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新世界の神話黙示録  作者: 白樹クロト
第1章 血塗れの淫魔編
4/5

儀式の後と、午後の予定

 あの後、ジャンケンに勝利した俺たちはおっさんのところで野菜を手に入れた。ただ、問題があるとすればやはり小陽菜だった。無料(タダ)と言う言葉は時として人を狂わせる。特にそれが女性の場合はもうヤヴァイ。なのでジャンケンに勝ったので野菜が無料(タダ)になった事で、小陽菜が凄かった。とてもとても凄かった。そして、暴走する小陽菜を見るおっさんの顔が凄かった。例えるなら、世界に絶望した顔+ム◯クの叫び×100倍にした様な顔だった。小陽菜とおっさんの温度差が違いすぎていつ見ても慣れない。おっさん、小陽菜がすまん。小陽菜、少しは自重しろ。勿論そんな事言葉に出来ないので心の中で留めておく。そんな事があり俺たちは無事野菜を手に入れて現在帰宅中である。


「フフンフ〜ン♪フフフフ〜ン♪」

「……随分、機嫌が良いな。いや、まぁ、こんなに野菜を無料(タダ)でゲットしたら、そうなるよな」


 俺の両手には様々な野菜で一杯になった袋を持っていて、その隣では鼻歌を歌い上機嫌になっている小陽菜がいる。小陽菜は鼻歌を止めて返事を返してきた。


「うん!だってこんなにいっぱい野菜が手に入ったんだもん!これでしばらくは買い物をしなくて済むし、お金も掛かってないから凄く得して一石二鳥だから。入学式早々いい事あったね!」

「まぁ俺たちは得した感じだが、おっさん大丈夫かね?小陽菜が野菜を取りすぎて大赤字になってなきゃいいが……。おっさん、最終的には泣きながら懇願してたし」

「あ、あはは。うん、今になってちょっとやり過ぎたかなって思えてきたかも」

「いや、ちょっとじゃねぇだろアレ。いい歳した大の大人が泣いてたんだぜ?客観的に見てもやり過ぎだろアレは。どうするよ?一週間後におっさんの所行ったら、あの時小陽菜が取りすぎて大赤字になって店潰れた、って事になってたら」

「うっ!?そ、それは〜、マズイかも……。で、でも!今まで大丈夫だったんだから今回も大丈夫だよ!きっと!……多分」


 小陽菜そう自分に言い聞かせる様に俺に言った。最後の方は弱々しかったが。そんな会話をしながら歩いていると、ようやく家に着いた。ちなみに俺の家だ。小陽菜の家は俺の家の左隣りにある。小陽菜は自分の家には寄らず、そのまま俺の家に上がった。


「ただいま〜」

「お邪魔しま〜す」


 小陽菜は手を洗いに一回の洗面所へ行き、俺はリビングに入り六人用のダイニングテーブルに野菜の袋を置き、制服やカバンを置きに二階の自室に行くことを小陽菜に伝える。


「小陽菜〜、俺着替えと荷物を置きに部屋に行くから〜」

「分かった〜、じゃあ手を洗い終わったら先に準備してるね〜」

「了解〜、あと野菜はテーブルの上に置いといたから〜」

「は〜い」


 俺は小陽菜に部屋に行く事と野菜のことを伝えたので二階の自室に向かった。


「ふう、疲れた〜。ようやく家に着いた。これでやっと昼飯が食える。それにしても今日の午前はかなり濃い出来事が多い午前だったな〜。まぁ、おっさんとのジャンケン(勝負)は恒例のイベントになってるから今更だが、入学式早々クラスでかなり目立ってしまった。あ"〜、めんどくせぇ。……まぁ、今更言ったて仕方ねぇか。それよりも、まさか午後も濃い出来事があったりしないだろうな?なんか不安になってきた。まぁ、これも言ったって仕方ないしな〜。着替えて早く下に戻ろう。お好み焼き(昼飯)が待ってる」


 俺は何気ない独り言を言いながらカバンを置き私服に着替えて下に降りてリビングに入った。


「小陽菜、悪い少し待たせたな。早速昼飯の準備をするか」

「あ、フウ君着替え終わったんだね。じゃあ一緒に準備しよっか。お好み焼き用の野菜以外は野菜室に入れといたから、後で半分野菜を貰ってもいいかな?」

「ああ、別に構わないぞ。と言うより野菜を取ったのは小陽菜なんだから、全部貰っても良いんだぞ?」

「ダメだよ、そもそもおじさんとの勝負に勝ったのはフウ君なんだから、そして野菜を取ったのはわたし。だから野菜は半分ずつね」


 小陽菜は準備をしながら笑ってそう言ってきた。半分ずつ、か。大きくなっても小陽菜は昔と変わらないな。


「分かったよ。じゃあ、飯食べ終えたら半分の量を帰りに渡すよ」

「うん、ありがとう。じゃあ早く準備しよ?わたしお腹減っちゃった」

「俺はそれも同意する。早くお好み焼きが食いたい」


 俺と小陽菜はたわいのない会話をしながら昼飯の準備を進めた。


ーーーー30分後


「あ〜、お好み焼き美味かったな〜。腹減ってたから6枚食っちまった。流石小陽菜シェフ、良い腕してる〜」

「フフン♪苦しゅうない苦しゅうない〜、もっと讃えても良いのですよ〜?」

「ははぁ〜、小陽菜料理長大変美味しゅうございました〜」

「うむ、そなたの想いしかと受け取ったぞ。また美味しいご飯を作ってしんぜよう〜」

「ありがたや〜ありがたや〜。……小陽菜よ、これはいつまで続くんだ?もう良いか?」

「あ、うん、もう良いよ〜。ノリに乗ってくれてありがとう〜」

「おう。そう言えば小陽菜は午後はどうするんだ?エリナとどっか遊びに行くのか?」

「うん!今日は午前で学校が終わったから午後はエリちゃんと駅前でショッピングとかカラオケとか行こうかなぁ〜っと思ってる。フウ君はどうする?良かったら一緒に遊ぶ?」

「ん〜、俺はどうしよっかなぁ。休日とかだったら普通に自主トレとかしてる「え〜〜〜、ブウブウ!」んだが。……今日は普通に誰かとすごうそ「わーーーい、ヒュウヒュウ!」うかなぁ。……って言うか良いのかよ?俺なんかが一緒に来て、エリナと二人で遊ぶんだろ?って言うかエリナに言わないで勝手に決めて良いのか?」


 俺は少し問い詰めるように小陽菜に言うと、意外な答えが返ってきた。


「うん、大丈夫だよ〜。さっきエリちゃんにフウ君も一緒に来てもいい?ってメッセージ送ったら良いよ〜って返ってきたから。せっかく午後は時間があるんだし三人で遊ぼ〜だって。良かったねフウ君、これで心置きなく私たちと遊べるね?」

「お前行動早過ぎだろ?さては読んでたな?この状況を予想してなきゃこんなに早く返信が来るわけないし」

「えへへ〜、バレちゃいましたか。でもたまにはいいよね?だって、フウ君普段は忙しくって遊べる機会があんまり無いんだもん。こう言う時じゃないとフウ君と遊べないし。だから、フウ君も一緒に遊ぼうよ〜、ね?」


 なるほど、小陽菜のやつそんな事を思ってたのか。まぁ確かに、俺は普段は自主トレとかして過ごしてあんまり小陽菜達とは遊べてないしな。……それに小陽菜は分かっててやってるのか?上目遣いで首を少し傾げて「ね?」って、それは反則だろ、小陽菜よ。


「はぁ、分かったよ。まぁ、エリナにはもう返信してOK貰ってるし、これで行かなかったらエリナに悪いしな。じゃあ、午後は三人で遊ぶか」

「やった〜〜!じゃあ、早く食器を洗って、野菜を半分貰って、着替えたら12時半くらいに駅前に行ってエリちゃんを待とう!」

「おう、了解、っとそうだ。小陽菜、二週間前にも見たけど『ステータス』また視てやろうか?」

「う〜ん、せっかくだしエリちゃんと合流してエリちゃんと一緒に視てもらおうかな?」

「了解。じゃ、エリナの許可貰ってエリナも良かったら一緒に視てやるよ」

「うんお願い〜。よぉ〜しそうと決まったら早速行動に移そう〜!えいえいおー!ほらフウ君もえいえいおー!」

「はいはい、えいえいおー」


 俺は小陽菜に促されるままにえいえいおーをやり、二人で後片付けして、小陽菜の家の分の野菜を分け、小陽菜は野菜を持って着替えに自分の家に一旦帰った。俺はそれを玄関から見送るとリビングに戻り、ソファで食休みをしながら考え事をしていた。『ステータス』の。


(ステータス、か。改めて思うがかなり便利な力だよな。超無限転移(インフィニットワープ)と言い、その他の力もそうだし、全く、何なんだかなぁ俺って存在は。……まぁ、今は考えても仕方ないか。いづれ何か分かる時がいつかは来るだろ、多分。来なかったとしても別に今のところは問題無いしな。まぁ、それよりも俺のステータスも後で小陽菜やエリナ達と一緒に確認するかな)


 俺は少し自分の力や存在について考えふけていた。ちなみに先程からあがっている『ステータス』とは文字通りステータスの異能である。普通の人にはステータスを自分で確認できない。またステータスを確認するにしてもとある機関の管理局施設で確認しに行かなきゃいけないのでステータスを確認しに行くだけでも苦労する。そもそもステータスの確認申請はなかなか取れず、下手したら年単位で待たなければならない程大変なのである。ちなみに管理局でステータス確認が出来るようになったのは、つい最近の事で、20年前に出来たばかりである。しかしつい最近、相手のステータスを表示出来るステータスカードの開発に成功したとニュースでやっていた。なので現在ステータスカードの発行に管理局側は力を入れている。更に、今年から中等部から上の学生にステータスカードの普及を開始する事が決まった。恐らくステータスカードの実用性や性能の確認、検証が目的だと思われる。うちの学校も今年からステータスカードを貰えるとの事だが、まだ配られていない事から恐らく明日か明後日辺りには渡されるだろうと思う。


しかし、俺はそもそも自分の異能にステータスがあるので態々管理局に申請したり、カードを貰う必要がないので余り詳しくない。ただ一つ言える事は、俺の異能は規格外の能力ばかりがあることだ。


(現在公開されている俺の異能は一つしか全世界に開示されていない。その異能も規格外ではあるが、それでもステータスやほかの異能に比べれば使い勝手は余り良い方ではないしな。だからこそ今は何とかなってるが、もしステータスやほかの異能に気づかれたら面倒な事になる。それだけは絶対に避けなければ。俺や俺の周りの人達の平穏のために。……って言うか、俺の場合は異能より精霊達の方が有名だし、ある意味カモフラージュにはなってるが、今のままでも十分に目立ってるしなぁ、何とかならんかね、全く)


 そんな事を考えていると、チャイム鳴った。玄関に向かいドアを開けると私服に着替えた小陽菜がいた。小陽菜の服装は淡いピンク色の薄地のカーディガンと、カーディガンの下は首回りが少し緩めの白のシャツ、下は薄い空色のショートパンツに、歩きやすそうなピンクの靴紐が結ばれた白のスニーカーを履いて、肩には財布や小物が入るくらいの乳白色のショルダーバッグを下げていた。


「フウ君お待たせ〜。待たせちゃってゴメンね、着替えるのに時間かかっちゃって、チラッチラッ?」

「いや、気にするな。別に問題ないぞ?それじゃそろそろ行くか」

「うん!じゃあ駅前に行こっか。エリちゃんもさっき家を出たばっかりだって、チラッチラッ?」

「そっか、了解。あ、あと、私服似合ってるんじゃないか?あんまり、服については分からないから細かくは言えないが、俺的には良いと思うぞ?」

「!?ホント?……えへへ、ありがとフウ君」

「お、おう。じゃ、行くか」

「うん!」


 若干恥ずかしさの余り少し気まずくなったが、俺たちはエリナとの待ち合わせ場所の駅前に向かって行った。





――――――――――――――――




≪――報告。個体名:水火土 フウライのLvが成長上限に到達しました。これよりLv上限達成特典の贈与を開始します――≫


≪――確認しました。個体名:水火土 フウライのステータスは『異常耐性』および『影響耐性』のパラメータが『異常無効』『影響無効』になりました。また、スキル:『激痛耐性』『コミュ力』『性之神皇』を獲得しました。――≫


≪――さらに、個体命:水火土 フウライは創世刻印:神聖生命樹(セフィロト)および終焉刻印:神魔生命樹(クリフォト)、更に大罪刻印:七つの大罪(トリニティ)、また美徳刻印:七つの美徳(ヴァーチュ)並びに無限刻印:精霊総刻印(エレメンツ)を獲得しました。同時に創世固有能力(セフィラ・ユニーク)終焉固有能力(クリファ・ユニーク)美徳固有能力(セヴンス・ユニーク)大罪固有能力(セヴンス・ユニーク)も獲得。また、契約刻印の収納を行います。……成功しました。創世刻印・終焉刻印・美徳刻印・大罪刻印は無限刻印に収納されました。以上で贈与を終了します――≫


≪――追加報告。個体名:水火土 フウライは固有能力(ユニーク)・成長限界突破の保有者である事を確認。これより対象のLv上限突破を開始します――≫


≪ーー確認しました。個体名:水火土 フウライのLv上限が突破しました。現在のLv上限は400Lvである事を報告。また、対象の成長限界突破回数が、今回の上限突破と合わせて現在3回目である事を報告します。――≫


≪――最終報告。個体名:水火土 フウライの保有固有能力(ユニーク)のいくつかを統合しました。この報告は個体名:水火土 フウライにも秘匿されています。……ボソッ(ウフフッ、愛しのフウライ(ダーリン)の驚く顔が楽しみですね♡!早く女神(わたし)に会いに来てくださいね♡……貴方は覚えてないし、約束もしてないけど)……以上で報告を終了します――≫




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