プレゼント
「こういうものって、小さい時に与えられなかったから、今さら興味があるのよね」
「キャラクターものって事ですか?」
「そうそう」
やはり、厳しい家柄だからだろうか。
愛おしそうな表情でぬいぐるみをいじるマリさんが、少女のように見えた。
「ちょっと意外です。マリさんなら贈り物とかで沢山持っていそうでした」
「あー、あるにはあったけど……力加減が下手でね、私……直ぐ壊すから、両親は自然と買い与えなくなってしまったの」
家柄ではなかったのか。
「なるほど、そういう事があったんですね……あの、もしよろしければ、プレゼントさせていただけませんか?」
「え?」
「豪華なホテルにも泊めていただいていますし、それに……祖父の心を救っていただきましたし」
「良いのよ、私がしたくてしたのだから」
「なら私もです。私がマリさんに何か贈り物をしたいんです」
「あら……何だか照れるわ。けど、お願いしようかしら?」
「じゃあ、早速ですが、選んでください!」
「レミちゃんも一緒に選びましょう? ね?」
ワゴンに放り込まれたぬいぐるみを、二人で選ぶ。
どれも同じものなのだが、微妙に表情が違う。下手したら、これ返品案件なんじゃ? と思うものまであった。
それをあーでもない、こーでもないと言いながら比べていく。
結局、私が縫製がしっかりしてあって、生地のスレが少ない点を重視したものに落ち着いた。
まるで赤子を持つように、レジまでしっかりと持ちながら運ぶマリさんが、今度は慈愛に満ちた母親に見える。
「あ、コレって、ホテルまで運んでいただく事って出来ますか?」
レジに居た店員に聞く。
「あー郵送ですかぁ?」
「そうですね、明日に届けてもらえれば助かります」
「ちょっと待ってくださいねぇ?」
三眼双角を備えた店員が、奥に入っていくと、店長と思われる人が面倒くさそうに出てきた。
「えーと、ホテルまで郵送って事ですと、こちらの送り状を…………あれ? あの、ひょっとして、ミストラル様でいらっしゃいますか?」
「あー、はい、そんなもんです」
ウゲ、っと苦虫をかみつぶしたような笑みで答えるマリさん。
「えええええーと、どちらまでお届けすればよろしいでしょうか?」
「送り状なら書きますよ、私が」
「いえいえ、御連れ様の手も煩わさせるわけにはいきません、私が迅速丁寧を以って、運ばさせていただきます!」
「じゃあ、このホテルのフロントに預けてもらえますか? それで良いですか? マリさん」
「それが一番かも」
と、ホテルのルームキーカードを提示する。
「は、はい! かしこまりましたぁ!」
深々と頭を下げる店長。
周りの目もこちらに向かっているので、ササッと会計を済まして店を後にした。
「すみません、魔族って変に階級での上下関係が厳しくって……」
「ちょっと難儀よねぇ……他人事ながら」
「まぁ、それが幸せっていうか、それがルーツの種族も居たりしますので、一概に不幸って訳ではないですけど、また目立っちゃいましたね」
「私ね、思ったんだけど……」
「はい、何でしょうか?」
「ひょっとして、どうしたって目立っちゃうんじゃないのかな? って」
今気付いたんですか? お嬢様?




