邪魔
さて、デートプランを考えてはいるが、浮かれていられないのも確かだ。
私が狙われているのも間違いないし、マリさんに至ってはそれが日常という節がある。
お互い難儀な人生ですなぁ、と思いつつ、『おそろい』に心が躍っていた。
我ながら楽観的である。
まぁ、ぶっちゃけ、マリさんは私が心配したり、警戒したりするレベルではないのだけれども。
それでも昨日のように不測の事態はある訳だし、用心に越したことはない。
「やぁ、お嬢さん、お一人かい?」
背後から話しかけられる。
意識が他所に向いていたとしても、警戒しようとしていた矢先にこれとは情けない。
「って、アレックスじゃないですか」
アレックスなら仕方がない。
何せ、存在を薄くする事に関してはコイツの右に出る事はないのだから。
「何だと思ったんだい? ナンパを期待していたのかな?」
「そんな事あるわけないじゃないですか。で、何をしているんですか?」
「仕事だよ、仕事。公安に行ったら、既に辞める事になっていたし、私物もまとめられているなんていう手の回しようだ。いやはや、仕事が早いのも考えものだねぇ」
「そうしたら、今は皇国側のお仕事中という事ですか。情勢の調査とかですか?」
「そんな大仰なものじゃないよ。お嬢様のお達しでねぇ、レミリアの周囲にある危険を排除しろとのことでね」
「つまり、護衛って事ですか?」
「そうそう」
すげー邪魔。
と思っても、マリさんが心配してくれたというのは、ちょっと嬉しい。
その嬉しさを味わえたから、もう帰っていいぞアレックス。
それに思うところもある。
「護衛って、さっきつけられていたんですけど?」
「あー、アレか」
そう、アレである。
知っているという事は、見てみぬふりをしていたという事ではないか。
仕事をしろ仕事を。
「職務怠慢なんじゃないですか?」
「アレね、公安の人」
「は?」
「レミリアを護衛しようにも、場所が分からないとどうしようもないでしょ?」
「確かに……」
「それに、ただでさえ昨日みたいな事が起こっているんだからね。元同僚に場所を教えてもらったって訳だ」
つまり、私は魔界の公務員、尚且つ捜査機関の人間をぶっ倒してしまった、という事か……。
「これ、私捕まったりしないですかね?」
「どうだろうね? まぁ、大丈夫じゃないかな? アレが一般人や普通の警察ならともかくね」
「そうだと良いんですけどねぇ」
「ま、外国籍の公務員とくれば、面倒な手続きふむくらいなら、お目こぼしはするだろうけどね。それに、ミストラル家の関係者だ、大人の事情が良い方向に働くだろうさ」
大人って、便利だなぁ。




