表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1人だけ誤転移で召喚された勇者  作者: ホットパイ
1/3

プロローグ1

誤字などもたくさんあると思いますがよろしくお願いします!!

 なぜ、自分は今ここにいるのか?


 目の前にはただ白い空間がまるで永遠のように続いている。

 まるで、世界から色と物を無くした空虚な世界のような感じだ。


 しばらく、周りを見ていると真っ白な地面が歪んだ。

 歪んだとはいっても、自分の足元ではなく、自分が立っている位置から2m先の場所で水たまりに滴をビー玉が落ちた時ぐらいの小さな歪みだ。


 そこから現れたのは青、赤、黄などの様々な色に変わっていくビー玉の玉くらいの光であった。

 それが重力を無視して自分の胸ぐらいの高さまで上がってくる。


 だが、なぜだかそれを見ていると嫌悪感だけが自分の中からふつふつと湧いてくる。

 俺はこの光る小さな球を生理的に受け付けることは出来ないみたいだ。


 しばらくそれを見ていると。


「ようこそ、召喚に選ばれし者よ。」

「!」

 急に目の前にあった光るボーリングの玉がしゃべり出したために驚いてしまった。


 今更ながらここはどこだ?さっきまで俺はコンビニにいたはずだけど、これはまさか、漫画やラノベで出てくる異世界転移か?

 いや、夢だな。


「夢ではないぞ。紛れもなくお主は異世界に転移するぞ。」

 思っていたことが声に出ているようだ。


 それより、異世界転移だったら女神だの天使などと言った美少女にしてほしいものだ。

 なのに、今自分の前でしゃべっているこの玉はなんだ。

 しかも、声がジジイだし。

 まじで、出直してもらいたい。と言うか黙って帰ってくれ。


「お主、思っていることが声に出ているぞ。」

 おっと、またもや思っていたことが声に出ていたらしい。


「なら出直して来い。」

「お主、本当に性根が舐め臭っとるのう・・・・」

 俺は目の前のジジイの声がする玉など無視して、手に持っているものを見る。


 10円ガム。

 はぁ、俺もとうとう万引きしてしまったか~~~~~

 10円ガムを・・・・・



 くっそ!!!どうせ万引きするならもっとマシなものにすればよかった!

 なんだよ!!10円ガムって!!


 わぁ、懐かしいな~小学生の頃よく買っていたな~なんて思って手にした途端の異世界転移。マジふざけんなよ。

 やばい、10円ガムのための万引きって思ったら泣きそうマジで・・・・・


「お主、さっきから表情がころころ変わって忙しそうじゃのう~」

 黙れジジイ。感傷にぐらい浸らせろよ!


「これって本当に異世界転移なんですか?」

 いちようこんなジジイの声がする光る球でも初対面の人には敬語を使わないとな。

 まぁ、人とは言えないけど・・・・・


「お主、さっきからのさんざんな言葉使いをしておって、今更敬語なんて使ったところで同じじゃぞ。」


 チッ!せっかく気を使ってやったのに!

「だから、声に出ているぞ。」

 まぁ、いいか普通で

「この異世界転移って拒否して向こうの世界に戻ることは出来るのか?」


「無理じゃな。」


 そうか・・・無理なのか・・・・

 俺はあんまり向こうの世界に未練なんてなかったけど、それでも両親のことは気になる。

「じゃあ、あっちでの俺のことはどうなるんだ?」


「行方不明扱いじゃな。まず、こっちの世界とお主の世界では時間の流れる軸が違うからのう。詳しいことはわしにもわからんな。」


 チッ、ガチで使えねえな。


「それで、俺はあっちの世界で何をすればいいんだ?」

 拒否が出来ないようじゃ仕方がない。諦めて異世界生活を楽しむしかない。

「知らん。」


「知らんって・・・・お前が召喚したんじゃないのかよ・・・」


「別にわしがお前を召喚したわけではない、それは向こうの世界の者がお前さんを召喚したんじゃ。わしらは、お前らの世界で言う仲介業者みたいなもんで異世界から召喚する際はここを通ってもらうことになっておる。だから、召喚した理由を聞きたいのならあっちの召喚者に聞いてくれ。だが、大体は予想はつくがのう。どうせ「魔王を倒してくれ!」みたいなもんじゃ。まぁ、気にするな。」


 いや、普通に気になるし・・・


「まぁ、もしワシが召喚するじゃたらこんな糞ガキなんて絶対に選ばんのじゃがな。」


 こっちから願い下げだ、糞ジジイ!!!!


 ふぅ、落ち着け俺。こんな糞ジジイに心を乱させるな。


 俺は落ち着くために質問を続ける。

「それで召喚者ってことは俺は勇者みたいなものなのか?」


 漫画やラノベでは大体異世界転移=勇者召喚だもんな。


「そうじゃぞ。お前さんを含めた。セイバー、キャスター、ウォーリア、ヒーラー、レンジャーのクラスの5人が今回の勇者じゃ。」


 なるほど、勇者はクラスごとに違うのか。


「そのクラスってのはなんなんだ?」


「そうじゃな。例えば、セイバークラスの勇者なら剣も持つ職業に就くことが出来る。だからと言って剣しか使えないわけではない。職業によれば剣より魔法を使った方が強い場合もある。いい例としては魔法剣士などがそれに含まれるじゃがな。他にも――――――――」


 ジジイの話を要約するとまぁ、クラスに分けられるが職業によって別のクラスの向けの状態になることもあると言うことだ。

 なるほど、クラスが確定したからと言ってそれ以外のクラスの攻撃が使えないわけではないのか。

 しかし、それより俺は気になることがある。


「なぁ、なんでセイバークラスとウォーリアクラスで分かれているんだ?」


 そう俺がこの光る球から聞いたクラスの説明で一番初めに疑問に思ったことだ。

 ウォーリアと言えば武器が持つ者のクラスであり、それはセイバーとて同じはずだ。


「それかの、それはな多いからじゃ。」


 ・・・・・はぁ?それで終わり?

「いや、それだけではさっぱりわからないだが・・・・」


「これで分からんのかお主?馬鹿なのか?」


 ヤバい、マジでこの光る球潰したい。


「はぁ、しょうがないのう。馬鹿のためにもっと詳しく教えてやるかのう~」


 よし、潰そう。今潰そう。なあに簡単だ。掴んで地面に思いっ切りたたきつけて踏みつければ潰れるだろう。


「待て待て、しゃべるから落ち着け。」


 チッ!なら、ささっと話せよ。

 俺は一歩踏み出したところで動きを止める。


「はぁ、先の続きじゃがな。なぁ、お主はなぜそれをキャスタークラスとヒーラークラスに疑問を抱かなかったのじゃ?」


 確かにそうだ。キャスタークラスもヒーラークラスも同じ魔法を使うのに何で俺はそれに違和感を抱かなかったんだ。


「分かったようじゃな。要するにそのクラスの職業が多いからクラスが別れたのじゃな。」


 なるほど。ウォーリアクラスの派系がセイバークラスでキャスタークラスの派系がヒーラークラスと言うわけか。


「話は分かった。それで、ちなみに俺は何のクラスなの?」


「レンジャーじゃ。」


 よりにもよって、レンジャーか・・・・・

 なんか一番勇者ぽくないよな・・・・・確かにゲームとかではレンジャーって重要だよ。でもな・・・・・


「まぁ、いいか。それよりあっちでの言語ってどうなってんの?」

 やぱっり、これは一番気になる。


「そのことか、心配するな。ちょっと待っとれ。」

 ナチュラルで上から目線をしてくるこのうざい光る球の言うとおりに待つことにする。


「ぐううぅ!!!」

 いきなり頭が割れそうなほどの痛みが走った。


「どうじゃ?」

 この野郎。絶対に喧嘩売ってんな・・・・

「なにが?」

 俺は頭を押さえながら聞き返す。

「今、お主の脳にあっちの言語を入れたから、お主は普通のしゃべると勝手にあっちの言葉になるはずじゃぞ。」


「何言ってんだ。このジジイ。」


「ほれ、もう元いた世界の言葉ではないぞ。」

 目の前の糞野郎の言うとおり、俺の口から自然に出てきた言葉が日本語ではなく聞いたこともない言語だったことに驚いた。


「どうじゃ感謝せいよ。」

 目お前の光る球は人の形をしていないのに、まるでドヤ顔をしているジジイの姿が目に浮かび余計に腹が立つ。


「落ち着け俺・・・」

「お主、握り拳を作りながら言うセリフじゃないのう。」


「今から行く異世界ってやぱっりあれなのか、剣や魔法と言った世界か?」


「そうじゃぞ。」


 そんな漫画やラノベの世界がこの世にあったんだな~

 それだけで目の前のジジイ声の光る球に対する怒りが薄まるな~

 具体的に5%くらい。


「5%ってほとんど誤差じゃないかのう。」


 チッ!また声に出ていたか。でも、仕方がないじゃないか、目の前の奴がそれだけ俺の怒りメーターを刺激するのだから。


「はぁ、お主としゃべっているとこっちが疲れるわい。」


 それはこっちのセリフである。今時、老人センターだってこんなに優しく接してやる人なんていないぞ。(もちろん、老人センターいったことないから知らないが。)


「じゃあ、ささっと転移させるぞ~」

 光る球がより一層光り出した。


「ちょっと待った!!!!」


「なんじゃ!急に叫びよって。」

 強く光っていた玉の光が弱くなり、俺が叫んだことに驚いていた。

 確かに、俺がここに数年間でこんなに大きな声を出したことなんてない。

 それでもこれだけは聞いておかなくてはならない。


「チートは?」


「そんなもの無いわい。」


「・・・・・・・・」


 無い?無い言ってのこいつとうとう年で頭の細胞まで老化で回らなくなったのか?


「はぁー、お主もしかして勘違いしては無いか?」

「勘違い?」

「そうじゃ。確かにあっちの世界には剣や魔法がある世界じゃ。もちろんレベルやスキルだってある。じゃがな、それはすべて本人の才覚や努力によって手に入れるものじゃ。わしらが与えることは出来ない。と言いか不可能じゃ。」


「なんだと・・・」

 確かにあいつは異世界転移ものの漫画やラノベの定番の異世界言語理解みたいなスキルを授けるではなく、俺の脳に直接日本語と異世界語を入れ替えた。

 なるほど、やらないではなくできないのか。

 それなら仕方がない。

 だから、俺はこの目の前の光る球にこう送ろう。


「使えねー」


「なんじゃと!」


 いや、だって自際そうだし。

 半ば拉致して異世界転移させる上でチートもなしで剣や魔法の世界で生きて行けと言っているのだ、

 そんな奴「使えねー」以外に何が出てくる笑。


「はぁ、もういいよ。ささっと転移させてくれ。どうせそれ以外出来なさそうだし。」


「こやつ・・・・」

 光る球はトマトのように赤く光っている。


 なんだろう・・・この光る球が怒っているとなんかスッキリするような感じはなんだろう?

「事実だろう。違うのか?」


「ぐぬぬ――――」

 俺は目の前の光る球が怒っている姿を見て怒りを鎮めていると、まるでびっくりマークが出てきたような感じに一度少し跳ねると最初に時のような色に戻って光り出した。


「そうじゃな。そうじゃな。さすがに何の選別もなしに異世界に送ろうなんてせんわい。

 これでも受け取れ!」

 そう言って光る球から銀色の物が飛んできた。

 俺はそれを右手で取った。

 見てみるとそれは銀色のネックレスであった。


「それは虚無の世界に物を置けるものじゃ。まぁ、言うならあれじゃ。アイテムボックスじゃ。―――――」


 目の前の光る球の話を要約すると、このネックレスを付けていると容量が無限大のアイテムボックスを使えるらしい。しかし、生きているものはしまうことは出来ない。だが、中の時間は固定されていて劣化することが無いらしい。

 確かに使えるし、超助かる。

 だが・・・・・・

「どうじゃ~」

 このジジイ声の光る球の態度が気に食わない。


「もう時間がだいぶ経ってしまったのう。早く転移させるぞ。ほれ。」

 光る球はそう言って先ほどのように強く光り出した。

 俺はその際中ずっと光る球は睨むようにした。


「じゃあ、さらばじゃ。お主に祝福を~」

 なんちゅう適当な感じで言いやがる。


 その瞬間、俺の視界は真っ白になって何も見えなくなった。






 ――――――――――――――――――


 ゆっくり瞼を開く。

 まず、視界に入ってきたのは神々しい感じがするどこかの王宮で美人な王女様が「ようこそ私達の召喚に答えてくださいました。感謝します勇者様!!」と言う声が飛んできた。

 わけではなかった。

 そもそも王宮でもなかった。


「マジでここは何処だ?」


 俺の目の前に広がるのは岩壁、岩壁、岩壁・・・・・・なんじゃここ!!!!!!!


 こういうのってあれじゃないのか?どこかの王宮に召喚されて美人な王女様に何かしらの説明をされて他の勇者達と一緒に冒険するなり、一人で王宮を出て何かしらの事件巻き込まれて異世界観光なんてするもんじゃないのか。

 そして、その冒険なり旅で運命の女性出会ったりするもんじゃないのか?

 そうな俺の小さな期待を裏切るように、綺麗に最初のスタートダッシュから間違えたらダメだろう・・・・ホントマジで。


「にしても何でここはこんなにも広いんだ?」

 そう、今俺がいる場所はどこかの洞窟なのかものすごく広い。

 しかし、視界は悪くはない。ところどころに薄紫色や薄緑色に光る水晶あかげでこの洞窟は案外暗くはない。

「鑑定」




 名前 草薙(くさなぎ) 一人(カズト)

 種族 勇者(誤転移)

 クラス レンジャー

 職業 ―――

 レベル 1


 クラススキル

 鑑定 

 危険察知 LV1

 気配察知 LV1


 魔法スキル

 なし


 種族スキル

 ポテンシャルアップ LV1

 不老

 試練


 ユニークスキル

 自給自足



 俺はまるで息をするように「鑑定」を使った。

 何で俺は「鑑定」を使える事が分かった?

 しかし、そんな事よりも大なものに目が行った。


 誤転移?あの野郎・・・・

「マジで使えねーと思ったけどここまで使えないとは・・・・・・」

 一人(カズト)はあのジジイ声のする光る球を呪った。


「はぁ、なってしまったものは仕方がない。出来る事でもするか。」

 一人(カズト)は「鑑定」をもう一度使い自分のステータスを詳しく見る。


 クラススキル・・・本人のクラスで職得できるスキル。


 鑑定・・・あらゆるものを鑑定できる。しかし隠蔽のスキルを持っているものには鑑定が出来ない。


 魔法スキル・・・魔法系のスキル。



 種族スキル・・・種族によって手に入れることが出来るスキル。


 ポテンシャルアップ・・・ステータス補正。LVによって効果が向上。

 不老・・・年を取らない。


 試練・・・本人のレベルが上がりにくい。


 ユニークスキル・・・その個人が持つ特別なスキルで基本は1人1個しか持てないがLVを上げることでごくたまに習得できることがる。


 自給自足・・・自分のことは自分でする。


 このユニークスキルの「自給自足」のついては意味が分からない。

 自分のことは自分でする当たり前のことではないか?

 なのに、なんでそんなことがスキルにあるんだ?

 一人(カズト)が疑問に思っていると、急に背筋がぞっくとして後ろを慌てて振り返った。


 そこにはバスケットボールほどの大きさの透明度が高い水色したスライム。


 スライム・・・ゴブリンと並ぶゲームでは最弱モンスター。

 しかし、俺にとって目の前のスライムが最弱なモンスターにはどうしても見えなかった。

 対面しているだけで額から汗が止まらない。


「鑑定」


 種族 スライム


 魔法スキル

 水魔法 LV56


 種族スキル

 魔法耐性 LV68

 物理耐性 LV76

 吸収 LV98

 分裂 LV83

 溶解液 LV76

 

ユニークスキル

 気配隠蔽 VL91


 俺はとっさに使った「鑑定」を見て驚愕した。


「なんだよそれ・・・・・」

 スキルLVが異状に高い・・・・

 俺はすぐさまにスライムに背を向け全力で逃げた。


 敵うわけがない。俺は全部LV1にたいして相手のスキルLVは平均80以上。

 しかし、逃げるには遅すぎた。


 背中から嫌な気がした。

 一人(カズト)は慌ててそこから飛び退く


 ジュワ


 音の方を見ると地面が溶けていた。

 もし、これが掛かったら俺の体なんて・・・・・

 それを考えるだけで寒気がする。


 俺は再び全力で逃げる。


 また、嫌な気がしたので前方に飛んだ。


 ジュワ、ジュワ、ジュワ


 地面が溶けているが俺はそんなことを確認せずに、前周り受け身の形で飛んだのですぐに走り出す。


「はぁ、はぁ」

 俺は走りながら後ろを確認した。


 スライムは確かに追ってきているがその速度は遅い。

 大体自分とスライムで30m以上は離れただろうか。


「これでなんとか逃げられそうだ・・」

 俺は再び嫌な気がした。

 しかし、今度は避けることが出来なかった。


「!!!」

 あまりの痛みで声さえも出なかった。

 左腕が切り落とされた。

 ものすごい量の血が吹き出し、空中に左腕が飛ぶ。

 俺の身に何が起きたんだ?


 スライムとは30m以上離れていた。

 あの溶解液も最大で10mしか届かない事だって確認しているのに・・・

 俺は左腕を押さえながらスライムの方を見る。

 すると、嫌な気と同時にものすごい速度で水のカッターが飛んできた。

 海斗は奇跡的に倒れこむようにして何とか躱すことが出来た。


 しかし、スライムはすぐに俺に向かって水のカッターを放ってくる。


 やばい!これは・・・・

 身をよじらせるが完全にはよけきれず右足に少し当たる。

 しかし、足の筋が切れてしまったのか右足が動かない。


 片腕にないし、片足が動かない状態では立ち上がることすら出来ない。

 気が付けばスライムはもうすぐ10m切るぐらいまでの距離にいた。

 それでも、一人(カズト)は右腕と左足だけを使って引きずって逃げる。


 しかし、スライムはそんなことを許さない。


 スライムは確実にしとめるために水の魔法で海斗の右足を切り落とした。


「ぐあぁああ!!!!」


 右足もなくなった状態では動くことなんて出来ない。


 やばい!やばい!どうすれば・・・・

 俺は頭をフルで回転するが打開策が出てこない。


 ここで俺は終わってしまうのか・・・・


 血も流れ過ぎたのか意識がもうろうとしてきた。


 生きたい!生きたい!生きたい・・・・・


 俺はその一心で意味もなく右手を伸ばした。

 すると右手に手に収まるくらいの大きさの透明度の高い黒色の正方形のキューブが現れた。

 俺は無我夢中だったので、それを最後の力を振り絞って握りつぶした。


 俺はそこで意識が途切れてしまった。





―――――――――――


 瞼が重い、体が怠い・・・・・

 それでも、起きないと・・・・大学だってあるし起きないとな・・・・

 一人(カズト)はゆっくりを瞼を開ける。


「・・・・・知らない天井だ・・・・」

 正確には天井ではなく岩なんだが・・・・・・


「そうか・・・俺異世界に召喚されたんだったな・・・・・・・」


 一人(カズト)はまだ頭が完全に覚醒しきっていなかったがだんだん頭が覚醒すると自分に起きている異常に気が付いた。


「なんで、俺は生きてんだ?」

 さらにはなくなっているはずの左手、右足が生えている。

 そして、何よりも不思議なのはこの透明感がある黒い結界で張られたような空間である。

 大きさは地球で俺が住んでいた部屋と同じ8畳くらいの空間だ。


 俺は倒れて意識がなくなるまでの記憶を思い返してみる。

「確か、スライムに追われて、殺される寸前に右手に小さなキューブが出てきてそれ砕いて・・・・・・・・・・」

 記憶を思い返すにつれ激しい頭痛がした。


 そのおかげで、しっかりと意識が消える前までのことは思い出せた。

「この空間はあの黒いキューブの力か・・・・」

 一人(カズト)はこの空間を見ながらそう呟いた。


 あの、スライムは何処にいたのだろうか?

 あそこまで追いつめといて逃げるなんてありえない。


「まさか、この結界が守ってくれたのか?」

 一人(カズト)はその思いもう1度この結界を見まわした。


 俺はここから出れるのか?

 一人(カズト)はそう言った疑問を抱き結界の外に手を伸ばした。


 スウ


 あまりにもあっさり結界から通り抜けることが出来た。

 少し拍子抜けである。


 一人(カズト)は結界のことはさておき、次のことを考える。

 どうしてなくなったはずの俺の左手と右手があるんだ?

 それを確認するために一人(カズト)は自分に「鑑定」を使う。



 名前 草薙(くさなぎ) 一人(カズト)

 種族 勇者(誤転移)

 クラス レンジャー

 職業 ―――

 レベル 1


 クラススキル

 鑑定 

 危険察知 LV5

 気配察知 LV2

 逃走 LV1


 魔法スキル 


 種族スキル

 ポテンシャルアップ LV2

 不老

 試練


 固有スキル

 自己再生 LV1


 ユニークスキル

 自給自足




 逃走・・・逃げる時の敏捷補正。


 固有スキル・・・自給自足で獲得できたスキル。


 自己再生・・・自身の99%の魔力を使うことで発動することが出来る。しかし。即死に対しては発動することが出来ない。

 発動している最中は他のスキルが使用が出来なくなる。レベルが上がることで魔力消費と怪我の具合によってかかる時間が減少する。


「なるほど・・・」

 この「自己再生」のスキルのおかげで俺は助かったのか・・・・

 あのままだと完全に大量出血で死んでいたからな。


 それにしても他のスキルのレベルも結構上がっているな。

 それに「不老」はあの憎たらしい光る球が言っていたあれか。

 そして、「ポテンシャルアップ」と「試練」この2つは種族スキルか。

 ステータス補正は着くがその分レベルが上がりにくいことで勇者のメリットとデメリットが見えてくるな。


 俺が胡坐をかきながらさっきのスライムが現れたせいで詳しく見ることが出来なかった自分のステータスを見ておると、ドゴン!!!と言う音が鳴り慌ててステータス表から顔を離れ音がした方を見た。


 そして、カズトは今自分の目の前で起きている光景?現象?に目を疑った。


 そう、洞窟の下の地面からいきなり溶岩が出てきたのである。

 それも一か所だけではない。次々と音が鳴り響きところどころで溶岩があふれてくる。


 さっきまであった。洞窟の中にあった青光る水晶があった幻想的な空間は一瞬で消え去った。


「嘘だろ。どうすんだよ、これ・・・・」


 カズトがどうするべきか悩んでいる間もとめどなくなく地面から噴き出してくる。そして、どんどん赤黒い溶岩がカズトのすぐそばまで近づいて来る。

 逃げようにも溶岩がもう退路塞いでいて手遅れである。


「頼む・・・耐えてくれ・・・・・」

 カズトにはこの結界の様な透明度の高い黒い空間かしかない。

 両手で膝を抱えながら一人は必死に祈った。

 カズトの願いの願いが叶ったのか透明度が高い黒い結界のおかげで溶岩の波はカズトのところまでは来ることはなかった。


 しかし、カズトは安心することは出来なかった。

 止まることのないマグマ、この空間の酸素は大丈夫なのか。

 いつこの結界が溶岩の熱や重さに耐えれずに壊れてしまうのかと言う不安と恐怖。


 そんな中、カズトは見てしまった。それは溶岩がちょうどカズトの膝の高さぐらいの時であった。止まることのない溶岩の噴水、その中から3メートルほどの巨大なトカゲが現れる姿を・・・・・。



感想や評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ