時と同じで俺もそうするから」


 貴族である以上年齢に関係なく身分差で決まってしまう。公爵家であるキョウが、自ら提示しなければ関係は変わることが無い。


「じゃあ俺の事もシンって呼んで、この間は話す時間も無かったら。改めてよろしく」

「こちらこそよろしく。そういえば、ヤナギも言っていたのだが、コムラって誰の事だ?」

「コムラは、僕たちの家で昔から仕えている人で、教育係だった人。兄さんがこんなんだから監視して貰ってるんだけど、兄さんの遣いで遠方に行ってるから居なくて」

「そうなのか、ヤナギが呼び捨てにしていたのが印象的だったから気になって」

「あぁ、侯爵家の人間として自身を下げる事をするなって、敬称も敬語も禁止されたから仕方なくだと思うよ。ヤナギが他家なのにって昔ボヤいてたよ」


 ふとシンが使っている机に目がいった。山積みにされている資料や本は全て毒に関する物である。


「毒について学んでいるのか?」

「うん。医務室の中で、俺が一番近くにいることが多いからね。キョウが夜会に出るのも殿下の為だけって理由じゃ無いでしょ?」

「まだまだ学ぶ事が多いけどな」


 お互い何がとはいわない。少しの静寂が訪れたが、それが不思議と心地良かった。暫くしてヤナギがカレンを連れて戻ってきた。


「キョウ。シン。おはよー」

「「おはよう」?いつの間に仲良くなったんだ?」

「ヤナギとよくここでお昼食べてるから」


 カレンとの約束を守っているらしい。というよりもヤナギの予定を全て事情を知る人に聞いているので、逃げられないといったところだが……


「キョウの分も持ってきたよ。他の人が来る前に軽く済ましましょう!」

「あぁ」

「この間貸すって言った本、師匠から預かった」

「スノード様に、お礼伝えておいて下さい!」


 受け取った本は、薬草についての本だった。


「何に使うんだ?」

「私薬剤師目指そうと思って!」


 それを聞いたヤナギが咽せた。


「っごほ……カレンお前、王妃付きになるんじゃ」

「あら両立出来るし、食事にも薬学は役に立つのよ!ユリオ殿下のお嫁さんなんてまだ先の話じゃ無い。これは私がやりたくてやるの。王妃様にも美容にいいもの教えてって言われたわ。だから勝手にヤナギに構うのも私の勝手よ!」

「キョウ止めてくれ」

「無理なの知ってるだろ」


 キョウやシンだけでは無い。カレンもそしてノギもあの日から己の進む道を決めつつあった。きっかけは、ただ気心知れた友人の隣を共に歩きたいそれだけだ。


 その後起きたヤグルマギクが、アルブル伯爵とシン、ヤナギに囲まれこっ酷く叱られ、カレンの伝言で、調理場に連行され、キョウの祖父である料理長に食事を疎かにしたことによるお叱りを丸一日かけて受けるのであった。





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